シャープが「次世代XMDFフォーマット」を採用した電子書籍端末を12月にリリースする。その新ブランド名が「GALAPAGOS」(ガラパゴス)と聞いて、最新ケータイに詳しい人ほど驚くはずだ。
「マスコミのみなさんには、ガラパゴスという言葉にネガティブな印象を持っているかたもいらっしゃるかと思います。今回、新ブランド名についてはいくつか候補がありました。もっとセンスがよく、かっこいい言葉もありました。ただ、最終に残った3案を一般ユーザーに調査したところ、スマートさには欠けるが、独創性を感じるという点で評価が高かったのがGALAPAGOSだったのです」と、同社 オンリーワン商品・デザイン本部長 岡田圭子氏は説明する。「そもそも、一般のみなさんはガラパゴスがどうかとかは考えていなし、ネーミングの考え方として、スマートさやセンスのよさよりも骨太のネーミングがそろそろ必要な時期に来ているのではないかと感じていました。そこで、ガツンとしたインパクトのあるネーミングであるGALAPAGOSを採用したのです」と述べた。
今回の発表会では、プレゼンテーションの資料で進化論を唱えたダーウィンの言葉が引用された。「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、知的なものでもない。最も変化に適応できる種である」というのがそれで、同社はGALAPAGOSという言葉を、変化に敏感に対応していく“進化”の象徴としてとらえているという。
もう1つ気になったのは、既存のXMDFフォーマットコンテンツの行方だ。これについては、シャープの電子書籍サイト「SpaceTown ブックス」から購入したコンテンツについては、携帯電話などの場合を除き、PC用の専用アプリケーション「GALAPAGOS Station」を経由することでGALAPAGOSでも利用できる予定だという。既存のSpaceTown ブックスの会員IDはひも付かない(GALAPAGOS向け新ストアは新規にIDが必要)が、これまでに購入したコンテンツが無駄にならないのは素直にうれしいところだ。
同社が「新しい書籍体験を第1弾として提供していく」というように、12月のリリースでは電子書籍リーダーとWebブラウザ、SNS対応アプリケーションのみの搭載予定となっているが、来年春ごろをめどにゲームや音楽の配信なども計画している。当初は自社製アプリケーションのみで、Androidマーケットには対応しないが、今後のソフトウェアアップデートで強化(ただし、優先するのはサービスと連動したアプリケーションの開発)していく予定と、まだまだ荒削りで正式なサービス内容が分からないのはもどかしいところだ。しかし、コンテンツの制作からオーサリング、配信システムから端末まで、End to Endで安価にきちんとした日本語の表記を提供していきたい、そしてそれを標準化して提案していきたいという同社の意気込みが、どのように具体化していくのか、今後の動向が気になるところだ。
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