auの「IS02」とNTTドコモの「dynapocket T-01B」は、ほぼ同じハードウェアを備えるWindows Phoneだが、機能が異なる部分もある。利用時に最も影響が大きそうなのは、T-01Bの3Gパケット通信とほかの通信機能の利用制限だ。「T-01A」でも同様だったが、3Gパケット通信中は無線LAN、Bluetooth、さらにはUSBでのPCとの接続すら制限される。これはテザリング対策のためで、キャリア側から見れば仕方ない部分かもしれないが、その影響は大きい。
例えばGmailやWindows Live Mailなどをプッシュ受信する場合にはExchange Serverの同期機能を使うが、リアルタイム受信を行う場合は、ほぼ常時3Gパケット通信をすることになり、3Gパケット以外の通信機能を利用するには、3G通信機能を一時的に無効にするしかない。
3Gパケット通信で動画ストリーミングやネットラジオなどをBluetoothヘッドフォンで楽しむこともできない。国内では多数のネットラジオがWindows Media Audioで配信されており、実はスマートフォンではWindows Phoneが得意とするところなので、実にもったいない。また、3G通信中は通話用のBluetoothヘッドセットやキーボードすら実質使えないことになる。
GPSはどちらも自立測位が可能なモジュールを内蔵するほか、屋内などで自立測位ができない場合には基地局情報も利用できるが、この機能は異なる。IS02は「gpsOne」を採用しており、ネットワーク側で計算した位置情報を3Gパケット通信で取得する。一方、T-01Bは基地局の位置そのものを取得する方式で、3Gパケット通信は利用しないので、解約済みのFOMAカードを挿し込んだ状態でも基地局情報から位置情報を得られる。基地局情報を利用した場合の位置情報はIS02の方が精度が高いが、代わりにパケット通信料金がかかるわけだ。
IS02とT-01Bは、キャリアに依存する設定機能などを除けば、プリインストールアプリもほぼ共通だが、T-01BにはT-01Aに続いて「Kinoma Player」がインストールされる点が異なる。QuickTimeアーキテクトの1人であるピーター・ハディ氏の設計したKinoma Playerは、かつてはソニーのPDA「CLIE」シリーズの高機能モデルにも搭載されていた。
Kinoma Playerは音楽、動画、静止画の再生に加え、プレーヤー上で動作するプラグイン(アプリ)を用いることで、PodcastやYoutubeの視聴、RSSフェード、TwitterやFacebookなどの利用も可能になる。BluetoothのAVRCPでのリモート操作にも対応している。Kinoma Playerは、もともとiPhoneのようにタッチ操作用にデザインされており、T-01Bでの操作は非常に快適かつ軽快。指での操作性や分かりやすさに関してはWindows Media Playerに勝る。Kinoma Playerは、これまでもT-01AやX02Tにプリインストールされてきたが、ようやく本領発揮したという印象だ。
対応コーデックはWindows Media Playerにほぼ準じているが、動画のH.264がBaselineプロファイルに限定されるなど、見劣りする面もある。音楽ではWindows Media Player形式に加えて汎用性の高い「m3u」形式のプレイリストも認識でき、Windows Media Player以外のプレーヤーソフトや転送ソフトから、汎用オーディオプレーヤー向けに転送したプレイリストを再生できる。この点を除いても、kinama playerは十分に魅力的。「NX!UI」と合わせると、OSがWindows Mobileであることをほぼ意識せずに利用できるだろう。
ちなみに、Kinoma PlayerはIS02ユーザーもシェアウェア(執筆時点で3099円)として入手できるほか、機能限定の無料版も存在する。表示は日本語化され、T-01Bのプレーヤーと機能は同等だが、日本語入力(ATOK利用時)に少々難があり、うまく日本語が入力できない場合がある。ただ、プレーヤー用途がメインなら大きな不満は感じないし、操作性は無料版でも十分なので、IS02ユーザーで気になる人は試してみるといいだろう。
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