海外でもAndroid旋風が巻き起こった2010年ITmediaスタッフが選ぶ、2010年の“注目ケータイ&トピック”(ライター山根編)

» 2010年12月24日 10時56分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 日本の携帯電話市場は2010年下半期からスマートフォンの話題で持ちきりだったのではないだろうか。海外市場も同様であり、特にAndroid端末が複数メーカーから多数登場し、シェアを一気に伸ばした。また、iPhone4の伸びは予想通りだっただろうが、一方でNokiaとSymbianが大きくプレゼンスを落としたことはなかなか予測できなかっただろう。ということで、海外市場で目に付いた注目の製品は、やはりAndroidスマートフォンばかりだった。

iPhoneの真の好敵手――Samsung「GALAXY S」

photo 「GALAXY S」

 iPhoneがスマートフォン市場で存在感を高めていく中、ライバル各社も対抗製品を次々と市場に投入していったものの、iPhoneと肩を並べる製品はなかなか登場しなかった。しかしSamsung電子の「GALAXY S」は世界中でヒット商品となり、地元韓国では200万台を突破、全世界でもシリーズ製品を合わせると1000万台の大台を超えることが確実となっている。日本でも話題となったGALAXY Sだが、海外市場でも今年は大きな注目を浴びた製品となった。

 GALAXY Sの海外市場での成功の最大の要因は、Samsung電子がここ数年開発を続けてきた最新技術の集大成ともいえる“最高の製品”だからだろう。高速なCPUやメモリ、スーパー有機ELディスプレイなどすべて自社開発の製品であり、そのすべてを搭載したGALAXY Sは、Samsungの顔、すなわち同社のフラッグシップ製品として競合他社製品よりも抜きん出た存在になりえたわけだ。海外では高機能端末といえばフィーチャーフォンよりもスマートフォンであることからも、ハイエンド嗜好の消費者のニーズをしっかりとらえている。

 その一方で、119グラムに抑えられた重さや曲線を多用した本体のデザインなど、女性ユーザーが持つことも考えた仕上がりにしたのは、アジアのメーカーならではだろう。10月は日本でもNTTドコモから同型機が発売され、いきなりシェア上位に躍り出た。これは海外向けにきちんと作り上げた製品であれば、国を問わず受け入れられることを実証したともいえる。全世界で大ヒットしたGALAXY Sは、海外でも今年最も印象に残る製品だった。

超小型の実力派――Sony Ericsson「Xperia X10 mini」

photo 「Xperia X10 mini」

 海外メーカーのスマートフォンが日本でも増えているが、その多くはハイスペックモデルであり、手ごろな価格で購入できるミッドレンジ以下の製品はなかなか投入されないようだ。イー・モバイルが発売を予定している「Pocket Wifi S」も、海外ではスマートフォンのエントリー機種として販売されている。日本のスマートフォンは高性能であるべき、というイメージがあってか、モバイルWi-Fiルーター機能が大きく訴求されている。

 だが海外ではPocket Wifi Sクラスのスマートフォンが数を増やしており、それがスマートフォン利用者拡大にも大きく寄与している。つまりこのクラスの製品にも見逃せない端末がたくさん登場しているのである。その中で一番の注目製品には、Sony Ericssonの「Xperia X10 mini」を挙げたい。同社の「Xperia X10」は、日本でも「Xperia(SO-01B)」が世界同時発売されたように、発売当時はハイエンドスマートフォンとして市場で大きな注目を浴びた。そして次に登場したXperia X10 miniは、手のひらサイズの超小型端末だった。

 Xperia X10 miniは何といっても、小さいのにちゃんとスマートフォンであるという点が驚きだ。バッテリーを交換できないほどSony Ericssonは小型化に苦心したようだが、価格も安く、かわいらしいデザインからスマートフォンと思わずに買った人も多かったようだ。難しいことを考えずに純粋に“楽しめる端末”として割り切った製品にしたのが成功の要因で、日本でもぜひ発売してほしい。2011年もこの小型スマートフォン分野はSony Ericssonにけん引してもらいたいと思う。

photo カラフルな6色のボディカラーをラインアップしたXperia X10 mini

世界進出を期待したい――Lenovo「LePhone」

photo 「LePhone」

 2010年は各社が販売台数を増やす中、10位以下のメーカーが第3四半期に約30%ものシェアを取るなど、大手以外のメーカーが存在感を示した年でもあった。来年以降、この“その他”メーカー群のシェアはさらに伸びることも予想される。それをけん引するのは中国の中小メーカーだ。それらの格安端末は東南アジアやインドだけではなく、欧米にも少しずつ製品が流れ出すなど、その存在は無視できないものになりつつある。

 その一方で、中国の大手メーカーは海外メーカーと国内中小メーカーの板ばさみにあい、販売数が伸び悩んでいる。各社は3G製品やスマートフォンに活路を見出そうとしているが、品質や機能、そしてコストの面でなかなか特徴を出し切れずにいる。その中でLenovoが出したAndroid端末「LePhone(楽Phone)」は、中国内で快調なヒットを飛ばしており、同社だけではなく中国メーカーのスマートフォンの代表ともいえる存在になった。

 LePohneは今年春の発売直後に10万台を売り上げ、中国国内では品切れが続出するほどの人気商品になった。金属を多用したボディーに鮮やかなカラーリング、そして独自のUIが中国では受けたようだ。外付け式のフルキーボードを取り付けるとクラムシェル型となるギミックも面白い。W-CDMA版やCDMA2000版など複数の通信方式別のモデルが登場して販路も広げている。

 スペックもCPUはSnapdragon 1GHz搭載、3.7インチ480×800ピクセルの有機ELディスプレイ、300万画素カメラなど大手メーカーのミッドレンジクラス以上を実現している。同社のPC製品のように、このLePhoneも全世界での発売が期待される。来年は中国でも後継機種がでるだろうが、その際は日本を含めた海外展開もぜひ視野に入れてほしいところだ。

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