ソーシャルゲームも提供――配信型コンテンツに注力するパナソニック モバイル

» 2010年12月28日 13時48分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo パナソニック モバイルコミュニケーションズ、商品企画グループ ネットサービス企画チーム主事の相澤淳氏

 フィーチャーフォンの世界において、きせかえコンテンツなどを気軽にダウンロードできる場としておなじみの“メーカー公式サイト”に、新たな動きが出始めている。これまでメーカー公式サイトのコンテンツは無料が基本だったが、パナソニック モバイルコミュニケーションズは5月から有料コンテンツの配信にも乗り出し、ラインアップを拡大させている。

 iモード登場初期から、待受画面ダウンロードやメニューカスタマイズに対応した端末を世に送り出し、近年ではWオープンスタイル端末向けに“ガンダム”や“レイトン教授”といったビッグタイトルをプリインストールするなど、同社は継続的にコンテンツ事業に力を注いできた。その上で今後、より一層力を注いでいくのが「配信」によるコンテンツ提供だと、同社商品企画グループ ネットサービス企画チーム主事の相澤淳氏は話す。

 「コンテンツ提供には内蔵と配信という2つのジャンルがありますが、今後は配信を伸ばしていきたいと考えています。ニーズの多様化に合わせ、コンテンツを選んでいただける環境を整えていきたい。まずはメーカーサイトから新たな取り組みを始めます。これまでは基本的に無料コンテンツを提供してきましたが、プラスアルファとして有料コンテンツも充実させていきます」

 iモード公式メーカーサイト「P-SQUARE」では、5月に有料コンテンツ配信コーナー「P-SQUARE MARKET」を開設し、Wオープンスタイルで快適に楽しめる「電車でGO!山手線ワイド版」や、タッチパネル端末向けにiPhoneアプリでもおなじみの「つみネコ」といった各種アプリを提供している。12月には人気キャラクターのきせかえツールも配信開始し、ハローキティや宇宙戦艦ヤマトのコンテンツが用意されている。また、「風来のシレンforP 月影村の怪物」も新たに追加され、ラインアップが徐々に広がりつつある。


photophoto 「電車でGO!山手線ワイド版」と「つみネコ」
photophoto きせかえコンテンツと、「風来のシレンforP 月影村の怪物」

 公式サイトでのコンテンツ提供はあくまでも「端末の満足度向上」のための施策であると相澤氏は言う。端末の特徴に最適化したコンテンツを提供したり、歩数計などの端末機能と連動したコンテンツを提供したりすることで、端末の付加価値を高めていくという。

 その一方で、P端末以外へのコンテンツ配信にも着手する。ドコモマーケット(iモード)でのコンテンツ提供だ。同社が独自に用意したコンテンツや、P-SQUARE MARKETで提供する各種アプリを、あまたあるCP(コンテンツプロバイダー)の1社として配信するという。

ソーシャルアプリの提供も

photo 「マジックアバターバトル(仮)」のキービジュアル

 また、新たなコンテンツへの取り組みとして、ソーシャルアプリの提供も行う。第1弾は「マジックアバターバトル(仮)」。カードを集めるというコレクション要素やソーシャル要素、さらには対戦要素もあるゲームになっているようだ。Webアプリとして他社端末のユーザーも参加できるという。

 基本的には無料で楽しめるが、多くのソーシャルゲームと同じく、アイテム課金を取り入れる考え。企画開発にはソーシャルメディアコンサルティングを行うループス・コミュニケーションズが参加している。メーカーサイトなどでアプリを告知し、同ゲームの認知拡大を進めていくという。



 スマートフォンの登場により、「オープンな場でコンテンツを買う環境が出てきた」と語る相澤氏。その中で、無料コンテンツや内蔵アプリの提供にとどまらず、メーカーならではのコンテンツ配信の場を強化していくことは、将来的に同社が投入するAndroid端末の付加価値向上にも生かしていけるはずだ。ただ、モバイルコンテンツの流行りすたりは激しく、端末の付加価値として訴求するにはコンテンツの頻繁な更新が必要だろう。メーカーがコンテンツ事業を拡大する上では、こうしたユーザーの消費スピードに応える規模のマーケットを用意できるかが重要だ。

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