第1回 CPU、サイズ、対応機能とサービスに秀でたモデルは?――最新Android12機種を横並び比較最新ケータイ徹底比較(スマートフォン2010年冬モデル編)(1/2 ページ)

» 2011年01月17日 22時07分 公開
[田中聡,ITmedia]

 2010年はスマートフォンが本格的に普及する契機になった年だったといえる。

 日本でスマートフォンといえば「iPhone」が大きなシェアを占めていたが、2010年はAndroid OSを採用したモデルが多数発売された。iPhoneを含むこれまでのスマートフォンは、キャリアメールやおサイフケータイ、赤外線通信など、従来のケータイで使っていた機能を備えないモデルが多かったが、シャープや東芝製モデルを筆頭に、日本ならではの機能を持つAndroid端末も登場した。従来はケータイにスマートフォンを組み合わせて2台で使い分けるスタイルが主流だったが、スマートフォン1台だけを使う人も増えたのではないだろうか。

 2010年度冬春モデルでは、実に多くのAndroid端末が発表された。どれも同じOSを採用しているとはいえ、UI(ユーザーインタフェース)、機能、サービスなど異なる部分は多い。これまでケータイで慣れ親しんでいた機能をどこまで使えるのかも気になるところだ。今回は2010年10月28日に発売された「GALAXY S」から、1月14日に発売された「Pocket WiFi S」まで、NTTドコモ、au、ソフトバンク、イー・モバイルの最新Androidスマートフォン12機種の外観やスペック、使い勝手を比較していく。カタログに掲載されているスペックはもちろん、実際に使わないと分からない操作感も比較していく予定だ。第1回は基本スペックと対応機能、サービスをまとめた。

photo 上段左からNTTドコモの「GALAXY S」「GALAXY Tab」「LYNX 3D SH-03C」「REGZA Phone T-01C」、auの「IS03」「SIRIUS α IS06」、下段左からソフトバンクの「DELL Streak 001DL」「HTC Desire HD 001HT」「GALAPAGOS 003SH」「Libero 003Z」、イー・モバイルの「HTC Aria」「Pocket WiFi S」

基本スペック:001HTと003SHがQualcommの最新チップセットを搭載

 OSがどのバージョンであるかは、ユーザーにとっては大きな関心事の1つだろう。ソフトバンクモバイルは、2011年度冬春モデルで発表したAndroid端末はすべてAndroid 2.2を採用したことをアピールしている。イー・モバイルの千本会長も「Android 2.2の搭載」を同社スマートフォンの魅力の1つだと話している

 今回取り上げた12機種では、Samsung電子、Pantech&Curitel、HTC、Huawei、ZTE、DELLといった海外メーカー製のモデルはすべてAndroid 2.2を採用している。日本メーカー製モデルはシャープ製「GALAPAGOS 003SH」のみがAndroid 2.2を採用。「LYNX 3D SH-03C」「REGZA Phone T-01C」「IS03」のOSはAndroid 2.1だが、今春にAndroid 2.2へアップデートすることが明言されている。

 端末の動作速度を測る上でCPU性能も見逃せない。多くのスマートフォンがQualcommのチップセットを採用しているが、この中では新しい第2世代Snapdragon「MSM8255」を備えるのが、GALAPAGOS 003SHと「HTC Desire HD 001HT」の2機種だ。Samsung電子のGALAXY Sと「GALAXY Tab」には、自社(Samsung電子)製のチップセット「S5PC110(1GHz)」を搭載している。GALAXY SとGALAXY Tabの動作速度は、MSM8255搭載機と比べても遜色なく、高いパフォーマンスを実現している。またau春モデルの「IS05」には、CDMA2000 1x EV-DO Rev.A/Bなどに対応する第2世代Snapdragon「MSM8655」が搭載される予定。003Z、HTC Aria、Pocket WiFi SにはSnapdragonよりもやや性能の劣るQualcommのチップセットが使われている。

 操作感に直結するボディのサイズと重さも重要だ。この中では「SIRIUS α IS06」「Libero 003Z」、Pocket WiFi S、「HTC Aria」が小型軽量だ。幅は約54.8ミリのPocket WiFi S、高さは約103.8ミリのHTC Ariaが最も小さい。厚さは12機種の中では唯一の1ケタ台である9.9ミリのGALAXY Sが最薄だ。重さは発表当時(2010年10月)は約109グラムのIS06が最軽量だったが、Pocket WiFi S(約105グラム)にその座を奪われてしまった(それでも十分軽いが)。GALAXY S(約118グラム)、003Z(約120グラム)、HTC Aria(約115グラム)も軽い。GALAXY Sは幅が約64ミリあるので小型とはいえないが、9.9ミリ/118グラムの薄型軽量ボディは魅力的だ。

photophoto 左からT-01C、SH-03C、GALAXY S、GALAXY Tab(写真=左)。左からIS03とIS06(写真=右)
photophoto 左から001DL、001HT、003SH、Z003(写真=左)。左からHTC AriaとPocket WiFi S(写真=右)
photophoto HTC AriaとPocket WiFi SはGALAXY SなどハイエンドなAndroid端末よりも二回りほど小さい。参考までにPocket WiFiも並べてみた(写真=左)。左からPocket WiFi S、HTC Aria、Z003、IS06。今回の12機種の中では小型軽量ボディを実現している(写真=右)
photo タブレットのGALAXY Tabと001DL。7インチディスプレイを備えるGALAXY Tabの方が大きい

 一方、タブレット型のGALAXY Tabと「DELL Streak 001DL」を除くと、幅と重さの数値は001HTが最も高いが、同モデルのボディにはアルミの削り出しを使っており、他のモデルにはない高い質感が得られる。GALAXY Tabは幅120ミリながら片手で持てることがアピールされているが、フリックやスクロールなど実際の操作は両手を使わないと難しい。片手でも持てるが、長時間の片手持ちや手の小さい人の場合は厳しそうだ。閲覧時は片手、操作時は両手を使う方がいいだろう。幅約79.1ミリの001DLはタブレットというよりは大きいスマートフォンという印象で、筆者は片手のみでもギリギリ操作できると感じた。ただ、(片手に限ったことではないが)001DLを縦向きで持つと、左側面の(むき出しの)接続端子に指が当たるのが少々気になった。

photophoto 001DLを縦向きに持つと、接続端子が指に当たる(写真=左)。001HTのボディはずっしりとした印象だが、質感が高い(写真=右)

 今回の12機種には含まれないが、IS05はPocket WiFi Sに迫る55ミリの細いボディであるほか、今春の発売が予想される「Xperia arc」は8.7ミリというGALAXY Sをしのぐ薄さを実現している。これまでのケータイと同じように、スマートフォンの小型・薄型化もさらに進んでいくだろう。

基本スペック
OS CPU サイズ(幅×高さ×厚さ) 重さ
GALAXY S Android 2.2 S5PC110(1GHz) 約64×122×9.9(最厚部約12)ミリ 約118グラム
GALAXY Tab Android 2.2 S5PC110(1GHz) 約120×190×12.1(最厚部約12.2)ミリ 約382グラム
LYNX 3D SH-03C Android 2.1 QSD8250(1GHz) 約62×123×13.4ミリ 約140グラム
REGZA Phone T-01C Android 2.1 QSD8250(1GHz) 約62×126×11.9(最厚部約14.7)ミリ 約149グラム
IS03 Android 2.1 QSD8650(1GHz) 約63×121×12.6ミリ 約138グラム
SIRIUS α IS06 Android 2.2 QSD8650(1GHz) 約60×116×11.7ミリ 約109グラム
DELL Streak 001DL Android 2.2 QSD8250(1GHz) 約79.1×152.9×10.1ミリ 約220グラム
HTC Desire HD 001HT Android 2.2 MSM8255(1GHz) 約68×123×11.8ミリ 約164グラム
GALAPAGOS 003SH Android 2.2 MSM8255(1GHz) 約62×121×12ミリ 約140グラム
Libero 003Z Android 2.2 MSM7227(600MHz) 約57×114×12.2ミリ 約120グラム
HTC Aria Android 2.2 MSM7227(600MHz) 約57.7×103.8×11.7ミリ 約115グラム
Pocket WiFi S Android 2.2 MSM7225(528MHz) 54.8×104×13.5ミリ 約105グラム
※OSは2011年1月17日時点のもの。

バッテリー:GALAXY Tabが最大、IS03が最小

 7インチの大型ディスプレイを備えていることもあり、GALAXY Tabが最も容量の大きい4000mAhのバッテリーを搭載している。1000〜1500mAhのバッテリーを搭載するモデルが大半であることを考えると4000mAhは非常に大きい。これに比例して連続待受時間と連続通話時間も12機種中最長だ。用途にもよるが、ブラウザやTwitterなどを1日アクティブに使っても、それほど困ることはないだろう。ただしGALAXY Tabはリアカバーを開けられずバッテリーは交換できない仕様なので、予備バッテリーを使うことはできない。

 次いで001DL(1530mAh)とGALAXY S(1500mAh)が大きなバッテリーを備えている。最もバッテリー容量が少ないのがIS03の1020mAh。筆者はIS03を普段使いしているが、バッテリーの持ちには不満を感じることが多い。IS03より小型のPocket WiFi SとHTC Ariaも1200mAhのバッテリーを備えているので、もう少し頑張ってほしかった。

バッテリー関連
バッテリー容量 連続待受時間 連続通話時間
GALAXY S 1500mAh 約510時間(W-CDMA)、約480時間(GSM) 約380分(W-CDMA)、約420分(GSM)
GALAXY Tab 4000mAh 約1600時間(W-CDMA)約1160時間(GSM) 約910分(W-CDMA)約1150分(GSM)
LYNX 3D SH-03C 1400mAh 約410時間(W-CDMA) 約270分(W-CDMA)
REGZA Phone T-01C 1300mAh 約370時間(W-CDMA)、約250時間(GSM) 約280分(W-CDMA)、約260分(GSM)
IS03 1020mAh 約200時間(国内)、約110時間、約180時間、約270時間(海外※国によって異なる) 約230分(国内)、約260分(海外)
SIRIUS α IS06 1320mAh 約200時間 約300分
DELL Streak 001DL 1530mAh 約370時間(W-CDMA)、約359時間(GSM) 約340分(W-CDMA)、約250分(GSM)
HTC Desire HD 001HT 1230mAh 約401時間(W-CDMA)、約384時間(GSM) 約320分(W-CDMA)、約371分(GSM)
GALAPAGOS 003SH 1390mAh 約410時間(W-CDMA)、約350時間(GSM) 約420分(W-CDMA)、約380分(GSM)
Libero 003Z 1250mAh 約420時間(W-CDMA)、約310時間(GSM) 約390分(W-CDMA)、約370分(GSM)
HTC Aria 1200mAh 約400時間(W-CDMA) 約350分(W-CDMA)
Pocket WiFi S 1200mAh 約240時間(W-CDMA) 約350分(W-CDMA)

ディスプレイ:写真と映像はGALAXY S、文字はIS03が見やすい

 ディスプレイはGALAXY Sが高コントラスト、広視野角のスーパー有機EL(SUPER AMOLED)を採用。メール、ブラウザ、Twitterアプリなどの利用時には正直なところそれほど利便性は感じなかったが、YouTubeで動画を見たり、写真を見たりする際に、ほかの機種よりも色鮮やかで美しいと感じた。視野角が広いので、映像を複数人で見るときにも威力を発揮する。3Dコンテンツの視聴や写真やワンセグなど2Dから3Dに変換できる3D液晶は、SH-03Cと003SHが備えている。IS03はサブディスプレイとして、常時表示が可能なメモリ液晶(208×40ピクセル)を備えている。

 ディスプレイサイズはGALAXY Tabと001DL(約5.0インチ)を除くと、約4.3インチの001HTが最も大きい。解像度はGALAXY Tabを除くと640×960ピクセルのIS03が最大。IS03のダブルVGA液晶と、多くのAndroid端末が採用するワイドVGA液晶を比べると、ブラウザやTwitterクライアントなどテキスト中心の画面では、明らかにIS03の方が高精細で文字が鮮明に読めると感じた。IS03のディスプレイサイズは約3.5インチとやや小さいが、視認性は他機種を一歩リードしている。ただしダブルVGAの画面比率はやや変則的で、16:9のワンセグや1280×720ピクセルのHD動画を適切なサイズで観る際は、ワイドVGA画面よりも大きな余白(黒い帯)が上下に生じるので、一長一短ともいえる。

 HTC AriaはハーフVGA(320×480ピクセル)、Pocket WiFi SはQVGA(240×320ピクセル)液晶を備えており、他のモデルよりは解像度が低いが、このあたりは小型ボディとのトレードオフと考えたい。

photophoto 左からGALAXY S、003SH、IS06。GALAXY Sの方が鮮やかかつ広視野角の表示が可能
photophoto 同じワンセグの映像をIS03(上)と003SH(下)で表示。003SHの方が画面の比率が16:9に近いので、表示サイズも003SHの方が大きい(写真=左)。左からIS03、003SH、GALAXY S。「モリサワ新ゴR」を採用するシャープ製2機種の方が、文字の視認性が高い。IS03と003SHの差は写真からは分かりにくいが、IS03の文字の方が鮮明だ(写真=右)
ディスプレイ
ディスプレイの種類 サイズ 解像度 色数
GALAXY S スーパー有機EL 約4.0インチ 480×800ピクセル 約1677万色
GALAXY Tab TFT液晶 約7.0インチ 600×1024ピクセル 約1677万色
LYNX 3D SH-03C NEWモバイルASV液晶 約3.8インチ 480×800ピクセル 約6万5000色
REGZA Phone T-01C TFT液晶 約4.0インチ 480×854ピクセル 約26万色
IS03 NEWモバイルASV液晶 約3.5インチ 640×960ピクセル 約6万5000色
SIRIUS α IS06 TFT液晶 約3.7インチ 480×800ピクセル 約1677万色
DELL Streak 001DL TFT液晶 約5.0インチ 480×800ピクセル 約6万5000色
HTC Desire HD 001HT TFT液晶 約4.3インチ 480×800ピクセル 約6万5000色
GALAPAGOS 003SH NEWモバイルASV液晶 約3.8インチ 480×800ピクセル 約6万5000色
Libero 003Z TFT液晶 約3.5インチ 480×800ピクセル 約6万5000色
HTC Aria TFT液晶 約3.2インチ 320×480ピクセル 約6万5000色
Pocket WiFi S TFT液晶 約2.8インチ 240×320ピクセル 約26万色

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