昨年、スマートフォンと並んでヒット商品になったのが、キャリア各社が販売する「モバイルWi-Fiルーター」だ。ノートPCだけでなく、iPadなどタブレット端末や携帯ゲーム機、iPod touchのようなマルチメディアプレーヤーまで、Wi-Fi経由で手軽にインターネットに接続できるモバイルWi-Fiルーターは、商品ラインアップが充実したこともあり、家電量販店やキャリアショップの売れ筋商品の1つになっている。
このモバイルWi-Fiルーターに何を求めるのか。価格や通信スピード、携帯性、バッテリー駆動時間など、重視するポイントは人それぞれであろうが、“出張族”である筆者は「安心して使えるサービスエリア」を重点項目のトップにしている。仕事でインターネットを使う以上、“使いたいときに使える”ことが最も重要なのだ。その観点から、筆者が昨年からNTTドコモの「BF-01B」を利用していることは、過去のコラムやリポートにも書いたとおりである。
では、この「ドコモ品質のサービスエリア」とは、どれほどのものなのか。筆者が訪れた全国各地の出張先で、BF-01Bのベンチマークテストを実施。空港アクセスの特急電車や、車内インターネットサービスのない新幹線などで“ドコモのインフラ力”を試してみた。
エリアテストの手始めは、2010年に新路線が開業した京成電鉄の「スカイライナー」だ。羽田空港の国際線就航によって少し陰が薄くなってしまったが、今でも海外出張・海外旅行で成田空港を使う人は多いだろう。スカイライナーは、新路線の成田スカイアクセス線(正式名・成田空港線)によって、成田空港と都内を最短36分で結んでいる。
周知のとおり、もう1つの成田空港へのアクセス路線であるJR東日本の「成田エクスプレス」では、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXサービスをバックボーンにして、車内の有料Wi-Fi接続サービス(UQ Wi-FiおよびBBモバイルポイント)が提供されている。しかし、スカイライナーには今のところWi-Fi接続サービスが用意されていないため、車内でインターネットを利用するには、自らモバイルデータ通信サービスを用意する必要がある。
筆者は今回、海外出張に合わせて日暮里駅からスカイライナーに乗り込み、成田空港までBF-01Bのベンチマークテストを行った(※1)。その結果は、区間内での平均は下り1.68Mbps、上り0.38Mbpsというものだった。スカイライナーは、在来線としては日本最速となる、最高時速160キロまで加速する。その点を鑑みれば、この実効速度はかなり優秀であると言えるだろう。
実際にテストして印象的だったのは、京成高砂駅から成田空港までの成田高速鉄道アクセス線での実効速度が予想以上に速かったことだ。ここは郊外および田園部であるだけでなく、スカイライナーも時速100キロ以上で走っており、高速データ通信にはやや厳しい環境なのだが、それでも下り1Mbps以上の実効速度が出ていた。なお、今回のテストで最高速となった下り2.63Mbpsも、この成田高速鉄道アクセス線内で計測された結果だ。
東の成田空港とくれば、西の国際空港である関西国際空港までのアクセスも気になるところ。そこで大阪出張の時に足を伸ばして、JR西日本の関西空港アクセス特急である「はるか」でもBF-01Bを試してみた。
今回乗車したのは新大阪から関西国際空港の区間。大阪の市街地を超えて、天王寺からの港湾部、そして大阪湾内泉州沖5キロの人工島までの路線でベンチマークテストを実施している。
その結果はというと、全区間の平均で下り1.7Mbps、上りで0.35Mbpsとなった。下りのスピードは市街地から港湾部まで安定的に1.5Mbps程度が出ており、Webやメールの利用にはまったく問題ない。関西国際空港のある人工島までの洋上区間も、圏外になることなくインターネットが利用できた。これなら関空に向かう間に資料を作成してメールする、といったこともできそうだ。
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