「Xperia PLAY」のゲームには“2つの側面”――ソニエリ大澤氏に聞くXperiaラインアップ拡大戦略Mobile World Congress 2011(1/2 ページ)

» 2011年02月25日 19時11分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 大澤斉氏

 2011 International CESでの「Xperia arc」の発表に続き、Mobile World Congress 2011に合わせてSony Ericssonは「Xperia neo」「Xperia pro」「Xperia PLAY」と新モデルを続々と発表。Xperiaシリーズ拡充の姿勢を全世界にアピールした。同社は新ラインアップのコンセプトや商品戦略をどのように考えているのか、さらにタブレット端末の開発や日本市場向けのカスタマイズについてどんな考えを持っているのか――Sony Ericssonでプロダクトの商品企画を統括する大澤斉氏に聞いた。


強いXperiaブランドを担う主軸3モデルと、横の広がり

―― 今回の発表でXperiaのラインアップはかなり幅広くなった印象を受けますが、こうしたモデル群をユーザーが受け入れる土壌は整ってきたと思われますか?

大澤氏 もちろんです。今や我々の予測を上回る速度でスマートフォンへの移行は世界各国で起きています。日本でもドコモさんが来期は600万台とおっしゃっていますよね。さらに移行が速いのが韓国で、日本より1年ぐらい進んでいる印象を受けます。アメリカはメッカですので、もちろんスマートフォンがないと戦えませんし、ヨーロッパもその流れをくんで需要が急激に拡大しています。

―― XperiaはいずれもOSにAndroidを採用していますが、今後はAndroidがSony Ericssonの主力商品になるのでしょうか?

大澤氏 今の断面ではAndroidにフォーカスしていきます。グローバルレベルでは2.5Gの端末もありますので、すべてではありません。しかし、我々の戦略商品群は、“Xperia=Android”という戦略を軸に展開していきます。

―― 新たなXperiaラインアップそれぞれのコンセプトやターゲットを教えてください。

大澤氏 まず、CESで発表したXperia arcですが、これは昨年に発表した「Xperia X10」の後継機種であり、我々のフラッグシップモデルです。Xperiaブランドの基幹を担う商品で、ハイエンド志向のお客様をターゲットにしています。

 次にXperia neoですが、このモデルはミドルレンジとしてのラインアップです。2010年度はミドルレンジにSymbian OSの端末を使っていましたが、Androidにフルフォーカスします。Xperia neoは幅広いユーザー層を想定していますが、サイズコンシャスなモデルですので、特に片手での操作性にこだわるお客様を狙っています。ヨーロッパを中心に、ワンハンドソリューションに対するニーズは高いです。

photophoto Xperia arc(写真=左)とXperia neo(写真=右)

 さらに、「Xperia X10 mini」も継続して販売します。我々はarc、neo、miniの3モデルを“強いXperiaブランドを作るための主軸商品群”として位置付けており、これが商品戦略の軸足となります。

photo Xperia X10 mini

―― ハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドのそれぞれでXperiaブランドを打ち出していくということですね。気になるのは、arcとneoの差別化です。neoは1GHzのSnapdragonや裏面照射型CMOSセンサーのExmor Rなど、スペック的にも充実した印象を受けますが、このモデルは“ミドルレンジ”なのでしょうか?

大澤氏 ミドルハイ、という感覚で捉えていただけるといいでしょう。差別化に関してお話しすると、Xperia neoはまず、ワンハンドで使いやすいボディが大きな特徴です。それに対し、Xperia arcでは、ボディの薄さとクオリティの両立にこだわっています。妥協のない機能が、ここまでの薄さに収まっていることに価値を感じていただければ。薄型化にあたって、液晶とガラス面の隙間をなくす「クリアブラックパネル」の技術も取り入れています。これは、neoには採用されていないものです。

―― なるほど。

大澤氏 これら3モデルがメインの商品軸ですが、それだけではお客様のご要望を満たすことはできないと考えており、今回はさらにラインアップを広げました。その1つが、ゲームのプロポジションをスマートフォンに取り入れたXperia PLAYです。我々の長年の夢であり、挑戦といえる端末です。

 最後にXperia proですが、このモデルはQWERTYキーボードを搭載し、文字の打ちやすさにこだわったモデルです。我々は「コミュニケーション・エンターテインメント」を掲げる会社ですので、こうしたモデルでコミュニケーションの楽しさを打ち出すことも重要と考えています。また、従来から提供する「Xperia X10 mini pro」も、同じ方向性に属するモデルとして展開します。

 主力3モデルを縦軸に、テキストインプットに配慮したpro、遊び心たっぷりなPLAYと、横の広がりを持たせたのが今回のラインアップです。この広がりはまだまだ拡大の余地があると思っています。

photophoto Xperia PLAY(写真=左)とXperia pro(写真=右)

Xperia PLAYのゲームに“2つの側面”

―― 今回のラインアップではXperia PLAYが特にユニークで、読者からの注目も高いです。この端末で楽しむゲームは、過去のプレイステーションタイトルが中心になるのでしょうか?

大澤氏 直近ではそうですが、PLAYのゲームは基本的に“2つの側面”で広がりがあると考えています。つまり、プレイステーションゲームを楽しむという側面に加え、Androidマーケットに公開されたゲームをPLAYならではの体験性で楽しめるという側面があります。

―― AndroidマーケットにあるゲームがPLAYのゲームパッドで遊べるようになるということですか?

大澤氏 当然、ゲームパッドで遊べる場合とそうでない場合とがありますが、今後はPLAYで遊ぶことを念頭に置いたゲームを作ってこられる方が出てくると思います。端末の仕様やAPIさえ公開すれば、加速度的、自然発生的にゲームパッドで遊べるアプリが増えていくと考えています。

 また、ゲームアプリはもちろんなのですが、コミュニケーションのためのアプリなど、我々が予想しないようなさまざまなジャンルで、PLAYの特徴を生かした新しい利用スタイルが生まれることにも期待しています。やはり、いろんなアイデアが自然発生的に集まってくるのがオープンプラットフォームの良いところでしょう。

―― ゲーム専用機とは違い、電話が鳴ったり、バックグラウンドで動いているプロセスがゲームの挙動に影響したりといったことが想像されるのですが、ゲーム体験のクオリティ管理に関してはどのようにお考えですか。

大澤氏 難しい部分ですね。我々がAndroidマーケットにあるすべてのゲームをチェックできるわけではないので、公開されたAPIの範囲内でゲームを作ってもらうことをお願いするしかありません。ゲーム中に着信があった際には、ゲームが一端ポーズされて着信画面に移り、電話が終わればまたゲームを再開できる、という流れを考えています。

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