位置情報×メッセージング×グループの使い道――「Beluga」松村太郎の「iPhone生活」

» 2011年06月14日 12時26分 公開
[松村太郎,ITmedia]

米国出張中に役立ったグループメッセージングアプリ

 2011年の4月末から15日間、サンフランシスコ、ニューヨーク、ボストンを巡る米国出張に出ていた。海外パケット定額制で1日あたりのパケット代に上限ができたとはいえ、ソフトバンクのキャンペーン料金であっても通信料金は1日1480円。15日間使うと2万2200円になってしまい、仕事とはいえちょっと節約したい気分になる。しかも、瞬時に端末に届くSMSや通話はこれに含まれず、SMSも1通送信するのに100円かかってしまうわけで、いかに通信料を節約するかという現実的なチャレンジの15日間でもあった。

 結論から言うと、海外パケット定額を利用した日は到着した日の1日だけだったし、SMSや通話もほとんど使わずにすんだ。サンフランシスコもニューヨークも、スターバックスだけでなく多くのレストランが来店客向けにWi-Fiアクセスポイントを解放しており、ボストンは学会でホテルに缶詰めだったからだ。空港でもWi-Fiを無料で利用でき、行動範囲で通信が必要な場面で無料のWi-Fiがほとんど整っているという状況だった。逆に、通信できる場所が限られていると、常につながり続けている必要があるわけではない、ということに気付かされたのかもしれない。

 通話はSkypeに加えてViber(これも後日ご紹介したいと思う)を利用し、メールはGmailやMobileMeメールを利用していた。SkypeにもViberにもチャット機能がついているため、文字のやりとりも可能だったが、それ以上に役立ったのが今日ご紹介するBelugaだ。ちなみにBelugaを提供するBeluga Inc.はFacebookに買収されている。

 BelugaはiPhoneとAndroid向けのアプリとして提供されており、FacebookでログインするとFacebook上の友人とテキストメッセージのやりとりが行えるようになる。「Pod」と呼ばれるチャットルームを作り、そこに人を追加したり、削除したりしてメッセージをやりとりする相手を決める。Podにメッセージを書き込めば、相手のiPhoneにプッシュ通知が飛び、メッセージの着信を知らせることができる。PCのブラウザからの書き込みも可能だ。

 Belugaには位置情報の通知機能がある。自分や相手がメッセージを書き込んだ場所の位置情報を記録し、メッセージとともに送信し、Pod内のメンバーがどこからメッセージをやりとりしているのかを地図上に表示してくれるのだ。この機能は、初めて訪れた場所で分散して行動している仲間同士で待ち合わせたり、合流しようとするときに非常に便利だった。

 そしてもちろん、SMSのように1通あたりの送信料金は取られないため、フリーのWi-Fiで、あるいは海外パケット定額料金の中で利用できる点も、海外でのメッセージのやりとりには威力を発揮してくれた。

PhotoPhoto 米国出張でとても役に立った「Beluga」

ノマドワーク、分散ワークのミーティングポイントを見つけられる?

 日本に帰ってきて、引き続きBelugaでのコミュニケーションをチームで続けているが、今度はあまり慣れていない海外ではなく、ホームタウンでの活用についてもイメージが広がってくる。

 まずメッセージングとして、SMSはiPhoneやAndroid等のスマートフォン、あるいはケータイからしかチェックできない上、7月13日に事業者間での相互送受信に対応するものの、1通あたり3.15円がかかってしまう。しかしBelugaでは、スマートフォンからの活用であればパケット料金の中でやりとりが可能であり、パソコンからもPodにアクセスできる。Google ChromeやSafari向けのエクステンションが用意されており、ブラウザで着信通知が受けられるので便利だ。

 そして位置情報付きのメッセージのやりとりは、例えばノマドワークをしている相手との待ち合わせで最適な場所を見つけるのに非常に便利だし、今夏のように在宅で仕事をする「分散ワーク」が普及してくると、会社以外で分散しているメンバーとどこのカフェに集まって打ち合わせをすれば良いかを調整するにもぴったりのツールと言える。この夏は、もうオフィスに集まっていたり、みんな自宅でじっとしていたりしない、つまり仕事をする場所が流動的になるかもしれないからだ。

 しかしBelugaが順風満帆か、と言われるとそういうわけでもない。4月末から5月の頭にかけては非常に良好に動いていたが、ここ数週間、Webにつながらなかったり、メッセージが遅延して飛んできたり、少し不安定な状況だ。Facebookのメッセージで似たような機能が実現されるかもしれないが、それには時間がかかりそうだ。上手く動いているかどうか、あるいはコミュニケーションの方法を調整する意味合いも含めて、フェイス・トゥ・フェイスでちょっと試してみてから、導入してほしいと思う。

Button

Button

プロフィール:松村太郎

Photo

東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年