海外プリペイドSIM+無線LANルータ導入マニュアル──「ドイツ・ベルリン」編「1日100円ほどのお手軽価格」で買う海外定額データ通信(1/2 ページ)

» 2011年09月22日 14時00分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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ドイツの基本と通信事情

photo 東西冷戦の代名詞でもあったベルリン。古きよき街並みは今でも残っている

 16の連邦州があるドイツは、各都市それぞれが中規模であり、高速鉄道で網の目のように結ばれている。日本からはフランクフルトやミュンヘンなどへの航空便が存在するが、国内線への乗り継ぎや高速鉄道を使うことで他の都市への移動もなかなか容易である。

 今回訪問したベルリンは、2011年現在もっとも近いベルリン・テーゲル国際空港への直行便はなく、筆者はイギリスからの乗り継ぎ便でベルリン入りし、帰りはドイツ鉄道(DB)を使いフランクフルトへ抜けた。ちなみに、2012年には日本からの直行便もあるというベルリン・シェーネフェルト国際空港が開港予定である。

 さて、ヨーロッパ経済の中心ともいえるドイツ、利用される通貨はもちろんユーロだ。2011年9月時点での為替レートは1ユーロ=105円。ドイツの商店では比較的多くの商店でクレジットカードが利用できる。日曜日はほとんどの大型商店が休日となるため、文字通りウインドウショッピングしかできないので日程には少し注意が必要だ。とはいえ近年は日曜日も店を開けるところも増えており、筆者が今回訪問したときも家電量販店の一部は日曜の午後にも営業していた。

 ドイツには大手通信事業者が4社あるほか、MVNO事業者も数社がサービスを展開している。3Gはもちろんのこと2010年よりLTEサービスも一部で始まっている。大手通信事業者はヨーロッパ内では国を超えて営業しており、他国でも同じ事業者の名前を見かけることも多い。最大手のドイツテレコムはT-Moibleブランドで携帯サービスを行うほか、固定電話やブロードバンドも「T」のブランドで展開中だ。ドイツテレコムの店舗はその「T」のロゴが掲げられている。ほかの3社はイギリス拠点のVodafone、スペインTelefonica傘下のO2、そしてオランダKPN傘下に入ったE-Plusと国際色豊かな事業者が集まっている。


photophoto ドイツテレコムはピンクのTのロゴ。Vodafoneはドイツでも事業展開している

 そして、海外渡航者向けにもプリペイドSIMカードやプリペイド携帯電話を販売している。データ通信用のUSBモデムもプリペイドSIMカードとセットで売っている。ちなみに、ドイツはプリペイドSIMカードの購入には身分登録が必要のため、事業者店舗で購入する際に必ずパスポートを提示する必要はある。加えて、店舗によっては居住先情報が必要となるため、ホテルの住所が分かるパンフレットや名刺などを持っていくとよい。一部MVNOのSIMカードは家電量販店で登録不要で購入できるが、利用前にPCからオンラインでユーザー登録をする必要はある。家電量販店はSaturn、Media Marktの2大チェーンがドイツ各都市に店舗を構えている。

photophoto SaturnとMedia Marktでも携帯電話関連を扱っている
ドイツの通信事業者一覧 4G 3G 2G
ドイツテレコム(T-Mobile) LTE W-CDMA GSM(900M/1800MHz)
Vodafone LTE W-CDMA GSM(900M/1800MHz)
O2 W-CDMA GSM(1800MHz)
E-Plus W-CDMA GSM(1800MHz)

ベルリンのO2でモデムセットを購入

photo ブルーのサインが特徴のO2の店舗

 ベルリンには各通信事業者の店舗、家電量販店どちらも繁華街を中心に多くの店を構えているので探すのもそれほど困らないだろう。ドイツは都市によって店舗の対応が異なるようだが、ベルリンにおいてはどの店舗でも英語が通じ、また通信事業者の店舗ではクレジットカードの利用も問題なく利用できた。

 一方、家電量販店は現金のみの扱いで、家電量販店は都市によっては海外渡航者にプリペイド商品を販売してくれないケースがある。ベルリンでは各店舗とも問題なく購入できたが、筆者はフランクフルトでこちらの例に遭遇した。こちらは転売防止の店舗側リスク回避のためと考えられる。

 ノートPCで使用するUSBモデムは各社好みのものを選べばよいと思うが、今回は使いやすいと評判を聞いたO2のものを購入した。2011年9月現在の販売価格は、モデムに1週間分のデータ定額利用権が付属して29.99ユーロ(約3150円)で、旅行や出張での滞在ならこれで十分と思われる(もちろん利用権はあとから追加することも可能だ)。購入は、O2の店舗で「プリペイドのUSBモデムとSIMカードを買いたい」といえば、専用のパッケージを出してくれる。購入も簡単だ。

 パッケージにはZTE製のHSDPA対応USBモデム「MF190」とSIMカード、そして1週間分の利用パスワードが記載された紙などが入っていた。SIMカードをモデムにセットし、Windows PCのUSBポートに装着すればあとは自動でドライバ類のインストールが始まる。このあたりは日本を含むほかの国でも同じ操作なので戸惑うことはないだろう。モデムドライバのインストール終了後、続けて接続ツールのインストールが始まる。完全に作業が終わるまでしばらく待っていよう。


photophotophoto USBモデムセットのパッケージ。USBスティック型モデム本体とSIMカード、1週間分の利用権のためのカードが入っている(背面にスクラッチで数字が記載)。SIMカードは切り離してモデムにセットする
photophotophoto モデムを装着するとインストールが始まる。接続ツールを起動すると、初回のみZTEモデムを利用するかの確認するメッセージが表示される。“Yes”でよい

 インストール後、接続ソフトを起動するとデスクトップの上にソフトの情報ウィンドウが表示される。しばらくすると「ZTEモデムを利用するか」との確認がポップアップで表示されるので“Yes”を選択する(これは最初に利用するときだけ表示される)。

 それと前後して「Enter PIN Code」の表示が出る。ドイツのプリペイドSIMカードはロックがかかっており、利用する際の認証としてPINコードを入力する仕組みとなっている。PINコードはSIMカードの台紙の「Iher PIN」とある部分に書かれた4ケタの数字だ。こちらはとなりの「Iher PUK」の数字ではないので間違わないように。この数字を入力すればSIMカードのロックが解除され、利用可能になる。

photophoto SIMカードにはロックがかかっているので、カード台紙に記載されているPINコード(赤枠内)を入力する

 続いて(購入時に付属している)利用時間権の追加を行う。パッケージに入っている「Ihr gutscheincode」と書かれたカードのスクラッチ部分を削り、その番号を入力することで1週間の定額利用権が記録される。このカードの背面を見ると「1 woche gratis surfen」、すなわち1週間フリーサーフィン可能と記載されている。以前は1日分の番号が複数記載されていたパッケージもあったようだ。

 番号の入力は、接続ツールの右側、下に「o2Credit」と書かれたユーロ記号のアイコンをクリックする。ドイツ語のポップアップメニューが出てくるので、一番下の「Guthaben aufladen」(リチャージ)を押す。次の画面で番号入力を促されるので、12ケタの数字を入力する。

 この後サービスサーバとの通信が始まり、少し待つと登録完了だ。完了画面に「登録が終わったので、SMSの到着を待つように」と表記され、このままこの画面は「OK」ではなく、画面右上の「X」を押して閉じてかまわない。実は筆者は入力ミスによるエラーと勘違いして、再度同じ番号を何度も入力したところエラーメッセージのようなものに内容が変わってしまった。接続ツールの作りがこの部分だけはあまりよくないようだ。

 しばらくすると有効期限が記載されたSMSが届く。これでようやくネットアクセスが可能になる。接続ツール画面の“CONNECT”を押せば7日間、定額で利用できる。7日以上滞在する場合は、別途料金追加のためのバウチャーカードを買って追加するか、もしくはO2の店舗で電話番号を伝えればその場で料金を追加できる。その際はSIMカードを切り離した台紙を忘れずに店頭へ持って行くと手続きがスムーズで、店員さんにやってもらうことも可能だ。料金は1日3.5ユーロ、1カ月25ユーロだった。

photophotophoto ユーロマークのアイコンをクリック、ドイツ語のメッセージが出るので一番下を選択。あとはスクラッチを削って表示される12ケタの数字を入力する。最後の画面ではOKでなく「×」を押して閉じる
photo 届いたSMS。ドイツ語が分からなくても、何日まで使えるかなんとなくは理解できるだろう。日付表記はヨーロッパなので「日/月/年」の順だ
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