さらに、
といった技術も導入していく。
ハイブリッドARQ(Automatic Repeat reQuest:自動再送要求)は、屋内での利用環境をより改善するために適用するもの。制御メッセージ(制御情報)にハイブリッドARQを追加し、分割した制御情報の再送と合成を行うことで受信エラーを減少させる。約3〜4dB分のエリア拡大が望めるという。
ハンドオーバーは、ユーザーの移動により、通信基地局が変わっても通信・接続を維持するモバイルデータ通信に必要な技術。基地局変更により、ある通信中のデータパケットが失われるとTCPで再送処理を行い、データ伝送を維持する仕組みとなっているが、TCPフロー制御によってスループットの回復に時間がかかる特性がある。こちらは伝送帯域が十分でも発生し、高スループット時ほど顕著に表れる。“ハンドオーバーダウンリンクデータ保護機能”の導入により、ハンドオーバーでロストするパケットを物理層の転送処理で救済する仕組みが備わる。こちらにより、移動時のスループット低下をこれまでより低減できるようになるという。
“Paging Cycleのダイナミック化”は、特に「WiMAXスマートフォンはバッテリーが持たない」と思われている現状を大きく改善できる可能性がある技術だ。WiMAX機器はアイドリング(通信なし状態/Idle Mode)時の電源利用を制御し、消費電力を最適化する仕組み(Paging Cycle)を取り入れている。ここで、AC電源で動作する機器はレスポンスを重視した短時間間隔(約1.28秒)のパラメータを採用、対してバッテリー動作するスマートフォンやモバイルルータは約5.12秒間隔でチェックと、やや長めの間隔をとったパラメータを適用する──といったよう間隔を調整できるようにする。長めの間隔を取れば、連続動作時間の延長を図れるということになる。
「チェック間隔を長めとする5.12秒間隔の省電力パラメータを適用すると、(レスポンスは若干劣ることになるが)バッテリー動作時間は最大2倍になると計算している」(要海副部門長)
2012年に向け、エリア内局整備の積極実施も推進する。まず2011年度内に中規模エリアを形成する「セル内セル局」を500局設置。2012年度以降、ビル陰やアーケードといった比較的電波が弱くなる傾向のある場所へ「ストリートセル」を設置し、既存エリアの「穴」を埋める施策に取り組む。
「2013年3月〜4月のサービスインを目指すWiMAX 2の取り組みはもちろん、それにつなげるべく、2012年度も“より快適なエリア”を目指して全力で取り組む」(野坂社長)
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