2つ目の省電力動作機能は「ウェイティング(待受)」モードだ。ウェイティングモードは、本体の電源はオンのまま、未使用時はWiMAXを切断+インジケータを消灯することで消費電力を抑える、同じくPCでいうスリープのような動作モードだ。無線LAN機器での接続が発生した時点で、WiMAXの接続を自動再開する動きになる。こちらは、無線LAN機器での接続・通信がなくなり、何分後に移行するか──とする設定が可能だ。
さて、このウェイティングモードはスマートフォンでWiMAXルータを活用したい人に特に便利だ。スマートフォンの無線LANオン/オフとほぼ連動するかたちで、WM3600Rの省電力機能も半自動的に連動できるからだ。Androidスマートフォンにおいては、Wi-Fiのスリープ設定=「画面が消灯し、15分間操作を行わないとき」がよくある標準設定だが、それ以外に「電源接続時はスリープにしない(=バッテリー動作時はスリープする)」とする設定にすれば、スマートフォンのスリープと無線LANオフを連動できたりもする。
ウェイティングモードへの自動移行時間は、最短で1分に設定可能。つまり、スマートフォンの無線LANをオフにすれば(上記後者例だと、スリープすれば)その1分後にWM3600Rも待受モードへ自動移行するよう設定できる。スマートフォンもルータも、よりかしこく便利にバッテリー消費量を抑えた運用ができるだろう。
使用時はスマートフォンで無線LANを有効(同上、スリープから復帰)すれば、WM3600Rも一緒に復帰し、5〜7秒ほどで無線LAN接続が完了→即座にWiMAX接続が開始される。こちらは実測値で15秒ほどという感じ。なにより便利なのは、WM3600Rにはノータッチで済むことだ。
ウェイティングモードの最大待受時間は約25時間となる。実動作の半分をウエイティングモード状態で運用した仮定すると、約17.5時間(WiMAX接続5時間+待受12.5時間)ほどバッテリー動作できる計算だ。もちろん実通信利用時間の長短で変化するが、基本的に1日の活動時間はまるまる電源オンのまま運用できるのではないだろうか。
ちなみにURoad-8000も同様の機能を備えているが、こちらは「無線LANの無通信時間が10分発生しなければWiMAX側の通信を切断する」仕様であり、WM3600Rほど積極的に活用できるものにはなっていないかった。このことも含めて、現WiMAXユーザーでWiMAXルータをすでに所持している人も、WM3600Rに切り替える価値はかなりあると思う。
なお、Web設定ツールではウェイティングモードのほかに「(*分後に)休止モードへ移行、あるいは電源オフ」となるよう設定することもできる。こちらは、ノートPCでWiMAX通信を利用するユーザーに便利だ。例えば、休止までの時間を10分ほどに設定しておけば「ルータの電源切り忘れ(=次に使いたいときのバッテリー切れ)を防げる」のと同時に、再度利用する時にもクイック起動機能で長く待たずに済む。
日常生活でのバッテリー動作時間参考値 | 1日目 | 2日目 |
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AtermWM3600R | 10時間40分 | 10時間25分 |
(参考)Mobile Cube(無線LAN電波出力設定:強) | 12時間10分 | 11時間50分 |
※省電力機能はオフ、それ以外は初期設定のまま。電源は入れっぱなしで運用 | ||
続いて連続通信時の実バッテリー動作時間も計測しよう。WM3600Rは初期設定のまま(インジケータ自動消灯有効、無線LAN出力弱)で、省電力状態自動切り替え機能は「使用しない」設定にした。スマートフォンを3台無線LAN接続したまま1日外出し、それぞれのスマートフォンは待ち時間・移動時間中に随時ガツガツ利用、PCでは1〜2時間ほど(自宅と同様に)とっぷり利用した場合の参考値として見てほしい。
2日間(2回)の計測で、1日目は10時間40分、2日目は10時間25分動作した。こちらはカタログスペックの10時間をしっかり超えた。今回の使い方がライトか普通かの判断はおまかせするが、1日あたりの参考データ通信量は150Mバイトほどだ。待受モードを使わずとも、8時間を基準とした業務時間、あるいは長時間バッテリーを備えた最近のモバイルノートPCと同等の動作時間を軽くクリアするとなるとかなり心強いといえるだろう。
WM3600Rは「ウェイティングモード」「休止モード」の2つの新たな省電力動作とともに、これを自動切り替えできる工夫で有効に活用できるのがすばらしい。長時間の連続通信時間だけでなく、利用スタイルに合わせて「より実質的にバッテリー動作時間を延長」できるわけだ。
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