薄型・軽量・長時間動作を特長とするWiMAXルータの新モデルが「URoad-SS10」(シンセイコーポレーション製)だ。前回行った外観チェックに続き、今回は実利用時の使い勝手も含めた機能・性能を深くチェックしていく。
改めて基本仕様を確認しよう。WAN部のWiMAX通信速度は下り最大40Mbps/下り最大15.4Mbpsで、WiMAXハイパワー/UL 64QAM対応。無線LAN部はIEEE802.11b/g/n(11nは1ストリーム)に対応し、異なるセキュリティレベルを設定できる2つのSSIDと1つのSSIDあたり5台、最大10台の無線LAN機器で同時に利用できる。簡単無線LAN接続設定はWPSをサポートする。これらの仕様は前モデルである「URoad-8000」とほぼ同じだ。
URoad-8000からは、弱電界エリアで利用可能範囲を若干広げる「WiMAXハイパワー」に対応した仕様であること、そして最近のWiMAXルータでトレンドの機能となっている「高速起動」をサポートした点が異なる。特に後者は、小型軽量ボディとともに携帯性を損なわず、実利用においてバッテリー動作時間を延長できる可能性が高まる効果が期待できる。
では「高速起動」からじっくり見ていこう。
こちらは他社のライバル機と同様に、電源を完全にオフとはせず、一部の回路だけに通電させておく──Windows PCで例えると“休止状態”の電源状態をサポートすることで実現する。休止状態では最大約250時間(約10日)のバッテリー動作が可能。一日休止状態のままにしてもバッテリー消費は10%ほどということなので、使うのは週末だけ/ごくたまにといった人でなければ積極的に活用できうる機能である。
休止状態への移行(および高速起動)のため、専用の休止ボタンも用意する。休止状態を多用するなら、メインの電源ボタンよりこのボタンを利用する方が多くなりそうだ。高速起動すると即座に無線LANが有効になり、無線LAN機器から発見可能な状態になる。これと並行してWiMAX再接続が行われる。WiMAXの電波状態が良好なら(※ 電波状況によってWiMAX接続時間はやや変化する)、起動から15秒ほどでインターネット通信が可能になる。体感値としてもうれしいほど高速だ。
なお、休止状態から電源ボタンの長押しで完全な電源オフにすることもできる。休止状態か否かは、電源ボタンの短押しで状況表示のインジケータが点灯することで認識できる。この部分はもう1つの人気WiMAXルータ「AtermWM3600R」(レビュー:連続10時間+新省電力動作機能がスゴイっ──「AtermWM3600R」のバッテリー性能と通信性能をチェック)と大きな差はなく、それぞれ良好だ。電源をオフにしたつもりが実は休止状態のままで、バッテリーをむだに消費してしまった──ということも容易に防げる。
また、AtermWM3600Rには標準搭載、URoad-8000は後日のファームウェアアップデートで追加された「ウェイティングモード」もサポートする。こちらは、無線LAN機器からの接続がない状態(つまり、使っていない状態)が10分続くとWiMAX接続を切断し、無線LAN機器からの接続が再開されたら本機のWiMAX通信も自動再開するという動きとなる。Windows PCでいう“スリープ”のような機能だ。
実利用においては、本機にはノータッチで省電力動作モードへ移行できるのが便利だ。ウェイティングモードは最大20時間、連続動作は最大9時間なので、消費電力は連続動作時の約半分というところ。仮に、通信利用とウェイティングモードの利用時間が半々だとしたら、約14.5時間電源オンのまま運用できる計算だ。
1つ残念なのは、本機のウェイティングモードは移行までの時間を細かく設定できないこと。スマートフォンとともにひんぱんにガリガリ使う人にはあまり出番がないかもしれないのが少し惜しい。AtermWM3600Rのように、1分ほどまで短く・細かく設定できればよかった。
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