第6回 ホーム画面が使いやすいスマートフォンは?――18種類を検証最新スマートフォン徹底比較(2011年度冬春モデル編)(1/3 ページ)

» 2012年04月20日 00時00分 公開
[田中聡,ITmedia]

 スマートフォンのソフト面で非常に重要な役割を担うのが「ホーム画面」だろう。iPhoneは1種類のホーム画面のみだが、Androidの場合はOS標準のホームに加え、キャリアやメーカーが用意した独自ホーム、サードパーティがGoogle Playで配信しているホームなど選択肢が多い。メーカー独自のホームUIには富士通の「NX!comfort UI」、HTCの「HTC Sense 3.0」、パナソニック モバイルの「フィットホーム」などの名称が付けられたものもある。ホーム画面の使いやすさは端末の使いやすさに直結するが、操作性は各アプリで微妙に異なる。そこで、今回は主にメーカーが提供しているホームアプリの使い勝手を比較した。

ホーム画面:ショートカットやページの使い方、何が違う?

photophoto Androidには、情報を閲覧や設定などができるウィジェットが多数ある

 ホーム画面はiPhone 4S、Androidのメーカー別、ドコモ端末に提供されている「docomo Palette UI」と「GALAXY NEXUS SC-04D」に提供されているAndroid 4.0標準版など計18種類をピックアップした。「Xperia NX SO-02D」と「Sony Ericsson mini(S51SE)」は同じソニーモバイル製だが、UI(ユーザーインタフェース)が微妙に異なるので個別に調べた。「ARROWS X LTE F-05D」と「ARROWS Z ISW11F」など、同時期に発売された同じメーカー製(グループ)のモデルについては、基本的にUIは共通と考えてもらってよい。なお、auの一部のAndroidスマートフォン(今回調べた中ではIS11N、IS13SH、IS14SH)には、Ocean Observations製の共通UIが採用されているが、こちらは「DIGNO ISW11K」で検証している(DIGNOにはこのUIしかプリセットされていない)。

 AndroidとiPhoneの違いの1つが、ホーム画面でウィジェットが使えるか否かだろう。iPhoneのホーム画面はアプリのショートカットが整然と並ぶシンプルなものだが、Androidではアプリとウィジェットを混在させて配置できる。天気予報やニュースの見出しを見たり、カレンダーで予定を見たり、TwitterやFacebookのタイムラインを見たり、ウィジェットの利点はアプリを呼び出すことなく各種情報を見られることだ。富士通やシャープ端末の歩数計や、各種SNSを統合したXperiaシリーズのTimescapeなど、メーカー独自のウィジェットも多い。無線LAN、GPS、機内モード、テザリングなどの設定をウィジェットから行える機種もある。イー・モバイル端末では、ワンタッチでテザリングが可能になるPocket WiFiウィジェットが用意されている。

 ホームアプリ自体を変更できるのもAndroidならでは。ドコモのスマートフォンには共通UIとしてdocomo Palette UIがプリセットされており、docomo Palette UIとメーカー独自のホームアプリを使い分けられる。今回は触れないが、Google Playには多数のホームアプリが配信されており、好みのものに変更できる。iPhoneのホーム画面はAndroidに比べると拡張性が低いが、シンプルに使えるというメリットもある。Androidのホーム画面は悪く言えば「ごちゃごちゃしている」ので、スマートフォン初心者はiPhoneの方が使いやすいかもしれない。

 では、項目ごとに各ホーム画面の違いを見ていこう。利用できるページ数は5か7が多く、この中で最も多いのはdocomo Palette UIの12ページだ。Androidにはアプリトレイが別途用意されているので、ホーム画面に並ぶのは必然的に、よく使うアプリやウィジェットのみとなる。7ページもあれば十分だろう。ホーム画面のサムネイル表示は、各ページにアクセスしやすくなるのがメリットだ。サムネイルのページそのものを入れ替えられる機種もあるので、「端のページをやっぱり先頭に配置したい」といったときに便利だ。XperiaシリーズやSony Ericsson miniは見栄えを重視してか、ウィジェットのみサムネイル表示される。ページのサムネイル表示よりも利便性は低いが、サムネイル表示されたウィジェットがふわふわ浮く様子は見ていて楽しい。DIGNO(Ocean Observations製UI)はホーム画面とアプリトレイのページがまとめてサムネイル表示される。アプリトレイはカテゴリーごとにページが分類されているので、目当てのアプリを探しやすい。

 サムネイル以外の方法で、目当てのページにワンタッチでジャンプする操作法もある。GALAXY NEXUSを除くSamsung端末やパナソニック モバイル端末、シャープ端末、「HONEY BEE 101K」では、画面下部の各ページアイコンをタップすると、そのページにジャンプする。Samsung端末やシャープの春モデルではさらに、ホームとアプリトレイのページ下部のバーをなぞると高速でページが切り替わって心地よい。シャープの秋冬モデルでは、バーをなぞるとページ自体は移動しないが、各ページのサムネイルが表示され、任意のサムネイルをタップするとそのページにジャンプする。詳細は後述するが、シャープの春モデル「AQUOS PHONE SH-06D」「AQUOS PHONE 103SH」「AQUOS PHONE 104SH」ではホームUI全体が改変されている。

 フォルダ作成も、ホームのページを有効に使う1つの方法だ。iPhoneとAndroidともにホーム画面にフォルダを作成してアプリを管理できる。さらに(iOS 4.x以降の)iPhone、Android 4.0端末、富士通/富士通モバイル、シャープ端末、ソニモバ端末などは、ドラッグ&ドロップでアプリ同士を重ねるだけでフォルダを作成できて便利だ。

 ホーム画面に表示されるアプリ数は、画面下部の固定アイコンを除き、4×4の場合が多い。シャープの春モデルはアイコン数を3×4か4×5に変更することもできる。「GALAXY Note SC-05D」は5.3インチという大画面を生かし、5×5のアプリを表示可能だ。Sony Ericsson miniはディスプレイサイズが小さいので設置できるアプリ数が少ないが、ホーム画面の4隅に複数のアプリを格納しておける。

photophotophotophoto 雑誌「Popteen」とコラボした「F-03D Girls'」は、ホーム画面や壁紙もPopteen仕様になっている(写真=左端)。「ARROWS X LTE F-05D」(写真=左中)と「Optimus LTE L-01D」(写真=右中)のホーム画面。「PRADA phone by LG L-02D」のホーム画面は壁紙、ウィジェット、アプリアイコンがPRADAテイストに統一されている(写真=右端)
photophotophotophoto 左から「MEDIAS PP N-01D」「LUMIX Phone P-02D」「GALAXY S II LTE SC-03D」「GALAXY NEXUS SC-04D」のホーム画面
photophotophotophoto 左から「GALAXY Note SC-05D」「AQUOS PHONE SH-01D」「Xperia NX SO-02D」「docomo Palette UI」のホーム画面
photophotophotophoto 左から「HTC EVO 3D ISW12HT」「DIGNO ISW11K」「MOTOROLA PHOTON ISW11M」「HONEY BEE 101K」のホーム画面
photophotophotophoto 左から「AQUOS PHONE 103SH」「AQUOS PHONE 104SH」「STAR7 009Z」「iPhone 4S」のホーム画面
photophoto 左から「GS02」「Sony Ericsson mini(S51SE)」のホーム画面
photophotophotophoto 左からGS02、HTC EVO 3D、Optimus LTE、MOTOROLA PHOTONのサムネイル表示
photophotophotophoto 左からMEDIAS PP、GALAXY Note、104SHのサムネイル表示。Xperiaシリーズはウィジェットがサムネイル表示される(写真=右端)
photophotophotophoto GALAXY S II LTE/Note/WiMAXではホーム画面下部のバーをなぞるとページが高速で移動する(写真=左端)。シャープの秋冬モデルは、バーをなぞると各ページのサムネイルが現れる(写真=左中)。Xperiaシリーズ(写真=右中)やiPhone(写真=右端)では、アプリアイコンを重ね合わせると、自動でフォルダが作成され、フォルダ名もその場で決められる
photophotophotophoto DIGNOやOcean Observations製UIは、ホーム画面(デスクトップ)とアプリトレイ(ランチャー)がまとめてサムネイル表示される(写真=左端)。ランチャーカードの色を細かく設定できる(写真=左中、右中)。HONEY BEEのサムネイルは横1列に表示される(写真=右端)
photophotophotophoto ホーム画面上の空白を長押しした際の挙動も機種によって異なる。写真のXperia NXのようにリスト形式でメニューが表示される機種が多い(写真=左端)。LG端末はウィジェットやアプリのアイコンが第1階層からサムネイルで表示される(写真=左中)。GALAXY NEXUSを除くSamsung端末はメニューが下部に表示される(写真=右中)。シャープ春モデルは長押し後にホーム画面が縮小表示され、サブメニューが出る。「ホームへ貼付け」を選ぶと、ショートカットやウィジェットを選べるおなじみのメニューが出る(写真=右端)

 電源を入れてロック解除してから表示されるページは、機種によっては「ホーム」と呼ばれている。iPhoneなら左端、Xperia NXなら中央、シャープ端末なら左から3つ目のページがホームに該当し、ホームキーを押すと、このホームに戻る。細かいところだが、ホームは左端よりも、中央や左から3つ目に設定されている方が使いやすいと思う。中央か左から3つ目なら、左右のページに1フリックで移動できるが、iPhoneのように左端からだと、1フリックで移動できるのは(当たり前だが)右隣のページのみ。筆者の場合、Androidではよく使うアプリやウィジェットをホームに配置し、右にニュース関連、左にツール関連のアプリやウィジェットを配置している。なお、DIGNOやOcean Observations製のホーム、101Kなどは「ホームボタン設定」から特定のページをホームに設定できる。

 ホーム画面の下部には、どのページに移動しても変わらない固定アイコンが3〜4つほど用意されており、かつ固定アイコンを好きなアプリに変更できる機種が多い。電話、メール、ブラウザなど頻繁に使うアプリを設定しておくと良いだろう。NECカシオ端末は電話とブラウザ、アプリトレイ呼び出しボタン、「HTC EVO 3D ISW12HT」がアプリトレイ、電話、個人設定を呼び出すボタンに設定されており変更できない。GALAXY NEXUSを除くGALAXYシリーズでは、固定アイコンを変更するにはアプリトレイを呼び出しMENUから「編集」を選び、ドラッグ&ドロップで変更→再びMENUから「保存」を押す必要がある。ホーム画面上でドラッグ&ドロップするだけで変更できる他機種と比べるとステップが多い。

photophoto Samsung端末の独自UIでは、アプリトレイの「編集」から固定アイコンを変更する

 バックグラウンドでの通信が多いAndroidでは、効率よくアプリを「終了」できることが望ましい。端末に「タスクマネージャー」や「起動中アプリ一覧」が用意されていれば、簡単に終了できる。タスクマネージャーはPCでもおなじみだが、Androidではホームキーの長押しで呼び出せる機種が多い(別途アプリも用意されている)。タスクマネージャーや起動中アプリ一覧ではアプリごとに終了または、一括で終了できる。GALAXY NEXUS、Xperia NX/acro HD、「MOTOROLA PHOTON ISW11M」「STAR7 009Z」「GS02」、Sony Ericsson miniは最近使ったアプリ一覧は確認できるが、起動中アプリの表示や一括終了はできない。iPhone 4Sはホームキーを2回押すと起動中または最近起動したアプリ一覧が表示され、アプリ長押し後に表示される「−」をタップすると終了できる。一括終了はできないが、バックグラウンドでの通信や動作が比較的少ないiPhoneでは、そもそも一括終了したい場面は少ないだろう。

photophotophotophoto DIGNO(写真=左端)とGALAXY S II LTE(写真=左中)のタスクマネージャー。DIGNOはCPUの使用量、GALAXY S II LTEはRAMの使用量とCPUの消費率が分かる。シャープ端末の起動中アプリ一覧。個別/一括終了が可能(写真=右中)。Xperiaシリーズはホームキーの長押しで最近使ったアプリ一覧は呼び出せるが、タスクマネージャーは内蔵していない(写真=右端)
photophotophotophoto 104SHの起動中アプリ一覧。サムネイルをフリックすると個別に終了、「すべて消去」を押すと一括終了する(写真=左端)。GALAXY NEXUSではこの画面からアプリの「終了」はできない(写真=左中)。iPhoneは画面下部から最近使ったアプリの表示(写真=右中)と終了(写真=右端)が可能
photophoto 「使用履歴」から最近使ったアプリが表示される。こちらはSH-06D

 シャープ端末の春モデル(SH-06Dや103SH)では、固定アイコンに「使用履歴」が追加されている。従来のシャープ端末は右下の固定アイコンを選ぶか、ホームキーの長押しでも起動中アプリ一覧が表示されたが、新しいUIでは右下の固定アイコンが「使用履歴」に変更されている。ホームキーの長押しで起動中アプリ、固定アイコンから使用履歴を呼び出せるので、アプリを一括終了した後でも、少し前に使ったアプリを簡単に呼び出せる。地味ながら便利な改善点と言える。なお、Android 4.0の104SHは、固定アイコンとホームキーの長押しどちらからも、従来どおり起動中アプリ一覧は呼び出せるが、使用履歴のショートカットは用意されていない。

ホーム画面
最大ページ数 サムネイル表示 目当てのページに高速移動(サムネイルを除く) ページの入れ替え ホームキー押下後の反応 固定アイコンの変更 起動中アプリの一括終了
ARROWS X LTE F-05D 7 中央のページに移動
Optimus LTE L-01D 7 △(左右端のページのみ) 中央のページに移動
MEDIAS PP N-01D 7 中央のページに移動
LUMIX Phone P-02D 9 左から3ページ目に移動
GALAXY S II LTE SC-03D 7 左端のページに移動
GALAXY NEXUS SC-04D 5 中央のページに移動
AQUOS PHONE SH-01D 10 左から3ページ目に移動
Xperia NX SO-02D 5 △(ウィジェットのみ) 中央のページに移動
docomo Palette UI 12 左端のページに移動またはサムネイル表示
HTC EVO 3D ISW12HT 7 左端のページに移動またはサムネイル表示
DIGNO ISW11K 5 「ホームボタン設定」したページに戻る
MOTOROLA PHOTON ISW11M 7 左端のページに移動またはサムネイル表示
HONEY BEE 101K 9 左から3ページ目に移動
AQUOS PHONE 104SH 10 左から3ページ目に移動
STAR7 009Z 7 中央のページに移動
iPhone 4S 11 左端のページに移動
GS02 5 中央のページに移動
Sony Ericsson mini(S51SE) 5 △(ウィジェットのみ) 中央のページに移動
最大ページ数 サムネイル表示 目当てのページに高速移動(サムネイルを除く) ページの入れ替え ホームキー押下後の反応 固定アイコンの変更 起動中アプリの一括終了

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