前回は、Nokia製のフラッグシップWindows Phone端末「Lumia 900」の紹介と、発売に至る経緯を紹介した。米AT&Tの大規模な後押しもあり、Windows Phoneとしては前例がないほど好調な売れ行きとなっているようだ。
連載2回目となる今回は、実際に米国で発売されたAT&T版の実機を用いて、Lumia 900がどのような端末なのかレビューしていきたい。
今回入手したLumia 900は、AT&Tが米国市場で発売したモデル。本体カラーはシアン(明るい青色)だ。AT&TのLumia 900にはシアンの他にブラックとホワイトがあり、今後はマゼンタの追加も噂されている。
本体の形状としてはOSにMeeGoを採用していた「Nokia N9」や、Windows Phone「Lumia 800」のデザインを踏襲したものとなっている。しかし後述するように細部にいろいろと違いがある。
シアンとブラックの端末表面はつや消し仕上げで、しっとりした質感。対照的にホワイトモデルはつやつやした光沢仕上げだ。
Lumia 900の比較対象として最も適しているのは、やはり同じWindows Phone端末であるLumia 800だろう。Lumia 900とLumia 800とを比較した場合、違いは主に4点ある。
Lumia 800のディスプレイが3.7インチであるのに対し、Lumia 900は4.3インチのディスプレイを搭載している。いずれもNokia独自の「AMOLED ClearBlack」技術を採用するが、Lumia 800がいわゆるPenTile配列(RGBの各色を1ピクセル毎にすべて配置するのではなく、RGとBGのピクセルが交互に配置されていて、サブピクセル数がRGBの3分の2しかない配列)であるのに対し、Lumia 900はRGBのサブピクセルをすべて配置したフルスペックの仕様となっている。
筆者はPenTile配列の画面がそれほど気にならないものの、人によってはテキストの表示やコントラストの高い画面で違和感を覚えることがあるようだ。しかしLumia 900ではその心配はない。
ディスプレイの表面形状にも違いがある。Lumia 800のディスプレイはなだらかなカーブを描いているのに対し、Lumia 900は平面となっている。
どちらの端末も表面の仕上げは滑らかで、独特のすべすべした手触りに違いはない。しかし周辺部の仕上げが異なり、Lumia 900には縁取りがある。そのため、Lumia 800のようなディスプレイと筐体との一体感は、残念ながらLumia 900には感じられなかった。
画面サイズという点では、4.3インチのLumia 900のほうが見応えがあるといえる。しかし現時点で発売されているすべてのWindows Phone端末は、画面解像度が480×800ピクセルで統一されており、表示できる情報量は同じだ。
この点について、海外では画面が大きい端末をハイエンドと位置付ける傾向にある。しかし小型端末の人気が高い日本では、必ずしもそうではない。持ちやすさという点では3.7インチのLumia 800や「Windows Phone IS12T」のほうが優れているともいえるだろう。
なおキーボード入力については、画面サイズが大きいほうがキーを押しやすいため、Lumia 900が優れていると感じた。
Lumia 900のハードウェア性能は、Lumia 800と比べて大きな違いがあるわけではない。プロセッサの型番は異なるものの、実質的な性能は同等で、いずれもクロックは1.4GHz。512Mバイトのメモリ、16Gバイトのストレージも共通だ。
しかしLumia 900はAT&T版とRogers版がLTEに対応している。また、フロントカメラやジャイロセンサーといった、Lumia 800にはないハードウェアも備えている。フロントカメラはビデオチャットや「自分撮り」に便利な機能だ。また、ジャイロセンサーに対応した端末では、アプリやゲームで端末の姿勢をより正確に取得できるようになり、快適に操作できるというメリットがある。
さらに日常的な使い勝手という面では、MicroUSBポートに注目したい。Windows PhoneはZuneによるワイヤレス同期が可能だが、充電にはMicroUSBポートへのケーブル接続が必須である。Lumia 800ではMicroUSBポートがカバーの中に存在するため、ケーブルを接続するには毎回カバーを開ける必要があった。開け閉め自体は容易だが、毎日の作業としては煩雑に感じることもあった。また、カバー自体の品質は悪くないものの、毎日開け閉めすることでどうしても痛みやすいという問題も報告されていた。
これに対してLumia 900では、MicroUSBポートが端末上部に露出しており、そのままケーブルを接続して充電が可能だ。もちろんポートが露出していることで、コネクタから浸水したり、美観を損ねたりするといった問題は避けられないが、少しでも手間を省きたいという人にとってこの違いは大きいだろう。
なお、MicroSIMカードスロットにも違いがある。Lumia 800はカバー式となっており、素手でSIMカードを交換できるのに対し、Lumia 900では細い棒状のピンが必要となっている。
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