テザリング対応スマホ4機種の「通信速度」と「連続使用時間」を検証テザリング徹底比較(後編)(1/2 ページ)

» 2012年05月24日 20時32分 公開
[小林誠,ITmedia]

 前編に続き、後編ではテザリング使用時の通信速度とバッテリーの持ちについて検証した。利用するエリアや時間、そして使い方によってこれらの数値は異なるが、同じ条件で使った場合の各端末の差はこのテストで参考になるはず。1回目のスペックや料金比較とあわせて、総合的にキャリアや機種選びを検討してほしい。

photo 今回取り上げるテザリング対応スマートフォン。左から「GALAXY S II SC-02C」「GALAXY S II LTE SC-03D」「GALAXY S II WiMAX ISW11SC」「Dell Streak Pro(GS01)」

都内3か所、横浜2か所で実測値を計測

 今回のテストは、春モデルのモバイルWi-Fiルーターの速度をチェックしたときと同じ場所、時間帯で実施している。以下の5カ所だ。

  1. 東京国際フォーラム 屋外ベンチ 14:45〜
  2. JR渋谷駅湘南新宿ライン 3・4番線ホーム 12:20〜
  3. 京急蒲田駅 2Fホーム 14:00〜
  4. JR横浜駅南改札内BECK'S COFEE SHOP 15:00〜
  5. 横浜市西区北幸1丁目 横浜STビル前 12:00〜

 モバイルWi-Fiルーターのレビューでも記載しているが、すべて4月中旬の平日に複数日に分けて調査した。1は東京駅や有楽町駅の近く。周辺は日本有数のオフィス街だ。2は利用客数が非常に多い渋谷駅。3は都内だが都心から離れた下町の蒲田。ただし羽田空港への乗り換え駅でビジネスパーソンも多い。4は横浜駅。改札部分が地下に位置しているうえ、利用客数も多くつながりにくい。5はその横浜駅から徒歩で5分ほど離れたオフィスビルの広場だ。

 測定に使ったのはノートPCとスマートフォン「GALAXY S II LTE SC-03D」。SC-03Dは2台用意し、1台をテザリングに、もう1台を測定用に使用した。測定ツールにはWebサイトの「BNRスピードテスト」(http://www.musen-lan.com/speed/)を使用した。スマートフォンでは「BNRスピードテスト画像読込み版」を使っている。PCとスマートフォンともに、上りの速度測定で設定するデータサイズは200Kバイトとしている。

 測定は各端末上下それぞれ3回行い、その平均速度を以下の表に掲載した。各地域で最も速い値は赤字、最も遅い値は青字にした。

下り速度の測定結果
スマートフォン 測定機器 東京国際フォーラム JR渋谷駅 京急蒲田駅 JR横浜駅 横浜市内
GALAXY S II SC-02C(ドコモ/3G) PC 0.32Mbps 1.3Mbps 1Mbps 0.73Mbps 1.06Mbps
スマートフォン 1.01Mbps 1.74Mbps 8.88Mbps 0.87Mbps 1.27Mbps
GALAXY S II LTE SC-03D(ドコモ/LTE) PC 1.1Mbps 2.14Mbps 2.27Mbps 1.16Mbps 1.51Mbps
スマートフォン 2.1Mbps 1.13Mbps 1.84Mbps 1.96Mbps 1.33Mbps
GALAXY S II WiMAX ISW11SC(WiMAX) PC 0.91Mbps 1.47Mbps 1.7Mbps 5.18Mbps 1.26Mbps
スマートフォン 3.98Mbps 2.22Mbps 2.6Mbps 3.99Mbps 2.91Mbps
Dell Streak Pro(GS01)(イー・モバイル/3G) PC 3.01Mbps 2Mbps 3.25Mbps 圏外 2.86Mbps
スマートフォン 6.05Mbps 1.9Mbps 3.47Mbps 圏外 3.15Mbps

上り速度の測定結果
スマートフォン 測定機器 東京国際フォーラム JR渋谷駅 京急蒲田駅 JR横浜駅 横浜市内
GALAXY S II SC-02C(ドコモ/3G) PC 0.4Mbps 0.46Mbps 0.22Mbps 0.07Mbps 0.69Mbps
スマートフォン 0.11Mbps 0.28Mbps 1.6Mbps 0.17Mbps 0.35Mbps
GALAXY S II LTE SC-03D(ドコモ/LTE) PC 0.25Mbps 3.01Mbps 1.63Mbps 0.19Mbps 0.74Mbps
スマートフォン 0.26Mbps 0.83Mbps 0.87Mbps 0.16Mbps 0.17Mbps
GALAXY S II WiMAX ISW11SC(WiMAX) PC 1.2Mbps 1.85Mbps 1.81Mbps 1.82Mbps 1.39Mbps
スマートフォン 1.93Mbps 1.78Mbps 2.08Mbps 1.6Mbps 1.98Mbps
Dell Streak Pro(GS01)(イー・モバイル/3G) PC 0.98Mbps 0.83Mbps 1.06Mbps 圏外 0.72Mbps
スマートフォン 1.13Mbps 0.83Mbps 1.13Mbps 圏外 0.64Mbps

 モバイルWi-Fiルーターのテストとほぼ同じ環境で使ったが、端末や通信方式が違うとかなり大きな影響が出ることが分かる。全体的にみると通信速度は遅い。最速は8.88Mbpsで、10Mbpsを超える端末はなかった。全体を通して最も遅かったのが、「GALAXY S II SC-02C」が横浜駅で出した0.07Mbpsだった。「低速の128K通信なのか?」というレベルだ。ブラウザでWebサイトを見る際も表示が遅くないか心配になってくるが、テストサイトへは特に遅延もなく接続できた。

 また「Dell Streak Pro(GS01)」は横浜駅で通信ができないままだった。モバイルWi-Fiルーターの「Pocket WiFi LTE(GL01P)」は接続していたので、GS01はルーターよりも若干電波を拾いにくいのかもしれない。またGL01Pの測定値を見ると、横浜駅では他の地域よりも明らかに遅く、そもそもイー・モバイルの電波が入りにくかったと考えられる。ほんの少し移動した横浜市内での計測では、今度は地域内最速を出しているので、通信しにくいときは、地下から地上に出るなど移動をするだけでもだいぶ違うはずだ。それでは端末別にみていこう。

まさかの(?)最速値を計測した「GALAXY S II SC-02C」

 何と3G回線のSC-02Cが今回最速の「8.88Mbps」を出した。計測する際にSC-03DとSC-02Cを間違ったのか、とも思ったが、メモやキャプチャー画像を確認してもSC-02Cを使っていたので正しい結果だ。この最高速度を出した京急蒲田駅では、同時に最低速度もSC-02Cが出しており、かなり通信速度に差があったようだ。8Mbps強を出したこともあるSC-02Cだが、全体的にみれば1Mbps以下が多い。特に横浜駅では前述した最低値0.07Mbpsを計測したてしまった。FOMAとXiの通信は若干Xiの方が速いが拮抗している。利用者が多い混雑した場所などでは、XiもFOMAもそれほど変わらない速度に下がってしまう傾向が見られた。

下りは1Mbps以上――FOMAよりは確かに速い「GALAXY S II LTE SC-03D」

 Xiのテザリングといえども、上りでは0.1〜0.2Mbps台だったのは、利用者の多いドコモの辛いところか。ただし下りの通信速度は1〜2Mbpsが多く、下りだけなら1Mbpsを切った地域はない。SC-02Cのように大きく差があるのとは対照的だ。また上りでも渋谷駅で3Mbps超えを達成し、FOMAのテザリングとの違いを感じた。

上下ともに好成績だった「GALAXY S II WiMAX ISW11SC」

 「GALAXY S II WiMAX ISW11SC」については、同じWiMAXのルーターと似た傾向がある。さすがに下り40Mbpsとはいかなかったものの、下りで1〜5Mbps、上りでも1〜2Mbpsが多く、今回最も速かった。他の端末が苦戦した横浜駅で上下ともに最速値を出した。

横浜駅で通信できなかったものの、下りが速い「Dell Streak Pro(GS01)」

 前述のとおり横浜駅で通信できなかったが、実際は移動すれば回避できるかもしれない。下りの通信速度は2〜3Mbpsが多く、東京国際フォーラムでは6Mbpsを計測。下り最大14Mbpsでこの実測値はうれしい。同じ3GのSC-02Cと比べても、明らかに測定結果が良く、XiのSC-03Dと比べても実測値では大きな差はなく、GS01の方が速いこともあった。健闘しているといえるだろう。

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