auの2012年夏モデルとしてKDDIが発表した「ARROWS Z ISW13F」は、富士通モバイルコミュニケーションズ製のAndroid 4.0搭載スマートフォン。発売は7月中旬以降を予定している。
同じ“ARROWS Z”の名を持つ「ARROWS Z ISW11F」(2011年冬モデル)の後継機であり、プロセッサーがデュアルコアからクアッドコアの「NVIDIA Tegra 3」にスペックアップされた。そのボディデザインは、富士通がMobile World Congress 2012に出展したコンセプトモデルとほぼ同じといって良いだろう。なお、ISW13Fでは対応する次世代通信サービスがLTEではなくWiMAXになり、またプロセッサーの駆動周波数が1.4GHzから1.5GHzへわずかにアップしている。ちなみに、LTE対応の兄弟機が、ドコモから発表された「ARROWS X F-10D」だ。
デモ機はまだ開発中とのことで、クアッドコアプロセッサの性能をフルに試すことはできなかった。マルチコア化が進むことで消費電力の増加を心配してしまうが、「処理の負荷に合わせて動かすCPUコアが細かく変わるため、省電力性については(ISW11Fなどの)デュアルコア端末よりも有利。さらに、消費電力をどうすれば抑えられるのかをNVIDIAとも個別に協議を重ねた」(説明員)という。消費電力も抑えられるため「発熱についても心配ない」(説明員)とのことだ。
スペックを比較するうえでのトピックはプラットフォームがAndroid 4.0になったことと、プロセッサがクアッドコアになったことだが、それ以外の主なスペックをISW13FとISW11Fで比較してみた。
機種名 | ISW13F | ISW11F |
---|---|---|
OS | Android 4.0 | Android 2.3 |
CPU | NVIDIA Tegra 3(1.5GHzクアッドコア) | OMAP4430(1.2GHzデュアルコア) |
サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約67×135×10.6ミリ(暫定値) | 約64×128×10.1ミリ |
重さ | 約145グラム | 約131グラム |
バッテリー容量 | 1800mAh | 1460mAh |
メインカメラ | 有効約1310万画素CMOS | 有効約1310万画素CMOS |
インカメラ | 有効約130万画素CMOS | 有効約130万画素CMOS |
内蔵メモリ(ROM) | 16Gバイト | 8Gバイト |
外部メモリ | microSDHC(最大32Gバイト) | microSDHC(最大32Gバイト) |
ディスプレイ | 約4.6インチ HD(720×1280ピクセル)TFT液晶 | 約4.3インチ HD(720×1280ピクセル)TFT液晶 |
無線LAN | IEEE802.11 a/b/g/n | IEEE802.11 b/g/n |
Bluetooth | ver.4.0 | ver.2.1+EDR |
外部インタフェース | Micro USB(MHL対応)、3.5ミリステレオイヤフォンジャック | Micro USB、HDMI、3.5ミリステレオイヤフォンジャック |
スマート指紋センサー | ○ | ― |
グローバルパスポート | CDMA/GSM/UMTS | CDMA/GSM |
ディスプレイが4.6インチに大型化したためか、ボディサイズの幅と高さが3〜7ミリ増している。なお、ディスプレイの解像度はHD(720×1280ピクセル)表示で変更はない。重さも14グラム増えた。ボディの厚さは10ミリ台をキープしており、またフォルムが多角形のため、大きさの割に持ちにくいということはない。
スマートフォンの要である通信機能も着実に進化した。まず無線LANはIEEE 802.11b/g/nに加えて5GHz帯を使うIEEE 802.11aにも対応した。au Wi-Fiスポットなどでは干渉がおきにくい5GHz帯も使われ初めており、KDDIのこうした方針に沿うものといえるだろう。またBluetoothは省電力性が高いver.4.0になっている。海外ローミングサービスでは、CDMA/GSMに加えて新たにUMTS(W-CDMA)をサポートした。
ストレージは8Gバイトから16Gバイトに倍増。利用できる外部メモリは最大32GバイトまでのmicroSDHCでこの点の変更は無い。外部機器との連携については、HDMI端子が省略された。ただし、MicroUSB端子が「HML」インタフェースに対応しており、別売りのHDMI変換アダプタやHDMIケーブルを使うことで薄型テレビや外部ディスプレイにHD映像を出力できる。USB接続はISW11Fから引き続きマスストレージクラスに対応しており、専用ケーブルでUSBメモリやデジカメと直接接続してデータのやりとりが行える。
バッテリー容量は1800mAhに増加。連続待受時間はまだ確定していないため、ISW11Fとは比べられなかった。なお、ISW13Fに付属の電源アダプターは急速充電にも対応しており、充電時間の短縮を図っている。
触っていてちょっと気になったのが、伸縮式ワンセグアンテナの可動範囲。アンテナの付け根がやや奥まった場所にあり、自由に動かせる領域がちょっと狭い。端末の側面にぴったりと沿わせることはできないようだ。
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