2万円のNokia「Lumia 610」のクオリティは?ななふぉ ITmedia支店(1/2 ページ)

» 2012年06月06日 20時45分 公開
[山口健太,ITmedia]

 前回はNokiaのフラグシップ端末「Lumia 900」の詳細をお届けしたが、今回はその対極に位置するローエンド端末「Lumia 610」を中心に、最新のWindows Phone動向をお届けしたい。

質感も手触りも2万円とは思えないレベルの「Lumia 610」

 Lumia 610の特徴は、以下の3点を挙げることができる。

  • 若者をターゲットとした4色のカラーバリエーション
  • 契約不要のアンロック版でも2万円前後と安価
  • Windows Phoneとしては初めて、メモリを256Mバイトしか搭載しない

 Mobile World Congress(MWC)でMicrosoftが発表したように、今後のWindows Phoneにとって重要なテーマが地理的な拡大だ。具体的には中国やインドといったBRICs諸国はもちろん、インドネシアやフィリピンを含むNEXT11といった市場もターゲットとなる。

PhotoPhoto Lumia 610はローエンドとは思えない質感と手触りを実現している

 これらの市場ではNokia製の携帯電話が圧倒的なシェアを獲得してきたが、最近はスマートフォンが爆発的に普及している。そこで、Windows Phoneとしても競争力のある価格帯の端末が強く求められているというわけだ。

 とはいえ、Lumia 610が値段相応の安普請な端末かというと、決してそうではない。Lumiaシリーズのラインアップとして十分通用する水準のボディワークという印象だ。

 確かに、厚さ12ミリで132グラムというサイズは最新の薄型軽量モデルに比べると、やや劣るイメージもある。メッキパーツの使用も好みが分かれるところかもしれない。しかしスマートフォンを安価に入手したい若年層や新興市場では、同価格帯のAndroid端末に比べても遜色ないレベルだ。

性能面では劣る部分も

Photo OS自体の動作には問題ないものの、一部アプリの動きは鈍く感じる

 Lumia 610は上位機種のLumia 710と同じ8Gバイトのストレージや5Mピクセルのカメラを備えており、スマートフォンとしての機能も大きく劣る部分はない。ただし、実際の使用感について不満がないわけではない。

 Lumia 610のCPUはSnapdragon S1世代のMSM8227A 800MHzを搭載しており、他のWindows Phone 7.5端末より一回り性能が落ちている。この点について2月のMWCでLumia 610の製品担当者にたずねたところ、スペックは低いもののOSやファームウェアに十分な最適化を施しており、快適に使えるよう配慮していると説明していた。

 では、実際の動きはどうだろうか? OS標準の画面遷移や基本的なアプリについては、完璧とは言えないまでも、滑らかに動作している。しかし一部のアプリやゲームの動作は、それほど快適ではなかった。例えばローグを模したRPG「Metrogue」では、タイルのアニメーションが明らかにもたつくようになった。

 もちろん、筆者は複数のWindows Phoneを使用しているため、他の高性能な端末と比較した上での感想だ。そのため、Lumia 610で初めてWindows Phoneを手にした人が満足する可能性はある。しかしWindows Phoneの最大の特徴であるユーザー体験を十分に実現できているかと問われれば、かなり微妙なライン上にあると感じる。

 なお、Lumia 610のライバルになりそうな「Samsung Omnia M」は、1GHzのプロセッサと384Mバイトのメモリを搭載すると発表されている。この違いがユーザー体験にどのような違いをもたらすのか、興味深いところだ。

256Mバイト未対応アプリはインストールできない

 このように、Lumia 610で「もっさり」するアプリやゲームがある一方、インストールできない完全な未対応アプリも存在する。大量のメモリを必要とするアプリなど、256Mバイト端末で動かないことが初めから分かっているアプリは、Marketplace上で区別されているのだ。

 当初、Microsoftの説明によれば、Marketplaceに登録されている既存アプリのうち、256Mバイト端末に対応できないアプリは5%程度あるとのことだった。しかし現在では開発者による対応が進んだこともあり、全体の1.6%のアプリのみが未対応となっている。

 しかしその1.6%の中には、人気の高いアプリやゲームがいくつか含まれている。例えばMicrosoftの一部門となった「Skype」アプリ、現在でもスマートフォンのゲームとして圧倒的な人気を誇る「Angry Birds」、日本発のゲームとして世界的に注目を集めているシューティングゲーム「DODONPACHI MAXIMUM」といったタイトルが256Mバイト端末に非対応となっている。

Photo 「Skype」「Angry Birds」「DODONPACHI MAXIMUM」など有名タイトルが未対応

 さらに「Free Wallpapers」や「Windows Phone Tips」のような、一見するとメモリ使用量が高いとは思えない実用系アプリも、同様に非対応となっている。

 Lumia 610のような256Mバイト端末でアプリが使えるメモリ領域は90Mバイトしかない。そのため開発者は、何とかしてメモリ使用量を90Mバイト以内に抑えるよう工夫するか、さもなくば256Mバイト端末への対応をあきらめることを選択することになる。

 日本ではまだあまり考慮する必要がないと思われるが、もし今後メモリが256MバイトのWindows Phoneを購入する際には、使いたいアプリが対応しているかどうか確認する必要があるだろう。ちなみに筆者のブログで256Mバイト端末に非対応のアプリを公開しているので、興味のある方は参考にしてほしい。

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