ケータイで培った技術をスマホに――“人に優しい機能”を強化する富士通（2/3 ページ）

[田中聡，ITmedia]

新しいヒューマンセントリック機能も搭載

富士通の高田氏

　続いて、富士通執行役員の高田克美氏が、夏モデルの特徴的な機能を説明。富士通といえば、従来から「ヒューマンセントリック（人間中心）」を機能の中核に据え、見やすさ、聞きやすさ、話しやすさといった人に優しい機能を数多く提供してきた。夏モデルでは「幅広くすべてのシリーズで展開して商品力を上げるため」（高田氏）、ヒューマンセントリックエンジンのコア技術を専用LSI化した。

　新機能として、着信音を静かな場所で小さくして騒がしい場所で大きくする「気配り着信」、加速度センサーとマイクで睡眠状態を検知してよい眠りをアドバイスする「睡眠ログ」、加速度センサーが端末の傾きを検知し、画面をユーザー側に向けて持っている間はバックライトが消えない「持ってる間ON」、場所によって最適な画質に調整する「インテリカラー」、意図せず画面の向きが変わった際に2回振ると戻る「戻ってシェイク」などを採用した。

　F-10DとT-02Dには、ケータイで好評だった指紋センサーを搭載。センサーはスイッチ式になっており、画面オフ時に押すと点灯し、そのまま指紋認証でロックを解除できる。高田氏は「片手ですぐに使い始められる」とアピールする。省電力機能も進化させ、画面の明るさ、バックグラウンドでの通信、Wi-Fiなどの動作を時間帯ごとに制御する「NX！エコ」を搭載するほか、画面消灯時に一定時間以上動作しているアプリをランキング表示する「アプリ電池診断」も用意した。

富士通の開発方針（写真＝左）。スマートフォン開発の考え方（写真＝右）

夏モデルでさらに進化したヒューマンセントリック機能（写真＝左）。画面内側にして端末を持っている間は、設定した消灯時間が経過してもバックライトが消えない「持ってる間ON」（写真＝右）

画面の向きが変わっても、端末を2回振ると元に戻る「戻ってシェイク」（写真＝左）。スイッチ付きの指紋センサー（写真＝中）。効率よく電力を抑えられる「NX！エコ」と「アプリ電池診断」（写真＝右）

　F-10DとT-02Dはディスプレイに耐傷性の高い「Corning Gorilla Glass」を採用しているのも特筆すべき点。イオンをガラス表面層に詰め込み、圧縮された状態（圧縮応力層）を作り出す化学強化を深いレベルまで施しており、（端末が）1.5メートル落下しても傷が付きにくい。コーティングをするのではなくガラス素材自体を変えているが、「厚みが増すなどのデメリットはない」（説明員）とのこと。ちなみに富士通のスマートフォンでは「ARROWS μ F-07D」からCorning Gorilla Glassを採用している。

Corning Gorilla Glassと一般ガラスの耐傷性と強度を比較（写真＝左）。特殊強化ガラスを使用している（写真＝中）。会場ではボールをディスプレイに落としても傷が付かない様子をデモしていた（写真＝右）

　T-02Dは、F-10DにはないNOTTV（モバキャス）を楽しめるほか、画像と映像のノイズを抑えて輪郭をシャープに表示できる「モバイルレグザエンジン6.0」を備えているのが大きな特徴。NOTTVの番組はHDMI出力をサポートしており、スマホ（T-02D）だけでなくテレビの大画面でも視聴できる。またDTCP-IP対応のDLNA（レグザリンク・シェア）により、レグザブルーレイに録画した番組をT-02Dに持ち出して視聴することも可能。T-02Dで視聴中に一時停止した場面からテレビで視聴できるリレー再生にも対応している。

夏モデルの中でもハイエンドなF-10D（写真＝左）とT-02D（写真＝右）の特徴

T-02Dではレグザの美しい映像技術とレグザ機器連携を訴求する（写真＝左）。DLNA経由でレグザブルーレイに録画した番組をT-02Dで視聴できる（写真＝右）

NOTTVの番組もテレビ出力可能だ（写真＝左）。写真の表示や切り替えをレグザのリモコンからも操作できる（写真＝右）

　ANTEPRIMAとコラボレートしたT-09Dは、ホームキーやカメラ周りに散りばめたフラワーモチーフや、女性の手になじみやすいコンパクトなボディが特徴。オリジナルのタッチペンやワイヤーリボンストラップを同梱している。オリジナルの壁紙はもちろん、ロック画面や着信画面も独自のグラフィックを作り込んだ。

F-09Dの主な特徴（写真＝左）。オリジナルの内蔵コンテンツも用意する（写真＝右）

　スマートフォン初心者に向けたF-11Dでは、ケータイからスムーズに移行できるよう「かんたんお引越し」アプリを訴求する。2008年夏モデル以降の富士通のiモード端末でmicroSDにバックアップしたデータを、専用アプリで簡単に取り込めるというもの。移行できるデータはアドレス帳、メール、ブックマーク、スケジュール、アラーム設定、メモ。なお同アプリは他の富士通夏モデルも搭載している。

F-11Dの主な特徴（写真＝左）。アドレス帳やメール、ブックマークなどのデータをケータイからスマホへ手軽に移行できる（写真＝右）