「情緒感ある大画面化」と「放射線量の見える化」――シャープがスマホで目指す新たな可能性開発陣に聞く「106SH」「107SH」「102SH II」(1/2 ページ)

» 2012年07月04日 17時54分 公開
[今西絢美(ゴーズ),ITmedia]

 ソフトバンクモバイルが発表した2012年夏モデルは、全4機種のうち3機種がシャープの端末となっている。フラッグシップ機の「AQUOS PHONE Xx 106SH」に加え、スマホでは前代未聞の放射線測定機能を備える「PANTONE 5 107SH」、昨冬登場した「AQOUS PHONE 102SH」をブラッシュアップさせた「AQUOS PHONE 102SH II」の3台だ。

photophotophoto 左から「AQUOS PHONE Xx 106SH」「PANTONE 5 107SH」「AQUOS PHONE 102SH II」

 フィーチャーフォンの時代から幅広い層の支持を得てきたシャープが、今夏スマホで込めた想いを、通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 部長 林孝之氏、通信システム事業本部 グローバル商品開発センター プロダクト企画部 係長 澤近京一郎氏、通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 係長 河本幸生氏に聞いた。

ユーザーの裾野を広げるためラインアップの充実を意識

photo シャープの林氏

 シャープが今季のスマホで意識したのは「ケータイからスマホへの買い替えが進む中で、ユーザーのニーズに応えるだけでなく、昨今のスマホのトレンドをどのような形でシャープらしく実現するのか」(林氏)という点だ。「『Feel UX』などで使い勝手をフォローし、裾野を広げる意味でもハイエンドモデルだけではなく、手頃なサイズ感やスペックも必要だと感じています」と林氏は説明する。

 また、今季モデルがいずれも900MHzのプラチナバンドに対応していることも特筆すべき点だろう。「それに合わせて、ハイエンドなAQUOS PHONE Xxでは(ソフトバンクの)スマホ最速の下り42Mbpsに対応させた」(林氏)とのことだ。

photophotophotophoto AQUOS PHONE XxとPANTONE 5のホーム画面には新たに「Feel UX(3ラインホーム)を採用。アプリ、ウィジェット、ショートカットが3ラインで表示される(写真=左端、左中)。一方で、「AQUOS PHONE 104SH」にも採用したAndroid 4.0向け「SHホーム」も利用できる(写真=右中、右端)

単に高機能なだけではない「AQUOS PHONE Xx 106SH」

photo シャープの澤近氏

 AQUOS PHONE Xxは、ワンセグ、おサイフ、赤外線通信、防水・防塵に対応した全部入りモデル。この「Xx(ダブルエックス)」とは「extreme excellence」の略で、最上級であることを表し、今後もハイエンドモデルにはこの名が冠される。このモデルが従来機から進化したポイントは大小合わせると10を超す。その中でも注目すべきは高精細な液晶を搭載しながらも、高級感を感じさせるデザインへのこだわりが随所に見られるところだろう。

 「これまでは4.5インチの『CG-Silicon』液晶を採用していましたが、本機では省電力性の高まった4.7インチの『S-CG Silicon』を使っています。また、従来は画質調整技術が『SVエンジン2』だったのを、『SVエンジン3』に進化させました。SVエンジン3では実物の色に近づける『ナチュラルカラーモード』を搭載しています。最近ではスマホでネットショッピングを利用する方も増えているので、実際の商品の色と違うということがなくなるように、このエンジンを採用しました」と澤近氏は語る。

 デザインについて澤近氏はこう語る。「表面のガラス加工は我々にとって大きなチャレンジです。これまでは、落下時の割れを防ぐために、端末の周囲をリブ(土手)で囲んで画面を守るというのが主流でした。今回はその部分のデザイン性を高めようと、高級時計に用いられるクリスタルカットを意識しています。一般的には割れを防止するにはガラスを厚くして強度を保つのですが、さらに周囲のエッジをカットし、背面から蒸着処理を施しました。こうすることで、見る角度によって色が違うように見えるんです」。ちなみにこのガラス処理は、他社のフラッグシップ機であるドコモ向け「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」とau向け「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」には採用されていない。

 このガラスを際立たせるために、着信イルミネーションにはホワイトのライトが優しく光る「アクティブチェーンイルミ」を採用し、デザインの高級感をより高めるのに一役買っている。「イルミネーションといえば、通常は3色LEDを使って虹色に光らせるなど、カラフルなイメージがあったかと思います。しかし、ガラスの高級感を保つためにも、今回は白色(1色)のLEDを4つ搭載しました。さらに、柔らかい光にするために、専用のチップを搭載しています。これにより4つのLEDを個別に駆動させています」(澤地氏)。また、林氏は「光の明るさと暗さだけで情緒感をどう醸し出すかが重要でした」とも話す。

photophotophoto 機能ごとにイルミネーションのパターンを設定できる(写真=左、中)。白色のLEDが下部に点滅する(写真=右)

 4.7インチという大画面のポテンシャルを最大限に生かすために「Dolby Mobile v3」も導入された。この機能の搭載は、ソフトバンク向けのシャープ端末では初めて。「大画面になることで、AVコンテンツを大迫力で楽しめるようになります。そのためには液晶がきれいなだけではなく、音も大迫力で楽しんでいただきたいと思っています」(澤近氏)

操作性を追求したソフトバンク向け端末のみの機能

 他キャリアにも端末を供給するシャープだが、進化したポイントの中にはソフトバンク端末のみに搭載した機能もある。簡単にコピー&ペーストができる「どこでもコピー」はその代表といえる。

 「スマホが普及していく中で、従来のケータイに比べて文字入力がしにくくなったという意見を多く耳にしています。そこで、AQUOS PHONE Xxには『どこでもコピー』という機能を搭載しました。コピー&ペーストをする際に専用モードを起動し、コピーしたい範囲を丸で囲んでいただきます。すると、指定した範囲のみを文字認識し、コピーできます」(澤近氏)。この機能はPANTONE 5にも搭載されており、画像内のデータをテキストとして読み取ることも可能だ。

photophotophotophoto 指で囲った範囲の文字をコピーできる「どこでもコピー」(写真=左端、左中)。どこでもコピーを使えるシーンでは通知バーにその旨が表示される(写真=右中)。アプリ連携により、コピーした文字をメールで送信したりSNSにアップしたりできる(写真=右端)

 文字入力に関しては「漢字かな混じり手書き予測変換」にも対応する。「例えば会議の『議』は画数が多いので、手書き入力をするには面倒に感じると思います。そこで、『会ぎ』と漢字と平仮名を混ぜて入力しても、『会議』と漢字の変換候補を表示します」。小さな進化ではあるが、ユーザーの使い勝手の向上に着目した進化だといえるだろう。

 さらに、従来モデルでは1520mAhだったバッテリーを、1900mAhにまで大容量化。長持ちバッテリーをサポートするために、2011年冬モデルから搭載した「エコ技」をISW16SHなどと同じくさらに進化させ(参考記事)、省エネしながらも快適な操作性を保つよう目指した。

 昨今の大画面スマホブームの中、4.7インチというサイズにしたのにも理由がある。「このサイズよりも大きくなると、体感的なサイズとして受け入れていただきにくくなると考えています。いろいろと調査を重ねたうえで、4.7インチにしました。従来の4.5インチの端末のサイズの中に、4.7インチの画面を収めようと技術でカバーしています」(澤近氏)。確かに、4.5インチの102SH IIと並べると、サイズはほぼ同じ。「逆にAQUOS PHONE Xxでは、本来これよりも小さなサイズにできるところを、手に収まりやすいようあえて幅を広くしています」(林氏)

 大型液晶への言及はさらに続く。「5インチというのは、タブレットなのかスマホなのかという微妙なサイズだと思うんです。当然、そういった流れがあることは理解していますが、今季はスマホであるからには携帯性を実現したかった」と林氏は語った。「ただ、冬モデルについてはまだ分かりません。サイズに関してはせめぎ合うポイントなので」と言い、さらなる大画面化の可能性については否定しなかった。

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