F-10Dは放熱に不利な防水・防塵の筐体にクアッドコアCPUを搭載し、さらにLTE通信チップが別構成になっていることから、発表時から発熱を心配する声が少なくなかった。そんな声に対し、メーカーである富士通はTegra 3に搭載されている低負荷処理用コンパニオンコアや、稼働コア数を制御するチューニングによって、電力消費と発熱を抑えるとしていた。実際にその効果は出ているのだろうか。
前回も取り上げた初期設定時の完了後、「dマーケット」や「Google Play」などのアップデートや自動同期で多くの通信が発生した。購入直後だったこともあり、バッテリー残量が不十分で、充電をしながら操作していた。その際、本体の発熱量が大きくなり、自動的に充電を一時停止するという事象が発生した。先代のF-05Dでは、購入後しばらくは、このような警告画面を見ることはなかったので驚いた。
また、DiXiM Playerを使って動画を再生すると、コマ落ちはF-05Dと比べるとかなり抑えられた一方で、本体が急激に温まり、自動的に液晶の照度を落としてしまう、という事象も目立つようになった。
BatteryMixアプリでは本体温度の監視もできるので、試しにチェックしてみたところ、スリープ中はおおむね25℃〜35℃で推移し、他のスマホとほとんど変わりない。画面をオンにして負荷のそれほど大きくないアプリを使うと40℃〜50℃に上がる。これも他のスマホと大差はない。ただし、先述のDiXim PlayerやFlash Playerのように通信・処理ともに負荷の大きいアプリを利用すると、コアがたくさん稼働するせいか、本体温度が最大で65℃まで上がった。ここまで温度が上がると先述のような高温による機能制限がかかりやすくなる。CPUがしっかり働いている反面、他の機能が犠牲になってしまうのは残念ではある。
なお、放熱は画面側全体で主に行うように設計されており、本体温度が上がると、画面全体が次第に温かくなるようになっている。高温になっても、持てないほどの熱さにはならない。しかし、本体温度による機能制限はF-05Dのときよりも明らかに発生しやすくなっているのも事実だ。クアッドコアCPUで処理速度が向上した一方、使い勝手が若干犠牲になったことは否定できない。今後のソフトウェア更新で、ある程度改善されることに期待したい。
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