Bluetoothとパケット通信のおいしい関係

“Bluetooth内蔵ケータイなんて何に使うの?”そう思われている方には,BluetoothとPacketOneが実現する常時接続的な感覚を味わっていただきたい。

【国内記事】 2001年6月4日更新

 auからBluetoothを内蔵した携帯電話「C413S」が登場する(5月17日の記事参照)。バージョン間の互換性の問題もあり,期待感ばかりが先行していた感のあるBluetoothだが(4月24日の記事参照),やっと実用に堪える製品が登場してきた。

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現状,ソニーのバイオとの組み合わせのみが動作確認されている

利用スタイルを変化させるBluetooth

 接続にケーブルが必要なく,赤外線のように位置を気にする必要もないBluetoothを利用すると,快適なインターネットアクセスを実現できる。携帯が鞄の中に入っていてもOK,服のポケットにあってもOKだ。

 ただし,“Bluetoothだから快適”というよりも,“PacketOneとBluetoothの組み合わせが魅力的”だといえるだろう。Bluetoothはモバイルインターネットの利用スタイルを大きく変えてくれる。

 Bluetooth内蔵の携帯電話から,データ量課金であるPacketOneを利用する場合,ケーブルを使った接続も必要なく,通信時間を気にする必要もない。いってみれば,ダイヤルアップを意識する必要がなく,常時接続的な感覚でインターネットにアクセスできる。

 PHSにしろcdmaOneにしろ,これまでダイヤルアップを行う場合「さぁ,これからダイヤルアップするぞ」と身構えながら接続するのが普通だろう。携帯電話やPHSを鞄から取り出しケーブルでPCに接続して,いざダイヤルアップ。必要な通信が終わったら,急いで回線切断だ。

 PCカード型のPHSならば,面倒な接続が必要なく手軽だが,時間を気にせず使うわけにはいかない。

 つなぎっぱなしにして利用できるから,「ちょっとWebを見るためにダイヤルアップする」という手間は必要ない。基本的にノートPCの電源を入れたら,ダイヤルアップも同時に行うという利用スタイルになる。感覚的には常時接続も同じ。大きなデータを送受信するときだけ,KDDIから提供されている「パケットメーター」などで金額を確認していれば,PHSよりも気楽に接続していられる。

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 ただし,いくつか不満点もある。せっかくケーブルを意識しないで済むのに,こまめにBluetoothの接続をやり直さなくてはならないことだ。Bluetoothの電源を入れたら自動的に携帯電話とダイヤルアップネットワーク接続してくれるような設定も欲しかったし,サスペンドや休止状態に入る時に,自動的にBluetoothの電源が切れないのも残念だ。しかし,そうしたちょっとしたツールの使い勝手さえ向上すれば,Bluetoothを利用したダイヤルアップはさらに便利になるだろうという予感はある。

気になるパケット代は?

 現在,屋外からPCを使ってインターネットにアクセスするにはいくつか方法があるが,満足いく通信速度が得られて場所を問わないという意味での選択肢は,PHSとcdmaOneのPacketOneのみとなる。

 PHSとPacketOneが大きく異なるのは料金体系だ。PHSが接続時間に応じて料金がかかる時間課金なのに対して,PacketOneは送受信したデータ量に応じて課金が発生する。

 パケット通信であるPacketOneは,高いという印象が強いが,実は「ミドルパック」などの導入により,利用スタイルによってはPHSと大差ない料金体系が実現されている(2月1日の記事参照)。

 本稿は,屋外にバイオSRを持ち出し,C413SとBluetoothで接続してPacketOneで接続したままで執筆してみた。場所は夕方の渋谷の喫茶店。

 接続を開始したまま約2時間が経過したが,接続が切れる兆候は皆無だ。C413Sの電池容量は,未だに満タンを示したまま。ノートPCの電池のほうが厳しいくらいだ。

 適宜Webを参照しているが,その間に送受信したデータ量は約1万パケット(約1.3Mバイト)。料金は,標準で1000円,ミドルパック適用で300円程度だ。PHSを利用すれば約1200円程度の料金がかかる利用時間である。

 屋外で大きなファイルをダウンロードしたい,ガンガンインターネットにアクセスしたい。そういった場合にはPHSのほうが向いているのは間違いない。しかし,ちょっとWebを閲覧したい,メールを確認したい,そういったニーズにはBluetooth+PacketOneは快適そのものだ。

確実につながること,なかなか回線が切れないこと

 cdmaOneの通信網を利用するPacketOneでは,通信が切れにくい,サービスエリアが広い,といった特徴もある。最近でこそ,PHSのサービスエリアは広がり,ほとんどの場所でデータ通信が可能だが,どこでも通信可能かというとそうでもない。

 特に大手町などのビルが乱立しアンテナの密度が低い地域や,高層ビルの高い階層,また奥まった室内は現在でもPHSには厳しい。PCカード一体型のPHSの場合,ユーティリティを立ち上げるかダイヤルアップをしてみないと,電波が届いているのかどうかが分からないのも問題だ。

 PacketOneの場合,地下を除けば非常に安心感のあるサービスが受けられる。パケット通信中に電話がかかってきても,通話の間はパケット通信が中断され,通話が終わるとすぐにデータ通信に復帰する。

 「つながったと思ったら切断され,何度もダイヤルアップを繰り返す……」という経験をしたことのある人には,PacketOneの粘り強さは感激ものだろう。“確実につながること”“なかなか回線が切れないこと”,PacketOneはこの2つのニーズを満足させてくれる。

 もちろん,回線交換方式を使い一定の速度が保証されるPHSと違い,ベストエフォート方式であるPacketOneの速度は回線の混み具合などによって変化する。また,PacketOne自体は最大64Kbpsのデータ転送速度だが,C413Sとバイオの組み合わせでは最大50Kbpsとなる。

 Bluetooth内蔵携帯C413Sは,屋外でのインターネットアクセスの利用スタイルを一変させてくれる製品だ。もっとも,現在のところそのメリットはバイオSR,バイオC1を持っている人しか享受できないわけだが。

[九条誠二,ITmedia]

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