誰がためのFOMA?──その厳しい現実利用スタイル,ネットワーク,端末の品質,料金体系,どれをとってもFOMAの試験サービスはいまひとつ。本サービス開始はまだ先なれど,いったい誰にFOMAを使ってほしいのだろう?
FOMAは試験サービスにしておいてよかったのかもしれない。 5月30日に試験サービスは開始されたものの,目玉であったビジュアルタイプの出荷は遅れ(5月25日の記事参照),FOMAのネットワークトラブルがiモードメールにまで波及する(6月1日の記事参照)など,当初からトラブル続きだ。 実際の端末も,「全然つながらない。つながってもすぐ切れる」「通信速度を試せるところまでいかない」(データタイプのモニター当選者)と手厳しい評価を受けている。 これで実用になる? FOMAのデータタイプ今回試したのは「FOMA P2401」。データタイプのPCカード型端末だ。場所のせいか時間帯のせいか,残念ながら速度を計測できるほど通信が安定しなかったことを先にお断りしておく。
64Kbpsの回線交換と,下り最大384Kbpsに対応しているP2401はかなり大柄。面白いのは,内蔵される可動式のアンテナのほかに,外部アンテナが付属していることだ。 外部アンテナは10センチほどの棒状で,40センチほどのケーブルを使ってP2401に接続する。外部アンテナには吸盤が付いており,窓などに貼り付けて使うのだという。「PCからのノイズが乗るため,アンテナが必要」(ビジネスシヨウ松下説明員)というが,かなり不恰好だ。
パケット通信は何に使う?「たとえiモードの6分の1になっても,FOMAのパケット料金は高い」これは,以前から言われつづけていることだ。 1パケット(128バイト)につき0.05円という料金は,iモードサービスでは安価かもしれないが,気軽にインターネットへダイヤルアップできる価格体系ではない(2月23日の記事参照)。何しろ,スーパーパック適用で0.02円/1パケットの料金体系であるauのPacketOneでさえ,“安心しては使えない”のだ(2月1日の記事参照)。 もちろん,NTTドコモもそれは認識している。P2401のマニュアルには「データ量が大きいホームページの閲覧やデータのダウンロードを行うと,通信料が高額となるおそれがあります。通信方法に適した利用形態をお勧めします」と記述してある。 それぞれの通信方式に適した用途というのは,以下のとおりだ。
*△は適している場合と適していない場合があるもの そもそも回線交換を用いる64Kデータ通信も,1分間で約50円とPHSの数倍の料金体系となっている。パケット通信に至っては,「料金が高いので,文字以外のデータの送受信はお勧めしません」とドコモ自体が認めた形だ。 しかし,文字のみの電子メールや文字のみのホームページに384Kbpsのデータ通信速度が必要だろうか? もちろん使いすぎが起きないように,毎月の通信料などが1万円を超えるごとにメールで通知してくれる「一定額到達通知サービス」もドコモは提供している。 FOMAは誰に向けたサービス?回線交換,パケットともに通信料金は高く,FOMAならではの魅力的なアプリケーションもまだこれから。サービスエリアの整備も万端とは言いがたい。 当初,ビジネス向けにFOMAを推進するにしても,「速度は速いようだが,接続性に不安が残る。いざというときに安心して使えないようではビジネスには利用できない」と,FOMAをビジネス用にテストしているコーポレートユーザーは語る。「少なくとも現状のPDCとのデュアル端末でないと安心できない」 通話音質という点では,既に全国網を完成させているauのcdmaOneとFOMAの方式は基本的に同じだ。 6月時点では,ネットワーク状態,アプリケーションの開発状況,料金体系の設定など,どれも鳴り物入りで始まったものとは思えない。これでは,天下のNTTドコモも“試験サービス”という形で始めざるを得なかった,というのが本当のところではないだろうか。
[斎藤健二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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