ポータブル機器に向けた次世代DSP登場──Analog Devices

IntelとAnalog Devicesが共同開発した「Micro Signal Architecture」を搭載したDSPチップが登場する。マイクロコントローラも内蔵し,2002年末には1GHz動作品を出荷するという。

【国内記事】 2001年6月11日更新

 Analog Devicesは6月11日,Intelと共同開発したアーキテクチャである「Micro Signal Architecture」を搭載したDSPチップ群「Blackfin」を発表した。

低電力を実現するDSP

 Micro Signal Architectureは,従来のDSP製品から性能を向上させ,動作電圧と周波数を可変させる高度な電力制御機構を備えたアーキテクチャ。さらにマイクロコントローラ機能も追加されており,1つのプロセッサコアで信号処理と制御命令の両方をサポートしている。

 「Blackfinは(最もニーズの高い)16ビットDSPの次世代製品だ」(米Analog Devicesのプロダクトラインマネージャ,Mark Gill氏)

 Analog Devicesは,Micro Signal Architectureに基づいてPCIやUSBなど豊富なインタフェースを追加し,汎用のDSPとしてBlackfinを作りあげた。

 従来のDSP製品に比べて高速なアーキテクチャであるうえ,「2002年末までに1GHzの製品を出す」とMark氏は語る。最初の製品となる「ADSP-21535」の動作周波数は300MHz。

 さらに動作電圧と周波数を動的に可変することで,最高速度時の350ミリワットから80ミリワットまで消費電力を削減できる。「ほかのDSP製品ではこのようなダイナミックな動作ができない」(Mark氏)

 Blackfinは,300MHzで動作する「ADSP-21535PKCA-300」と,200MHzで動作する「ADSP-21535PKCA-200」の2製品が9月にサンプル出荷される。価格はそれぞれ34ドル,27ドル。量産出荷は2002年第1四半期の予定だ。

Photo
Blackfinの製品ロードマップ。最初に汎用品を出し,その後各分野に特化した製品に切り替えていく

需要が伸びる高性能DSP

 DSP(Digital Signal Processor)は,デジタル信号を専門に処理する回路。汎用性の高いCPUと違い,特定の処理に特化することで高速な処理を実現している。携帯電話で利用される音声コーデックやデジタル画像処理などに向いている。

 「画像やビデオ,高品質な映像を利用したアプリケーションがターゲット」だとMark氏は言う。IntelでもMicro Signal Architectureを利用したDSPを開発しているが,Intelが注力しているのは第3世代携帯電話だと見られている。「(Blackfinは)3G向けのカスタムプロダクトではない。今回の製品は汎用市場向けだ。そういう意味ではインテルと競合するものではない」(Mark氏)

 また,これまでDSPはARM7などのマイクロコントローラと組み合わせて利用されることが多かったが,Blackfinではマイクロコントローラも統合していることでシステム設計が簡素化できる。

 「各プロセッサにつながっていたメモリが1つに統合される。また各チップごとに開発していたのが,統合された環境で開発できることで,最終的に1つにまとめやすい」(アナログ・デバイセズのDSPグループマネージャ有田省吾氏)

 現在DSPを利用している機器で高速なDSPを必要としているものは多くない。携帯電話などの音声コーデックも1世代昔のものがカスタム化されて搭載されているという。

 しかし今後通信回線の高速化に伴い,ポータブル端末でビデオ,画像,音声の信号処理に対するニーズが高まると予想されている。

[斎藤健二,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!