CFスロット搭載!新しくなった「CASSIOPEIA E-750」は買いか?

本日発表されたカシオ計算機製「CASSIOPEIA E-750」は,iPAQ Pocket PC発売以降動きのなかったPocket PCデバイス陣営にどのような動きをもたらすマシンなのだろうか。

【国内記事】 2001年6月12日更新

前モデルE-700とのハードウェアの違い

 前モデルE-700との違いとしては,「コンパクトフラッシュカード (Type II) スロット」が搭載され,通信環境が整ったことが挙げられるだろう。このスロットを使えばNTTドコモの「P-in Comp@ct」やDDIポケットの「C@rd H" petit」を利用して,ケーブルレスでインターネットを楽しむことが可能となる。

 そしてもうひとつの違いが高速化されたCPUだ。E-750ではCPUにMIPS系の「VR-4131/200MHz」を採用している。E-700も同じMIPSのCPUである「VR-4122/150MHz」を採用していたが,速度が上がったことにより,ゲームや大きなアプリケーションの起動終了などの動作,そしてストリーミングの再生などがよりスムーズに行えるようになる。

 本体サイズについては「ひとまわり」大きくなり,重量にして約30グラムほど増えたことになる。その分,バッテリーの容量が増え,通常使用時で連続約10時間の使用が可能となっている。カード型通信端末は,どうしても本体のバッテリーの消費が増えるので,より「通信」に特化した使い方をする際に,これは大変重要なポイントになる。

ストリーミングやワイヤレス通信を楽しむソフトが同梱

 同梱されているアプリケーションの変更点を見てみよう。

 まずはMPEG4形式の動画のストリーミング再生に対応したムービープレーヤー「PVPlayer」の搭載,ビジネスショーのカシオブースでも出展していたActiveSky独自フォーマット対応のビデオ再生アプリケーション「ActiveSky Media Player」が同梱される。これらはインターネットと接続し,動画をダウンロードして楽しむストリーミングをサポートするものだ。

 また,再生だけでなく,CFスロットに挿入することで利用できるデジタルカメラカードを利用することによって,静止画の再生,スライドショー,動画の再生を行うことも可能だ。

 インターネットに関連したアプリケーションとしては,タイマー予約でWeb巡回を行ったり,メールの送受信を自動的に行える「Mobile Internet Timer」が使えるようになる。このソフトについては7月下旬からカシオのサイトでダウンロードが可能になる。ザウルスの「インターネット予約」機能を使った巡回とメールチェックは,カード型通信端末を利用している人にとって大変便利だが,それと同じような機能をPocket PCで手軽に利用することができるわけだ。

 また「WordLinker」というソフトも同梱される。これはちょっと特殊なソフトで,ディスプレイに表示されたテキストのなかから,気になるテキストを選択すると,その語句に関連する内容をインターネット上から検索してくれるというものだ。

iPAQ Pocket PCと比較すると?

 ほかのPocket PCデバイスと比較してみよう。ここでは売れ筋であるコンパックの「iPAQ Pocket PC」と比較してみよう。

 さて,iPAQ Pocket PCを語る上で,現状ではiPAQ Pocket PCが「ギネスブックにも登録された世界最強のPDA」であるということを頭に入れておきたい。処理速度や拡張性を取ってみると,これほど「ポケットの中のPC」という名前にふさわしいPDAはほかにないだろう。

 しかし,スペックでE-750と比較してみるとその「世界最強」が,すでに過去のものになりつつあるということも否めない。

 まずはCPU速度だが,iPAQ Pocket PCは「StrongARM32ビットRISC/206MHz」。これはE-700の「VR4122/150MHz」と比較すればケタ違いであったが,今回発表されたE-750ではMIPS系の「VR4131/200MHz」と,CPUの特性による違いはあるものの,E-700に比べて約3割の高速化を実現したといい,期待が持てる。

 液晶については,たしかにiPAQ Pocket PCの液晶は場所を選ばない反射型カラーTFT液晶4096色を採用しているが,コントラストや色味,表現力の面では好みが分かれる。

 また利点であり欠点でもあるのが「拡張ジャケット」である。この拡張ジャケットを取り替えることにより,iPAQ Pocket PCは高い拡張性を実現しているが,たとえば気軽にインターネットを利用したい人の場合,CFスロットジャケットを装着するだけでも厚さや重さがまるで異なってしまう。また,使わないときにジャケットだけを外して別途持ち歩くのも面倒だ。

 また,iPAQ Pocket PCは,本体価格も高い部類に入る。現状の一般的な標準価格は5万9800円,中古市場でも5万4000円〜5万6000円程度で売買されていることを考えれば「やや高級」なPDAということになる。

待望のiPAQ Pocket PCのライバルマシンになるか?

 さて,ざっくりと性能について比較してきた。おそらく多くのPocket PCユーザー,そしてこれから購入しようとしているユーザーは,iPAQ Pocket PCのライバルとなりうるデバイスの登場を心待ちにしていたのではないかと思う。カシオの「CASSIOPEIA E-750」は,その期待を裏切ることのない,全体的にバランスの良いマシンとして仕上がっているようだ。

 カシオによれば,E-750が発売されても,従来機種のE-700はそのまま販売を続けていく方針であるという。ユーザは「CFスロットモデル」か「MMC/SDスロットモデル」かという拡張方法によってデバイスを選択することになる。

 市場予測価格は5万円前後となっており,熾烈なPDA戦線の中にまた1つの魅力的なマシンが投下されたことになる。この値段を高いと見るか安いと見るかはユーザーの使い方によっても異なるとは思われるが,付属ソフトの多さや強化された機能を考えれば妥当かもしれない。

 E-700から買い換えるユーザーにとってのメリットは「E-700で使用していた通信ケーブルやUSBケーブルはそのまま使える」ということだ。買い換えを考える際,現在持っているものがどこまで利用できるのか? ということは重要な点だ。

 さて,7月10日の登場が待たれるこの新しいPocket PCデバイス。今後のPocket PCの中でどのような位置付けのマシンとして育っていくのか,今後も注目して追ってみたいと思う。

[小田嶋絵里,ITmedia]

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