ドコモ,「携帯電話で動画再生は無理」発言?

六本木で行われたCrusoe Seminar 2001。パネルディスカッションにはNTTドコモの進藤常務取締役も参加し,さまざまな興味深い発言を行った。

【国内記事】 2001年6月14日更新

 6月14日,米Transmeta主催の「Crusoe Seminar 2001」が開催された。パネルディスカッションにはNTTドコモの進藤秀一常務取締役も参加,「携帯電話で動画再生は無理」「現在携帯電話のメモリ容量は足りない」といった内容の発言も聞くことができた。

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左から日経BP編集長浅見直樹氏,国際ビジネスコンサルタントジョージ・フィールズ氏,NTTドコモ進藤秀一常務取締役,IT専門評論家Rob Enderle氏,Transmeta David R.Ditzel社長

「携帯電話で動画再生は無理」?

 まずは司会者の紹介を受けて「最近iモードの売上がかんばしくないが……」と冗談まじりにコメントした進藤氏。電気通信事業者協会の5月事業者別契約者報告では,iモード契約の伸びに陰りも見られる(6月7日の記事参照)が,ドコモ側でもそうした認識はあるのだろうか。

 PDAやノートPC,携帯電話などが将来統合されて1つのものになるか? との話題には「全部(統合されて)携帯電話になる,と言いたいところだが,そうはいかないだろう。消費電力とプロセッサ能力のトレードオフの問題がある。プロセッサ能力が高く消費電力の多いノートPCと,プロセッサ能力に制限があり1週間に1度充電すればいい携帯電話とは,同じになることがない」と発言した。

 さらにこの流れの中で「携帯電話は動画再生機能も持ちうるか」という問いには,「携帯電話の大きさ,形からいうとやはり限界がある。あの小さい画面で,(動画などの)映像を見ようという人はいないと思う。ダウンロードして,家に帰って大音量などの環境が整ったところで,テレビに携帯電話を接続して画像を再生させるような利用方法ではないか」と述べた。

 現在ドコモはM-stage visualなどの動画配信サービスを推進しており,今後384Kbpsのデータ受信が可能なFOMAサービスが本格開始される。同社のこのような動画配信に取り組む姿勢をみると,このような発言は意外な印象も受けた。

「ムリしてるかもしれませんね」

 さらに同氏は,携帯電話が(PDAのように)ビジネス向けに使われることはないのか,との問いに「現在ユーザーは8割が(ビジネスでなく一般の)コンシューマ層だ。プライベートに使われており,携帯電話だけではビジネスには向いていない」と答えた。

 ビジネス機能はほかのデバイスに任せるという意味だが,それにしては携帯電話は少ないメモリ容量に“あれもこれも”機能をぎゅうぎゅう詰めにしている感がある。現在多発する不具合も,もともとは少ない容量にさまざまなソフトウェアを組み込むことから生じているが,「ソフトウェアを詰め込みすぎでは?」の問いには,

 「そうかもしれませんね。(現在のハードウェア容量にあれだけのソフトウェアを詰め込むのは)ムリしてるかもしれませんね」と,あっさり認めていた。

「1番大事なのはセキュリティ」

 話の流れが各機器の消費電力に及ぶと,「携帯電話は現在,一週間に一度充電すればよく,今後これ以上の低消費電力化の要求は皆無と考えている」とコメント。

 またディスカッションの最後には,各パネリストに一言コメントが求められたが,その際「携帯電話で今後一番重要なのはセキュリティだと考えている。しかしセキュリティを完全にするために,(手続きが煩雑になり)10分もかかるようではいけない。セキュリティを整備し,エレクトリック・コマースなどに利用できればと思う」と発言した。

 ドコモはこれからどういった進み方をしていくのか。同氏の考え方が必ずしもドコモ全体ではないだろうが,今後を占う上で興味深い発言といえるだろう。

[杉浦正武,ITmedia]

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