マルチメディアに特化するJ-フォンのJava(1/2)

J-フォンのJavaはマルチメディア特化。まずはゲームなどの2D/3D資産を携帯電話で生かせるように仕様が作られた。一般のデベロッパーがJavaを利用できるのは次期フェイズ,年末ごろになりそうだ。

【国内記事】 2001年6月21日更新

 新端末「J-SH07」の発売とともに,J-フォンの携帯電話向けJavaサービスが6月22日から開始される(6月19日の記事参照)。“携帯電話向けJava”といえば,NTTドコモが1月に開始した「iアプリ」(用語)が有名だが,J-フォンのJavaサービスはドコモとは異なった方向性で作られた。

 J-フォンはJavaで何を目指しているのか?

インターネット資産の活用から,ゲーム資産の活用へ

 ドコモのiアプリやKDDIのezplusと,J-フォンのJavaアプリの最大の違いは,マルチメディアにフォーカスしているところだ。「iアプリはビジネスのためにある」と公言するドコモと異なり,J-フォンはマルチメディア機能をふんだんに盛り込んでいる(3月22日の記事参照)。

 そのための機能の1つが2Dのスプライトエンジンだ。スプライトとは画面上の任意の位置に一定枚数画像を重ね合わせることができる小さな画面のようなもの。貧弱なマシンパワーでも,キャラクターを動かすことができる。

 J-フォンが2Dのスプライト機能に目をつけた理由の1つは,過去のゲーム資産の活用にある。「当面インターネット上には(Javaアプリケーションとして)ほしいものはない。2Dスプライトエンジンを搭載することで,過去の膨大な2次元のゲーム資産を再利用できる」と,J-フォン東日本のサービル開発本部サービス開発室アプリケーションシステムグループの赤川光慶課長は言う。

 また,MIDP(用語)に用意されているグラフィックライブラリは線を引いたり,面を書いたりといった低レベルなものが多く,ゲーム開発者は苦労していた。J-フォンのJavaでは開発者になじみの深い2Dスプライト関数を用意してあり,「新規にゲームを制作する場合も,従来と同等の描画関数を利用できるので,非常に作りやすい」(赤川課長)という。

 もう1つの3Dポリゴン機能は,日本が誇る数々のキャラクターを,より身近にするのが狙い(3月15日の記事参照)。22日の開始時から,「SDガンダム」「キティちゃん」「たれぱんだ」など多くの人気キャラクターを使ったサービスが提供される。

 3Dポリゴン機能を利用することで,「(将来的に)CPUやメモリの容量が増えれば,当たり判定を入れて(3Dの)アクションゲームも可能になる」と赤川課長は将来的な展望を語る。

 携帯電話のWebブラウザは,いってみればインターネット上に蓄積されたコンテンツを,携帯電話向けに再利用するものだった。J-フォンのJavaでは,2D/3D機能を盛り込むことで従来のキャラクターやゲーム資産を再活用することができる。

 J-フォンはサービス開始当初,公式コンテンツプロバイダーのみがJavaアプリを提供する。仕様の一般公開よりも公式コンテンツの充実を優先したのは,まずはキャラクターやゲームなどの資産を,Javaアプリとして活用するためだ。

秒間10フレーム以上を実現するハードウェア

 “Javaでゲームを楽しむ”ことを考えた場合,気になるのはパフォーマンスだ。iアプリのゲームでは機種によって大きくパフォーマンスが異なり,ゲームが“速すぎる”“遅すぎる”場合が多々あった(5月9日の記事参照)。

 J-フォンの場合,Java VMにアプリックスの「MicroJBlend」(用語)を共通で利用し,機種間の互換性を維持する。「(端末によって)液晶の画素数,CPUの速さが違うことは(互換性を保つ上で)今後の課題。基本的にはミドルウェアを拡張することで,ハードウェアレベルの違いをできるだけ吸収していく」(赤川課長)

 そもそもJava対応端末は,ハードウェア的にも高速に動作するように作られる。「マルチメディアを特徴とするだけに,高速なVRAMへの(データの)転送能力を持たせ,画面描画を高速化した。毎秒8フレームの描画速度を保証できるようにしている」と赤川課長は自信をみせる。実際には毎秒10フレーム以上の描画速度が実現されているという。

 ちなみに,Javaアプリサイズの30Kバイトという数字は,あくまで目安。アーカイブされたJARファイルをヒープメモリに展開した時には3倍程度の大きさになる。携帯電話に載せられるヒープ用のメモリ容量から逆算して30Kバイトという値に決定された。

 また,各Javaアプリには「RecordStore」と呼ばれるローカルストレージが最低でも10Kバイトずつ割り当てられる。JavaアーカイブとRecordStoreを合わせて40Kバイトが目安だ。各端末には,Javaアプリが10本以上保存できるよう,フラッシュROMに最低400Kバイト程度の容量が確保される。

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