iモードの迷惑メール対策を斬る

英数字アドレスへの変更も進み,iモードへ届く迷惑メール騒ぎも収まってきたかのように見える。しかし,そもそもどうしてiモードにばかり迷惑メールは届くのだろうか? また,現在ドコモが取っている対策はどのようなものなのだろうか。

【国内記事】 2001年7月2日更新

iモードメールが不評のワケ

 iモードユーザーなら,誰もが一度は迷惑メールを受けとったことがあるはず。

 iモードメールでは,購入したままの初期状態では,「電話番号@docomo.ne.jp」になっているため,090以降の番号を組み合わせて,iモードに無差別にスパムメールを送りつけることが可能だ。初期状態のままにしておくと,ひどい時には日に10通以上ものスパムメールを受けとるはめになる。そのほとんどが「出会い系」やアダルトサイトへのお誘いDMだ。

 メールアドレスは,購入後任意の名前に変更することが可能だし,下表のように各種迷惑メールを防ぐための方法はあるとドコモはパンフレットや新聞広告で呼びかけている(5月25日の記事参照)。

シークレットコード 電話番号の後に4桁の暗証番号を付加することで,暗証番号を知らない相手からのメールを拒否できる。既にメールアドレスを任意のものに変えている場合は,電話番号に戻してから設定する必要がある。
メールアドレス変更 任意のアドレス(半角英数字30字以内)に変更できる。ただしすでにほかのユーザーが使っているアドレスは登録できない。よくありがちな名前にすると,結局スパムのターゲットになることも。
メール指定拒否 特定のアドレスから届くメールを受信しないように設定できる。拒否するアドレスは10件まで指定できる。特定のアドレスから,嫌がらせやストーカーメールが来る場合は効果的。
メール指定受信 特定のアドレスから届くメールのみを受信するように設定できる。受信するアドレスは10件まで指定できる。親しい友人とだけメール交換したいというならこの設定にしておくと安心。
メール一括拒否 インターネット経由のメールのみ拒否,iモード間のみ拒否のどちらかが選べる。スパムはほとんどパソコンから送られてくるので,インターネット経由のメール拒否はある程度効果が期待できる。

 ただし,そのどれもが,ユーザーにはいまひとつ不評。なぜならユーザー自身がiモードサイトにアクセスし,設定しなければならないからだ。現時点では設定のためにアクセスする際でも,「オプション設定」にたどり着くまでのパケット料金がかかってしまう。

 また任意のメールアドレスに変更しても,完全に迷惑メールから逃れられるワケではない。ありがちな名前や名字(例:yumi@,やsaitou@……など)をメールアドレスにしていると,それも推測して片っ端から送ってくる輩がいるのだ。

 なぜユーザーはこれほどまでに迷惑メールに腹を立てているのか? というと,ひとえに「受信者がお金を払って受けとらなくてはならないから」である。

 ユーザーのクレームには腰の重かったドコモも,表2のようにさまざまな改善策を打ち出し始めた(6月18日の記事参照)。

メール指定拒否・受信件数を拡大
これまでの5件から10件に拡大(実施済み)
メールアドレスの初期設定を電話番号から英数字の組み合わせに
スパムメールの対象になる電話番号アドレスから,英数字の組み合わせに初期状態を変更。(7月9日実施予定)
iMenu選択時のパケット料金を無料に
メールの設定を変更するために利用するiMenu利用時のパケット料金を無料にする。(8月1日実施予定
毎月400パケットまで受信無料
iモード受信料を毎月400パケット(月120円)まで無料にする。(8月1日実施予定)
ショートメール一括拒否
受け取り側の設定でショートメールを受信拒否できる。(iモード端末では,それ以外の端末なら送受信とも無料なショートメールとして送られたものもiモードメールとして受信してしまう。先方が気軽にショートメールを送ってくるのも,回数がかさむと迷惑になってしまう)

 しかしこれらの対策は,決定的にユーザーの不満を解消させるには至っていない。

 いくら,月400パケット(月120円,標準的なメールで約100件分)無料になるとはいえ,それを超えてしまえば結局は受信者が料金を負担しなければならないことには変わりない。ほかの携帯電話会社もみんなそうなら腹も立たないのかもしれないが……。

 たとえばJ-フォンでは月額数百円の固定料金で,192文字までならメールを無料で受信できる。

迷惑メール,キャリアの責任はどこまで?

 また,J-フォンでは一定時間に同一カ所から大量のメールが届いた場合は,その送信元からの受信をサーバが自動的に停止する仕様になっている。

 ドコモの場合,5月21日に配布開始した迷惑メールに関する小冊子においては,「受信するメールが迷惑メールかどうか把握はできない」「システム上迷惑メールの特定は不可能」「メールの内容を閲覧することはユーザーのプライバシーに関わる問題なのでできない」という理由で,ドコモとしては対応はしない方針だった。

 ユーザーがいかに「このアドレスから始終いやがらせメールが送られて来ている」と訴えても,ドコモとしては警察などから調査依頼がない限りは調査できない。さらに警察への相談はユーザー自身で行うよう明記してある。

 しかし,6月18日のプレスリリースでは,初期アドレスの変更(複数のランダムな英数字),月400パケットまでの無料化と共に,大量のメールを発送している送信者については法的手段も検討する方針を打ち出した。やっと重い腰をあげたといえる。

 ただしその基準については現在検討中とのことで,いまのところ明らかにはされていない。

 「ユーザー側で設定を変更すれば防げる」「ドコモとしては把握できない」と,頑なな姿勢を取り続けていたことがが,ユーザー感情を逆なでしたのは事実。

 いまさら「400パケットまで無料」……といわれても,いまひとつありがたみがなく,ユーザーの感動は薄い。

[いちばゆみ,ITmedia]

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