交通情報は音声にお任せ──KDDIと沖電気,携帯で音声認識

KDDI研究所と沖電気は,騒音の大きい環境でも高認識率を持つ携帯電話向けの音声認識システムを発表した。歩行者向けITSの実現に向けて,音声認識による情報サービスを実用化していく。

【国内記事】 2001年7月2日更新

 KDDI研究所と沖電気は7月2日,携帯電話を用いた「ITS音声ポータルサービス」に関する共同実験を行い,街中の騒音下でも97%以上の音声認識を実現したと発表した。これはKDDI研究所が開発した音声認識エンジンを使ったもので,2001年下期に予定されているVICS(道路交通情報通信システム)の一般公開に合わせて,沖電気が商用化する。

通信キャリア別,端末別にデータベース構築

 このシステムは,携帯電話やPHSを用いて音声で検索条件を入力し,サーバ側で音声認識を行い適当な答えを音声合成により提供するもの。今年後半に携帯電話に内蔵されるGPS機能と合わせて,歩行者向けITSの要素技術として注目されている。

Photo
室内でPHSを使ったデモンストレーションも行われた。静岡県内のゴルフ場名を発音すると,到着時間や交通情報などを音声で案内してくれるというもの

 カーナビなどに比べて,どこにいても手軽で安価に利用できるのが音声システムの魅力だ。「年配の方でも簡単に利用できる」と沖電気のシステムソリューションカンパニー交通システム事業部の片山洸事業部長は語る。

 ITSの場合,騒音の大きな環境で利用されることが多く,これまでは携帯電話特有の劣化した音質で音声を認識するのは難しかった。「今回の実証実験の目的は,車の中や街中の雑音の大きいところで,携帯電話を使って音声を正しく認識できるかどうかを調べること」(片山氏)

 今回のシステムでは,音声認識時にまず通信キャリアやそれぞれの端末に適した音質補正を行うという工夫がされている。KDDI研究所の主幹研究員である清水徹氏によると,既にNTTドコモ,au,J-フォンなどの通信キャリアと各端末について補正データを用意してあるという。さらに周囲の雑音と音声部分を区別する独自の雑音排除技術を導入している。その結果,街中の75デシベルの騒音下や走行中の社内でも97%以上の音声認識を実現した。

Photo
今回のシステムの構成図。いわゆる自動音声応答システム「CTI」サーバと音声認識サーバ,コンテンツが蓄積されたサービスサーバから成り立っている

 沖電気では,2001年下期に予定されている,VICS情報の一般公開に合わせて,この技術を用いたサービスを提供開始する。“音声のみ”はITSサービスの1つで,「PDAやカーナビなどと連動した総合的なITSサービスを予定している」と片山氏は説明する。

[斎藤健二,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!