最新Pocket PC「GENIO e」速攻レビュー&ファーストインプレッション(2/2)

ランチャーは快適

 起動して,まず起動画面(ランチャー画面)を見たときに感動した。

 今までのPocket PCの標準ランチャーは,どのメーカーをとってもいまひとつなじめない,直感的に操作しづらいのだ。「GENIO e」ではタブランチャー形式を採用しており,自分でタブを自由に作成できる。これにより好きな壁紙を設定するなどしながら,自分らしいランチャー設定をすぐに楽しめるようになった。

 タブ形式のランチャーがなぜ便利なのかというと,自分で自由にカテゴリを分けてアイコンを振り分けてしまえば,あとは本当に簡単に切り替えながら使えるということだ。またそのカテゴリ名は常に画面に表示されるので,直感的にさっとカテゴリを切り替えやすいのである。

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ランチャーはタブ形式になっており,自由にタブを追加したり,背景画像なども変更できる

WindowsMediaPlayer7.1を搭載

 この「GENIO e」では出荷時からWindowsMediaPlayer7.1が搭載されている。これを使えばMP3/WMAフォーマットの音楽データを再生することが可能だ。

 ちなみに128ビットレートで変換したMP3データをCFカード経由で再生してみたが,快適に再生することができた。音質などはヘッドフォンやスピーカーの精度によって変わってしまう要素が大きいため,ここでは言及しないが,データが途中で飛んでしまったり,認識ができないといったトラブルはなかった。

 また動画についてはMPEG-4/WMV形式に対応している。対応する画像ストリーミング配信を行っているサイトにアクセスし,実際に画像を見てみると,快適に動作した。ダイヤルアップ回線ではやや遅いと感じる場面もあったが,CFカード型LANカードを使って接続した場合には快適に閲覧できた。

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WindowsMediaPlayerは,バージョン7.1が初めからROMにインストールされている

辞書アプリケーションをROMに内蔵

 外出先でふとした調べものがしたくなったとき,重宝するのが辞書ソフトである。「GENIO e」では辞書ソフトとして「辞スパ」(英和・和英・国語辞書)を本体ROMに内蔵している。辞書ソフトは便利な半面,追加でインストールするとかなりのメモリ容量を使ってしまう。これをCFカードなどにインストールして利用してもいいのだが,使いたい場合にいちいちカードをスロットに挿入しなければならず,手軽に使えなくなってしまうのだ。あらかじめ本体ROMに内蔵してあるというのはある意味正しい選択だ。

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辞書アプリケーションとして「辞スパ」がROMに内蔵されている。英和,和英,国語辞書を利用できる

気になる互換性は?

 一番気になるのは,このマシンで利用できるアプリケーションは? という部分である。CPUはStrongARMという,iPAQ PocketPCと同じものを採用しているので,このCPUに対応するアプリケーションであれば基本的に動作する。

 しかし,iPAQ用のアプリケーションの中でもハードウェアの構成に影響されるタイプのものは動作しない。例えば画面の横向き表示や解像度の調整が可能な「JS Landscape」というアプリケーションは,同じCPUを採用しててもGENIO eにインストールしてしまうと画面が乱れ,操作できない状況になってしまう。

 “iPAQで動作する”と記載されているタイプのアプリケーションの場合には同じCPUであっても動くとは限らない。今後の各開発者の対応しだいになると思われるが,日本メーカー製のデバイスであることからも,海外製のアプリケーションの対応は後発になることが予測される。

 アプリケーションを導入する際にはくれぐれも表記に注意して利用してもらいたい。

稼働時間はまだまだ

 多彩な機能が利用できるのだから,さまざまなシーンでどんどん利用したいと感じるだろう。しかし本体稼働時間については,現時点の技術の限界を感じてしまう。画面のバックライトをオフにした状態で8時間しか使うことができず,連続通信で利用した場合には2時間程度しか利用できない。

 実際にP-in Comp@ctを使って通信を行ってみると,あっという間にバッテリーが消耗していくのが分かった。テスト機なので実際の製品とは異なるが,Webブラウジングなどを楽しむには,バッテリー残量を気にする必要がありそうだ。

 今後はこのバッテリー稼働時間をどこまで延ばすことができるかに,Pocket PCの将来がかかっているともいえるだろう。

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発色が美しいのでPocketIEでのブラウジングも楽しい

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CFスロットはTypeIIに対応しており,CFカード型通信端末を挿入することで手軽に通信環境を利用できる

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もちろん,CFスロットを通信に利用しながらMediaPlayerで音楽を楽しむことも可能だ

誰のためのマシンなのか?

 サイズとスペックを見る限り,GENIO eは非常に魅力的なマシンだ。

 しかし販売価格を見ると,通常モデルが7万円前後,マイクロドライブ同梱モデルが10万円前後と,PDAの中では高めの価格設定になっている。この値段で市場に投入しても,おそらく個人ベースの購入はあまり念頭に置いていないのではないだろうか。

 企業導入モデルに強い東芝としては,ほかのマシンと同じように企業に導入するツールの1つとしてこのマシンを捉えていると考えられる。

 企業導入を念頭に考えた場合,CFスロットが搭載されていれば対応する無線LANカードを導入することも可能であり,動画を使って企業のプロモーションビデオを客先で見せるといったことも可能だ。経費管理もExcelでPCと同じように行うことができるし,企業内のグループウェアとの連携もあまり難しいことを意識せずに行える。

 本体の性能を見るとすぐに手にしたいと感じるマシンであるが,価格で躊躇してしまうという人も多く出てくるだろう。カシオ計算機やNECが,Windows CEベースのPDAを市場に低価格で投入することを決定した中で,どこまでの位置を築けるのかに,この「GENIO e」の評価がかかっている。

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CFスロットにCFカード型LANカードを挿入すれば,LANに接続して利用することもできる

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SDスロットにはSDカードを挿入して利用できる。今後発売される予定のSD/IO対応周辺機器も楽しみだ

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[小田嶋絵里,ITmedia]

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