iモードのオープン化を巡る議論iモードに代表されるブラウザフォンのコンテンツビジネスに関するオープン化は,通信キャリア,コンテンツプロバイダ,行政を巻き込んでまだまだ熱い議論の最中のようだ。
iモードを初めとするブラウザフォンのコンテンツビジネスに関して,近頃オープン化が叫ばれている。総務省も4月12日,オープン化などについての報告書案をまとめている(総務省プレスリリース)。 しかし“オープン化,オープン化”といわれることについて,実際にコンテンツビジネスを行っている企業や通信キャリアはどう考えているのだろうか?
“成熟した”モバイルインターネットの更なる成長のために東京・ビッグサイトで7月17日から開催されている「Wireless Conference」2日目の18日は,NTTドコモの夏野氏,サイバードの堀氏,総務省の大橋氏などが登場し,「モバイルコンテンツビジネスの可能性」と題打ったパネルディスカッションが行われた。 “オープン化”に関する話題では,白熱した議論が展開。総務省とドコモが対立する一面も見られた。 「iモードというサービス,あるいはシステムが,今の(モバイルコンテンツの)成功を作った。(これには行政側が)規制をまったくかけてこなかったことがよかった」と総務省の大橋氏は言う。ただし「モバイルが今後も同じようにあり続けるなら今のままでいいが……」と条件をつける。 パーソナル化が進み,通信速度は高速化し,端末が高機能になるにあたって「国際競争力として今の優位性を保つためには」(大橋氏),ポータルのオープン化などが必要になるのではないかと,大橋氏は問い掛ける。 総務省では“ユーザー数という点で既に成熟に近づいたモバイルインターネット市場において,普及の拡大から利用の拡大にモデルを切り替える”ためには,以下の点を主に検討すべきだとしている。
料金回収代行サービスのためには,通信キャリアは外部にユーザーIDを提供する必要が出てくる。また料金回収の対象を無制限に拡大することは,「ダイヤルQ2の問題でも分かったように」(大橋氏)不適切なコンテンツの増大や,契約者への高額請求が多発する可能性もある。 このため,行政,通信キャリア,コンテンツプロバイダから独立した民間の第3者機関がコンテンツの評価を行う仕組みが検討されている。 今の議論で抜けているのはユーザーの視点対して,ドコモの夏野氏は「今の(オープン化を巡る)議論で抜けているのはユーザーの視点」だと語る。オープン化を要求しているのはユーザーではない。「他社が(オープン化を)実践して,マーケットを取っていけるなら,そのほうがいいが」(夏野氏)そうはならないだろうと言う。 料金回収代行サービスが公式サイトにのみ提供されているために,一般サイトが儲からないという批判に対しては,「iモードユーザーが2400万人いるのに,公式サイトでも1万人以上の有料会員を抱えるのは50%程度」と,夏野氏は“公式サイトならば儲かるわけではない”と反論する。 多くのiモード公式コンテンツを運営するサイバードの堀社長は「(ドコモ以上の)客観性とクオリティを持った第3者機関が果たしてできるのか」と,通信キャリア以外が“コンテンツの評価”という責任の重い業務をこなせるかどうかに疑問を呈す。 逆に,ギガコードなどを発行し,一般サイトの取りまとめ的な役割も果たしているギガフロップスの中村社長は「(一般サイトでも内容によって)峻別してほしい,という思いはある。若干だが,公式サイト以外のサイトは“いかがわしいサイト”というイメージが拭いきれていない」と,第3者機関に対して期待を示す。 夏野氏は「“キャリアのやっている世界がオープンになればうまくいく”のであれば,それを行ったキャリアが(今後)成功するはず」と,現在のiモードシステムへの自信を隠さない。
オープン化がもたらすものと奪うもの毎年1000万人程度ずつ増加してきた携帯電話加入者。6月末の時点では,6300万あまりに達した。国内の携帯電話契約は8000〜8500万程度で頭打ちになると見られており,今後数年で飽和する(7月6日の記事参照)。 通信キャリア,端末メーカー,コンテンツプロバイダが一体となって新サービスを立ち上げるやり方を評価する声も一部には聞かれる。しかし総務省の言うように“数的に成熟”したとき,これまでのやり方が正しいのかどうか。 KDDIは6月14日,総務省の報告書案に沿う形でオープン化の意向を示している(6月14日の記事参照)。 [斎藤健二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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