携帯電話がチケット代わりに──日立携帯電話が電子財布になるには,どんな技術革新が必要なのだろうか。Bluetooth? 非接触ICカード? いやいや。現在の携帯電話でも,用途によっては十分に電子財布代わりに利用できる。
日立製作所は東京・品川で7月23日からプライベートシヨウ「HITACHI ITコンベンション 2001」を開催している。展示会場のモバイルブースでは,携帯電話の画面に2次元バーコードを表示して,チケット代わりに利用するサービスが展示された。 インターネットに接続できる携帯電話でチケット販売サイトにアクセスし,2次元バーコードの電子チケットを入手。コンサート会場などで,チケット代わりに携帯電話を差し出し,バーコードスキャナで読み取って入場認証を行う。「映画の試写会などには非常に向くのではないか」と日立製作所のNet-PDAベンチャーカンパニーNVサービス事業推進部サービスプランナーである小島岳氏は語る。 電子チケットや電子財布というと,Bluetoothや非接触のICカードを利用した近未来のサービスが想像されることが多い。しかし携帯電話の画面を利用することで,新機能を備えた端末を必要とせずに電子チケットを実現することができる。 ここで使われている2次元バーコードは「QRコード」(Quick Response Code)と呼ばれるもの(QRドットコム)。「工場の中での部品管理などに利用されている」(小島氏)という。従来のバーコードに比べて多くの情報を記録できるのが特徴だ。「携帯電話の画面でも数字300文字くらいを記録できる」と小島氏は言う。
上記の画面で,バーコードの上に携帯電話が表示したアラームのアイコンが重なってしまっているのが分かるだろうか。2次元バーコードはそれ自体が誤り訂正機能を持っているため,全体の30%程度がうまく読み取れなくても,認証には問題ないのだという。 日立がこのサービスに特に向いている,と考えるのは以下の「クーポン・チラシ配信」や「会員証・ポイントカード」「電子チケット」などだ。
コンサートのチケットなどに利用した場合,「発送に時間のかかる紙のチケットと違い,公演の直前でもオンラインで購入が可能だ」と小島氏は電子チケットのメリットを語る。 特定の画面を表示させた携帯電話をクーポン券として利用するサービスは,ツタヤオンラインなどが既に実施して,かなりの成功を収めている(7月19日の記事参照)。ただしこれは会員ごとに認証ができるものではなく,店頭で一般配布しているクーポン券と変わらない。 普及のカギは?携帯電話に新機能が追加されなくても,携帯電話の液晶は大きくなり,2次元バーコードの表示に問題はない。また待ち受け画像などのダウンロードが普及したことから,インターネットにアクセスできる携帯電話にはデータの2次利用を防止する機能が搭載されており,電子チケットの複製や転送を防止できる。 いきなりプリペイド型の金券や決済手段として利用するのは難しくても,財布の中に山と溜まった量販店や飲食店のポイントカードを携帯にまとめられるだけでもメリットは大きい。 普及のための問題の1つはコストだ。現在のところ,一般に普及しているとは言いがたい2次元バーコードを利用するため,スキャナだけでも10万円程度のコストが必要。スキャナを接続するシステムの開発まで含むとかなりの金額になる。 もう1つの問題は手間。紙のチケットを切るのに比べると,2次元バーコードは読み取りに手間がかかる。このあたりが,電車の定期券などにも採用しにくい理由だ。非接触型のBluetoothやICカードなどが期待される分野でもある。 「紙での流通の代替を目指す」と語る児島氏。既に対象となるブラウザフォンは4000万契約を超えており(7月6日の記事参照),分野さえ選べば“紙から携帯へ”クーポンやチケットが移行できる日は近いかもしれない。 [斎藤健二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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