FOMAの起爆剤になるか,M-stage visual

モバイル動画配信は果たして今後どういった方向に向かうのか。現在FOMA試験サービスでM-stage visualを提供中のNTTドコモに話を聞いた。

【国内記事】 2001年8月3日更新

 モバイル動画配信は今後果たしてどういった方向に向かうのか。FOMA試験サービスで動画配信サービス「M-stage visual」を提供している,NTTドコモにインタービューを行い今後の姿勢を聞いた。答えてもらったのはM-stageビジネス部,映像コンテンツ規格担当の鈴木茂美コンテンツプロデューサーだ。

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鈴木茂美プロデューサー

 まずはM-stage visualのコンテンツの説明から。今後どのような番組が提供されていくのだろうか。

 「M-stage visualではテレビと違い,各ユーザーにチューンした番組を提供していく。つまり,マスにウケるのものでなくそのユーザーにウケるものを提供していく」

 「例えばアイドルの動画にしても,まだブレイク前のアイドルを取り上げるとか,マニアックなファンに向けて特定のプロレスラーに絞った試合を配信する。あるいは宝塚を取り上げるとしても,トップスターでなく2番手,3番手を取り上げるといった方向性で取り組んでいきたい」

 具体的な番組のターゲットは「現在M-stage visualのユーザーは主に25歳から40歳の男性」。従ってこうした層をターゲットにした番組ラインナップになっていくようだ。

どのデバイスで視聴するのか

 現在,M-stage visualを視聴できるのは試験サービスを行っているFOMAビジュアル端末『FOMA P2101V』と『eggy』だけだが,M-stage visualを見られる端末のラインナップも,今後増やしたい考えのようだ。

 「今後は対応機種をもっと増やす予定。メーカーによりFOMAのビジュアル端末も種類が増えることが予想されるほか,より画面サイズの大きい,PHSのマルチメディア端末の開発も検討している」

 「ほかにもPDAのような端末も出てくるかもしれない。M-stage visualは,携帯電話タイプの端末で見ることにこだわるのではなく,かといってeggyのようなPHSを利用したマルチメディア端末にこだわるのでもない」

 また,一部のドコモ関係者から「携帯電話は動画を見るには画面が小さすぎる」という声があがっている(6月14日の記事参照)ことについては,

 「そういう声が一部にあったことは事実。ただ,今の若者はiモードでも分かるように,小さい画面でコンテンツを見ることに抵抗はない。FOMAビジュアル端末では画面のサイズ,画質などでいく分改善されており,“案外この大きさでいけるのでは”ということで,社内でも意見がひっくり返りはじめている」と答えた。携帯電話でも動画を視聴するのに十分な画面サイズであるとの考えのようだ。

課題は?

 鈴木プロデューサーがM-stage visualが本格的にヒットするための課題として一番に挙げるのが“コンテンツ”だ。やはりコンテンツの質を上げることが最優先だと語る。

 「個人的には,1つのキラーコンテンツになる可能性があるのは定点観測だと思う。パリなどの街並みを流せば,見ていて飽きない。海外の海岸などでビーチの波を映すようなコンテンツもあり得る」。例えば現在M-stage visualでは「SURFING STAR」チャンネルでビーチの状況を放送している。

 「ドコモは特定の企業の単なる販売促進ツールにしかならないようなコンテンツは公式チャンネルにしていない。一見そう見えるものであっても,あくまで情報としてコンシューマ向けに興味をもってもらえるようなつくりになっているはずだ」

 こうしたコンテンツの中で,一部の人気コンテンツは既に有料化が実現しているという。「今後人気番組,面白いものは有料化もあり得る」

 なお7月16日の記事で取り上げた操作性の問題については,

 「確かに,分かりにくいのが一番のネック。どの番組が更新されたかを一覧できる,一種の番組表は必要だろう。これについては新聞のテレビ欄と似たかたちで,チラシなどの配布を考えている。ほかにもカテゴリの全体的な構造を見直して,ユーザーの利便性向上を図る」と言明した。

 M-stage visualのeggyでの動画配信が課題を抱えているのは事実。それは担当者も認めている。しかし今回,対応するデバイスはFOMAだけでなくPHS型も含めて次々と登場してくる。ともあれ,10月1日にはFOMAの本サービスが開始される。「FOMAの前哨戦的な意味合いのあったM-stage visual」(鈴木プロデューサー)がどこまで魅力的なサービスを提供してFOMAを盛り上げられるか。動画配信がFOMAの運命に大きな影響力をもつことは間違いないだろう。

[杉浦正武,ITmedia]

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