それでも減らない携帯電話のスパムメール

アドレスの変更によってスパムメールは減った? いやいや英数字のアドレスでも相変わらずスパムメールは届いている。各キャリアの今後の対策は? そして根本的な解決法はあるのだろうか。

【国内記事】 2001年8月7日更新

 携帯電話に送られるスパムメール(迷惑メール)が増大し,社会問題になって数カ月(5月25日の記事参照)。最大手のNTTドコモでは,メールアドレスを「電話番号@docomo.ne.jp」から「英数字の組み合わせ@docomo.ne.jp」に変更するようキャンペーンを行うなど,スパムメール対策の手段として“メールアドレスの変更”を勧めてきた。

 ドコモが発表したリリースでは,6月15日の段階で既に66%のユーザーがメールアドレスの変更を完了している。その結果,「約90%の迷惑メールが減った」と言うが……。

アドレス変更しても届くスパムメール

 確かに,メールアドレスの変更を行った当初はスパムメールは激減した。しかし夏が近づくにつれ状況が変わってきた。「メールアドレスを変更したのにスパムメールが届く」そんな声が頻繁に聞こえてくる。

 中には「アドレスに○○○という文字を入れると,スパムメールの標的にならないらしい」「アドレスにピリオドを含めるといいらしい」といった民間療法的な話までまことしやかに伝わってくる。

 しかも,iモードへのスパムメールが再び増加したのと時期を同じくして,KDDIの携帯電話にCメール(ショートメッセージ)を使ったスパムメールも送られるようになってきた。

 どうしてスパムメールは届くのか? また,根本的な対策はないのだろうか?

各キャリアの対策はさまざま

 8月1日から400パケットまでの料金を無料にする(6月18日の記事参照)など数多くの対策を行っているドコモでは,これまでと同じく「ユーザーに英数字へのアドレス変更を勧めている」(広報部)のが主な対策。ただし「(スパムメールを送ってくる)業者を特定して,法的な措置を取ることも検討している」(広報部)という。

 KDDIでも「Cメールにここ最近スパムメールが来ることは認識している。早急に対応を検討したい」(広報部)と言う。ただしcdmaOne携帯電話で通常利用する「EZweb@mail」のほうは,現在のところほとんどスパムメールの攻撃にあっていない。「普段のアドレスのほうには一度もスパムメールを受け取ったことがない」というユーザーも多い。

 EZweb@mailの場合,ほかのキャリアと異なりメールアドレスの変更ができない。そのためいったんスパムメールの対象になってしまったら,メールフィルタなどで防御するしかない。ただし場合によってはメールアドレスも変更してもらえる。「スパムメールが頻繁に届く場合,まずはメールフィルタを使ってもらい,それでも効果がないようならメールアドレスの変更も対応する」(KDDI広報部)

 J-フォンの場合,メールの受信料が無料なため,ユーザーからの不満も少ない。さらにこれまでPC用のWebページからしかできなかった「指定アドレス拒否」「指定アドレス受信」といった設定を「J-skyでもできるように改良を検討中」(J-フォン東日本広報部)だという。

苦悩する通信キャリア

 スパムメールはユーザーにとって不快なものだが,通信キャリアにとってもやっかいなものだ。メール受信料を無料にすればスパム対策は終わりかというと,そういうわけにはいかない。

 一斉に送信されるスパムメールはサーバに大きな負荷をかけ,ネットワークに大きな影響を及ぼす。スパムメールの増大による通常のメールの遅延や不達を防ぐには,本来ならば必要のないサーバの増強が必要になる。そのコストは最終的にはユーザーへの料金にはねかえってくる。

 スパムメールを根本的に防ぐのは難しい。

 最近受け取ったスパムメールを見ると,送り主が同一と思われるものでも送信元アドレスが微妙に異なっているのが分かる。「指定アドレス拒否」などの設定を行っても,実質的にはスパムメールを防ぐことはできない。

 通常のインターネットメールであれば,企業はメールサーバでフィルタリング処理を施し,スパムやウイルスメールを削除することもできる。しかし,コンシューマユーザーを顧客としてISP事業を営む通信キャリアの場合,プライバシーや通信の自由にかかわるため,メールサーバ側での処理は法的な問題も出てくる。

スパムにユーザーが慣れることが必要?

 「携帯電話のスパムメールはなくなることはないのではないか」と,ある関係者は語る。結局のところ「スパムメールが広告として効果を挙げているのが問題」だ。

 多くの場合,スパムメールは代行業者に委託して送信されるようだ。100万通のスパムメールを送信して,いったいどのくらいアクセスが増えるのかは分からないが,広告コストとして割のいいものであることは間違いない。

 インターネット上には「iモード新規制対応ダイレクトeメール自動送信システム」なるはた迷惑な広告まで現れている。「(電話番号以外の)アドレス登録者は今までダイレクトメールにさらされていない分,有料サービスの成約率は高いと言えます」というのがこのシステムのうたい文句。

 PCでは無差別なスパムメールは減少しているように感じる。これはメールソフトのフィルタが強力になり目にすることが減ったからでもあるし,ユーザーがスパムメールに反応しなくなったからでもあるだろう。現在携帯電話ユーザーが遭遇しているスパムメールは,まだ免疫がないユーザーを狙った“はしか”のようなものなのかもしれない。

[斎藤健二,ITmedia]

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