不定期連載 旅先携帯日記 ─フランス編─

GSM携帯電話,SIMカードなどなど,ヨーロッパの携帯電話文化についてフランスで見聞きした携帯電話事情を紹介する「旅先携帯紀行 -フランス編-」。本日より6日間の予定でお送りします。第1回は,成田空港からシャルルドゴール空港までの機内の模様から。

【フランス発】 2001年8月11日更新

8月9日 出発(成田空港〜シャルルドゴール空港)

成田空港を22時に発って,目指すは……

 筆者は年に数回ほどだが取材で海外に出ることがあり,今回はフランスに1週間滞在することになった。純粋な取材か,というとそうでもなく観光も兼ねているが,その数日間を主にケータイという切り口からヨーロッパの事情を紹介していきたい。

 さて,今この文章を書いているのは8月9日の22時に成田を飛び立ったエールフランス航空B747の機内である。フランスはパリの,シャルルドゴール空港に向かう機内は地上を離れて既に9時間。あと2時間ほどで到着となる。機内は照明も落とされ暗い。

 ノートPCの液晶ディスプレイは光を放ち,見回すと同じように顔を白い光に照らしている乗客も数名いる。いかにもビジネスマン然としており,筆者とはそのディスプレイの中身も違うのだろう。あるいは,ずっとソリティアに興じているのかもしれないが……。

飛行機内ですら見かける「ケータイ」

 当然のことながら,携帯電話で話をしている姿を航空機内で見かけることはない。強烈な電波を送受信する携帯電話を機内で使用することは禁じられており,高度1万メートルを時速1000キロで飛ぶ機内ではあまり意味のあるトライアルでもない。──はずだが,いや,いるいる。携帯電話を構えている乗客の姿は,容易に発見できた。

 機内で見かけないのは“ケータイで話をする”姿。おそらくJavaアプリでゲームに興じているのであろう10代の女性が同じ列の座席に1人。きっと,携帯電話に内蔵しているウォークマンで音楽を楽しんでいる者もいるに違いない。携帯電話の電源オフは離着陸のシーケンス中のみだったのだろうか? 筆者のカンチガイでなければ,飛行中は全面的に使用できないはずだったが。

 あるいは,最近の付加機能付きケータイによく搭載されている「電波の送受信をオフ」するというメニューを選び,純粋なエンタテイメントマシンとして使用しているのだろうか?

Photo
ケータイはなくとも,機内で話したければクレジットカード課金の電話が使用できる。1分数百円の課金だが,筆者の経験では音質は携帯電話なみにクリア。スペックとしては2400bpsでの通信にも対応しているが使用を制限している場合も多い。最近ではこんな機内の電話も利用できるようになってきているようだ

高機能ケータイと,海外レンタル携帯電話の伸び

 日本は現在,携帯電話機については間違いなく先進国だ。世界中で最も高度な機能を持つケータイを,大人も子供も持っている。普及率でもなかなかのものだ。数年前,高校生がケータイを持っているのを見てすら「あら?」と思った感覚もいまは昔。日本では,プチプチと「メール」を子供が打ち,ところかまわず話している。

 その中で,「海外旅行用レンタル携帯電話」の貸し出し数はここ数年で倍増したともいう。海外用のレンタル携帯電話ですら“ビジネス上のやむにやまれぬ理由”での使用だけでなく,プライベートでの「電話するねー」という一言で使用されるものになってきたのだろう。マナー論や是非はともかく,欲求としては素直にうなずける。

 筆者も,海外に行く際には必ず携帯電話を借りるようになった。行き先はこれまで主に米国だったが,米国は携帯電話に関しては非常に複雑な国で,たくさんの通信事業者が入りくんだローミング体制で通信網を張り巡らしている。技術のレベルもさまざまだ。

 また,「電話」といっても“電話機のように個別の番号をもった無線機”というものも多い。筆者がよく借りるのはNEXTELと呼ばれるものだが,これに関しては,また別の機会に説明しよう。

GSMの本場にいざ!

 なにしろ今回は欧州である。実質上の世界標準となっている携帯電話方式「GSM」用語の本場だ。なお,日本で使用されている携帯電話は主に「PDC」(用語)と呼ばれる形式で,日本独自の規格だが,GSMは欧州から始まり,アフリカ,アジア一帯(日本を除く)など,世界で最も広い範囲をカバーしている。

 ということで,今回はGSMの電話をレンタルし……と書きたいところだが,まだ準備ができていない。出発が決まってから間がなく,レンタル業者の手配がつかなかったのだ。今回は現地にてプリペイドカード型のGSM携帯電話を購入するつもりでいる。知人の話では,パスポートと滞在中のホテルの住所があれば購入できるとのこと。旅先でケータイを入手する,というのもなかなかイマドキの体験のようで楽しみだ。

 と,書いているうちに軽食の準備も始まった。先ほどまでケータイで遊んでいた女性も隣の友達らしき女性とのおしゃべりに興じている。照明も点き,ブラインドも上げられうっすら夜が明けてくるのが翼のシルエットとともに見える。「旅先携帯日記 -フランス編-」の始まりである。

[奥島 大,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!