BREWのメリットとは?──mobidec 2001Qualcommが提供するアプリケーションプラットフォーム「BREW」のメリットとは何か。安全性確保の方法やgpsOneとの連携などメリットのいくつかが語られた。
東京・台場のホテルで8月29日から開催されている「mobidec 2001」(MCFモバイル・デベロッパー・コンファレンス2001)では,クアルコムジャパンのプラットフォーム技術担当部長,井出基樹氏がQualcommのアプリケーションプラットフォーム「BREW」の詳細について講演した。 BREWは米Qualcommが提供する携帯電話向けのアプリケーションプラットフォームだ。C言語やC++言語でプログラミングでき,いったん書かれたアプリケーションはBREWが搭載されたすべての携帯電話で動作する(1月31日の記事参照)。 サードパーティや一般の開発者が参入できるJavaと異なり,BREWは携帯内蔵のソフトウェアがメインターゲット。第3世代携帯電話ではソフトウェア開発が困難を極めるといわれており,こうしたアプリケーションプラットフォームに期待が持たれている。国内ではKDDIがcdmaOne端末への搭載をアナウンス済みだ。 今回の講演で井出氏は,ダイナミックなクラスローディングによる拡張性と,アプリケーションの安全性確保,位置情報取得技術gpsOneについてBREWならではのメリットを紹介した。 ダイナミッククラスローディングを備えるBREW携帯電話の上のアプリケーションプラットフォームとしては,Javaを有力視する場合も多い。しかし携帯電話向けのCLDC/KVMベースのJavaVMでは,必要なときにクラスをダイナミックにロードするクラスローディング機構を備えていない。 基本的にはほかのアプリケーションとデータの受け渡しもできないため,「基本的に1つのアプリケーションですべてをまかなうシステム」(井出氏)だ。 BREWではダイナミッククラスローディング機構を備え,他人の作ったコンポーネントでも公開されていれば外部から利用できる。これはトータルのアプリケーションサイズの縮小に貢献することに加え,新たなビジネスチャンスをもたらす可能性もある。 「グラフィックや暗号化のエンジンなどミドルウェアを提供するようなビジネスが可能になる。コンポーネントはバイナリなので,ソースを提供する必要もない」(井出氏) 電子署名を活用した安全性確保Javaに比べてハードウェアへのアクセスや,端末内部のメモリへのアクセスが容易なBREWでは,アプリケーションの安全性がどのように確保されているかも興味深いところ。「ポイントは,電子署名されたアプリケーションのみが動く環境だということ」と井出氏は説明する。
BREWではデベロッパー署名,Qualcomm署名,VeriSignによる署名の3つの署名を活用して,アプリケーションの改ざん,否認を防止する。端末は,BREWアプリの実行直前に必ずアプリの正当性を署名で確認する。「(実行ごとに確認することについては)負荷がかかるという話もあるが,今のところその問題はない」(井出氏) また,各アプリには「許可レベル」が設定され,実行できる端末環境が限定される。これによって“KDDI端末専用アプリ”などを作成することが可能になる。
gpsOneとの連動もう1つ,BREWで期待されるのが,Qualcommチップに搭載された特殊機能を活用できる点だ。QualcommのチップにはgpsOneという位置情報を取得できる機能が搭載される予定だ(4月4日の記事参照)。国内でもKDDIが秋に発売する端末に搭載を予定している(8月6日の記事参照)。 BREWではgpsOneをネイティブサポートしているため,位置情報を利用したアプリケーションを開発するのに最適なプラットフォームだ。位置情報サービスは次世代の携帯機器向けのコンテンツとして高く期待されている。今後通信機能と併せてgpsOneが携帯電話だけでなくPDAやカーナビ,ノートPCにも搭載されていく可能性もあるという。
[斎藤健二,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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