FOMAのiアプリは30Kバイト──ドコモ,夏野氏

NTTドコモは携帯電話上のJavaサービス「iアプリ」のファイルサイズについて,FOMAではこれまでの10Kバイトから30Kバイトに拡大することを明らかにした。

【国内記事】 2001年8月30日更新

 NTTドコモのiモード企画部長,夏野剛氏は8月30日,東京・台場のホテル開催されている「mobidec 2001」(MCFモバイル・デベロッパー・コンファレンス2001)で,iモードの状況とFOMAにつながるiモードの発展戦略について講演した。

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 夏野氏はプログラムサイズ10Kバイトを拡張する可能性について,「今後,通信速度の向上などで(iアプリの)プログラムのサイズは上がるかもしれない。とりあえずFOMAでは30Kバイト」と語った。

 FOMA説明会時の「iアプリは現在と同じ。拡大すべくネゴシエーションしている」(榎啓一取締役)という対応が間に合った形だ(4月26日の記事参照)。

スクラッチパッド10Kバイトを強調する夏野氏

 iアプリのプログラムサイズが決まった経緯に関しては何度も取り上げているように(6月15日の記事参照1月19日の記事参照),「ダウンロード時のユーザーの使いやすさを考えて」ということに尽きる。

 「(ファイルサイズを)30Kや50Kバイトにしてしまうと,途中でユーザーが(通信を)切ってしまうリスクがある。我々は大きなユーザー規模を想定しているので,コンピュータのことを分からない人でも使えるように考えた。10Kバイトは着メロと同じサイズだ」(夏野氏)

 しかし,今回夏野氏は“iアプリの実質サイズは20Kバイト”だということを強調する。

 iアプリには10KバイトのJARファイルのほかに,スクラッチパッドと呼ばれるプログラム個別の保存領域が10Kバイト用意されている。スクラッチパッドにはiアプリ本体とは別にサーバからデータをダウンロードできるため,実質的には“プログラムとデータを合わせて20Kバイト”と考えられるというわけだ。

決済プラットフォームに向けて

 夏野氏は「このスクラッチパッド10Kバイトはかなり意味のあるものだと思っている」と語る。「電子マネーが将来的に(携帯に)入ることを想定してJavaを考えた。ドコモが電子マネー(の仕様)を決めることはできないだろうから,銀行などが独自に仕様を決める際には(iアプリから利用できる)セキュアなメモリが必要だ」

 決済のプラットフォームとしてJavaが利用されるときに,セキュアなメモリであるスクラッチパッドの10Kバイトが大きな意味を持ってくるのだという。

 また決済プラットフォームとしてのiアプリを考えた場合,SSLを使ったHTTPS通信ができるのは優位点の1つだ。

キャリア Javaサービス サーバとの通信方式
NTTドコモ iアプリ HTTP,HTTPS
J-フォン Javaアプリ HTTP
KDDI ezplus ×
(フェイズ2から可能予定)

 夏野氏は,Javaプログラムをダウンロードできるサーバを限定しないという“オープン性”も併せて強調し,「ユーザーの操作感を考慮したファイルサイズ」「HTTP,HTTPS通信」「オープン性」の3点について,「今後,通信速度の向上などでプログラムサイズは上がるかもしれないが,この考え方が基本だ」と締めくくった。

10Kバイトに対する焦りか?

 夏野氏はiアプリが10Kバイト+10Kバイトの20Kバイトであることを強調するが,iアプリの仕様書では「スクラッチパッドサイズは5Kバイトに制限される」と明記されている。10Kバイトというのはもともと端末固有の拡張だったものがデファクトスタンダードになってしまった形だ。

 またJ-フォンやKDDIのJavaでもレコードストアと呼ばれる10Kバイトの保存領域は用意されている。

 携帯電話向けJavaアプリケーションの開発では,ファイルサイズの多寡が開発難易度に大きく影響するといわれている。開発者たちの「10Kバイトでは開発が困難だ」という声に応える形で,J-フォン,KDDIがファイルサイズを大きく設定する中,iアプリだけが10Kバイト。夏野氏の“実質20Kバイトだ”という説明には,他キャリアのJavaサービスに対する焦りも感じられる。

[斎藤健二,ITmedia]

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