話題の「宇多田ヒカルの音楽配信」──M-stage music対応のPHSを使ってみました

通話もできて,メールも送れて,iモード勝手サイトも見れて,しかも音楽配信にも対応だ! とオプション満載で登場した「Picwalk SH712m」。宇多田ヒカルのファーストアルバムがダウンロードできるようになって注目を浴びたが,「使い勝手が悪い」「バッテリーがすぐなくなる」といった不評の声も多い。実際に使ってみた感じはどうだろうか?

【国内記事】 2001年9月6日更新

 「Picwalk SH712m」は,NTTドコモの音楽配信サービスであるM-stage music(用語)が利用できるオーディオプレーヤー機能一体型のPHSだ(4月25日の記事参照)。

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 一世代前のPicwalkはダウンロードと再生専用で通話機能がなかったのだが(1月5日の記事参照),SH712mは通話ができて,曲のダウンロード・再生もできるというのが最大のポイントになっている。

 土台となっているのは,既に発売されているブラウザフォンの「パルディオ641Ss」で(1月30日の記事参照),eメール,ブラウザフォン専用メニュー(iモードのPHS版),位置情報サービス対応コンテンツ,iモード勝手サイトなどが利用でき,使い道が幅広いのが特徴だ。

 SH712mのeメールはパルディオeメールなので,ドットiのようにPCで使っているメールアドレスが自由に使えるわけではないので注意。だがcHTMLにも対応していることで,既存のiモード勝手サイトをカラーディスプレイで見られるのは魅力的だ。

 本体が最近のケータイにしてはかなり厚いのは,背面にはMGメモリースティックスロットが装備されているため。M-stage musicでダウンロードした曲はここに保存される。

どんな曲を買えるのか

 配信している曲の一覧はこちらにあるのだが,ダウンロードランキングなどで上位に食い込んでいるのはやはりJ-POP系。宇多田ヒカル,ポルノグラフィティ,Every Little Thing,m-flo,コブクロ,三木道三,浜崎あゆみといった,テレビや雑誌のランキングとそうタイムラグのないアーティストが並んでいるのが嬉しい。

 アーティストの過去曲までのフォローはまだまだだが,「アルバムを買うほどではないけどシングルは欲しいかも」といった曲なら,M-stage musicはかなり威力を発揮する。ちょっと耳にして興味がわいて衝動買い,というのにこれほど適した端末はないだろう。

 本当の最新ランキングと完全にシンクロするにはもうひといきな部分もあるが,サービス開始当初に比べたら早いペースでJ-POP系の曲が増えているので,これからに期待したい。

ダウンロード時間と料金はどうだ

 ダウンロードの手順自体は非常に簡単だ。Moperaにオンラインサインアップをした後,ワンボタンで飛べるブラウザメニューからM-stage musicに接続するだけ。あとは自分のほしい曲や好きなアーティストの曲を探せばいい。

 ただし,ダウンロードには楽曲の代金とは別途,時間もかかるしお金もかかる。

 例えばCHEMISTRYの「Point of No Return」は5.2Mバイトで約13分かかった。これでサービス使用料月額200円+曲の代金333円(税抜き)+13分×通話料15円=728円となると,かなり割高に感じないだろうか?

 好きなアーティストの音楽ならばジャケットなどの付加価値を考えてCDで買ってしまうし,そうでもないアーティストの曲の場合,ぱっと出せるお金は1曲100円〜200円程度が限界だ。実際には100円200円の曲(通話料は別途必要)も用意されているのだが,最新のヒット曲が欲しい! というユーザーには海砂利水魚の歌が100円であっても嬉しくない。ヒット曲はぜひとも通話料込みで300円程度には押さえてほしいところである。

バッテリーのもちはどうか

 PHSとしても使うことを考えると,一番気になるのはバッテリーのもちだ。通話し再生もしてダウンロードも……という風にフルで使うと,連続で3〜4時間程しか電池がもたなかった。SH712mが唯一のケータイの場合は非常に心もとない。再生のみの場合,3時間ほどメモリも減らずに好調に動いていたのだが,途中で通話をしたとたんにガクガクッとメモリが減って,バッテリー切れとなってしまった。

 また,連続でダウンロードしていてもあっという間にバッテリーがなくなって,ダウンロードしている間中「ああ! 肝心な時にバッテリーがなくなりそう!」と不安になり,どうにも外では安心してダウンロードできない。

 幸い,充電中もM-stage musicには接続できるので,家で充電中にダウンロードをし,そして通勤・通学電車で音楽をちょこちょこっと聞きつつケータイとして使用,という使い方になるだろう。

再生モードには何があるのか

 再生は,Fキーを一発押せば,一番上にPlayerの項目があるので,ストレスなくすぐに曲を再生できる。再生モードには以下の4種類が用意されている。

  • ノーマル再生
  • 全曲リピート再生
  • 1曲リピート再生
  • ランダム再生

 また,再生モードと同じ深度にBASS強調(ノーマル・大・最大),マナー再生,確認音といった項目も並んでいた。それほどオーディオにこだわる人でなければ,プレーヤーとして十分な再生機能を持っている。

再生中にかかってきた通話は?

 曲の再生中に電話がかかってきた場合は,通話の方が優先されて曲が停止し,受話ボタンで電話を受けることができる。ただし,イヤホンに音声が通されるわけではなく,普通にスピーカーと受話口で会話をしなくてはならない。イヤホンをしたままでも音は聞こえるし会話しようと思えばできるのだが,当然ながら収まりが悪く,結局はイヤホンをはずすことになる。

使ってみた全体的な感想

 Sound Marketと比べると別売りのオプションやリモコンが不要のため,本体のみでの操作はシンプルで好感が持てた。

 また最初に見た時に衝撃を受けるであろう,ものすごい本体の厚みは,使う分にはさほど気にならない。男性と違って,携帯をかばんに入れて持ち歩くことがほとんどのせいだろう。ズボンのポケットに入れてケータイを持ち歩く人にはかなり辛い厚さなのは確かだ。

 また,かばんに入れていても重みを感じるのは,PHS+プレーヤー機能というメリットを大幅に減らしている気がする。音質が良くて好きな時に曲を買えて,しかも電話もできちゃうというのならば,さらに「CDプレイヤーやMDプレイヤーより軽い!」といった売り文句がつけられるような本体がほしかった。

 今回のSH712mは,“既発のブラウザフォン641Ssにとりあえずプレーヤー機能をつけてみました”というような印象を受けてしまい,残念ながらPHSとしての使い勝手やメニュー構成の分かりやすさなどがかすんでしまった。

 電話かつプレーヤーという特殊なケータイプレーヤーであるためには,使い心地を追求した画期的な操作感や人もうらやむような本体デザインがないと,“楽曲が少ない”(実際は決して少なくない),“割高だ”といったマイナスイメージを越えられないように思える。ぜひ,ケータイプレーヤー専用のすばらしい機種の出現を期待したい。

[西尾ゆき,ITmedia]

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