W-CDMAに取り組むインテル

次世代携帯電話の基盤を提供することで,携帯電話でも勝ち組みを目指すインテル。その研究の中心であるつくばのワイヤレス・コンピタンス・センタを訪ねた。

【国内記事】 2001年9月14日更新

 第3世代携帯電話の登場を間近に控え,携帯電話の開発の難度は上がり続けている。ソフトウェアはもちろんのこと,ハードウェアについてもW-CDMA方式の携帯電話の開発は容易なものではない。

 第3世代携帯電話で重要な役割を果たすパーツはいくつかある。W-CDMAのベースバンドチップ,動画などのマルチメディアコンテンツを処理するプロセッサ,そして大容量のメモリだ。

 この分野でもプロセッサやメモリに関してキープレイヤーになるべく,インテルは携帯電話やハンドヘルドデバイスの技術提案や検証を行っている。その中心地,筑波の本社内のワイヤレス・コンピタンス・センタの様子をお伝えする。

通信とコンピューティングとメモリ

 インテルが携帯電話分野で力を入れているのは3点。次世代通信方式W-CDMAやPDC,GSMなどのベースバンドチップセット,マルチメディアプロセッサと呼ばれる「StrongARM」や「XScale」などのプロセッサ,そしてフラッシュメモリだ。

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インテルが提唱しているワイヤレス向けのアーキテクチャー,PCA(Personal Internet Client Architecture)

 通信部分では,三菱電機と第3世代携帯電話向けチップの共同開発を行うなど,W-CDMA方式に力が注がれている。ワイヤレス・コンピタンス・センタではW-CDMAやPDCの基地局シミュレータを用いて,音質の評価やファームウェアの検証,ハードウェアの設計コンサルティングを行っている。

 また,第3世代携帯電話向けのコンテンツが,携帯電話上でうまく動くかどうかなどのチェックも行っている。「例えば動画配信に関して,無線環境でどうやって画質をよく見せるか。基地局に(仮想的に)ノイズを入れたりしてテストを行っている」(ワイヤレス・コンピタンス・センタADCの遠藤千里氏)という。

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W-CDMA方式の基地局シミュレータ。左下のほうにあるコネクタと端末のアンテナと直結して,擬似的に通信を行う。PDC方式の基地局シミュレータは既にこなれた技術であるため,タッチパネルなども搭載され洗練されているが,W-CDMAのほうは制御にPCを用いている

 NECが第3世代携帯電話に採用を表明しているマルチメディアプロセッサに関しては,ソフトウェアの最適化が中心。IPP(Integrated Performance Primitive)と呼ばれるStrongARMやXScaleに最適化されたコードライブラリを使うことで,アプリケーションを簡単に最適化できる(4月17日の記事参照)。IPPの使用により,14%の省電力化,20%の高速化を実現した音声認識ソフトや,エンコード時間が22倍に高速化されたMP3プレーヤーなどがデモンストレーションされた。

 ただしIPPの適用はWindows CEが中心。今後,LinuxやEPOCなどのOSにも対応させていくというが,携帯電話はさらに先の話だ。

 携帯電話のメモリはインテルが強い部分。遠藤氏は「現在のiモード携帯電話でも,既に64Mビットのフラッシュチップが2つ,さらにSRAMを搭載するものもある」と携帯電話におけるメモリの重要性を強調する。

 ワイヤレス・コンピタンス・センタでは,フラッシュメモリ管理ソフトウェアのポーティングのコンサルティングなどを行っており,いくつかの管理ソフトウェアについては「日本の携帯メーカーでも採用が進んでいる」(遠藤氏)という。

[斎藤健二,ITmedia]

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