自社製TFT液晶を搭載した東芝初の折りたたみケータイ「C415T」

ポリシリコンTFT液晶を採用した「C415T」は,auの折りたたみ型の中で最軽量機でもある。各部の性能から使い勝手まで,徹底検証した。

【国内記事】 2001年9月27日更新

 東芝初の折りたたみケータイとなったauの「C415T」は,屋内外を問わず視認性の高い4096色表示の半透過ポリシリコンTFT液晶を搭載。100グラムを切った96グラムの重量は,au折りたたみ型最軽量になっている。

潮流に乗ったデザイン指向の折りたたみケータイ

 C415TはauのEZweb@mail対応シリーズで7機種目(C406Sは既にカタログ落ちしている)となる折りたたみ型端末。東芝はこれまでもほとんどの携帯キャリアに端末を供給してきたが,C415Tは,同社がau向けにリリースする初の折りたたみ型となる。

 デザイン的に目新しいのは,大きく丸みを帯びたデザインだ。開いた状態で両端,つまりたたんだ状態で先端はほぼ半円状になっている。折りたたみ型として幅,高さ共に標準的なサイズだが,このデザインのおかげでかなりスマートな印象を受ける。

 折りたたみ型ではデータ通信コネクタを下端に装備することが多いため,ここまで丸みを帯びたデザインは珍しかったのだが,本機では通信コネクタを右側面に配置することでこのデザインを実現している。この手法はNTTドコモの「SO210i」でも採用されており(8月14日の記事参照),デザインの自由度を高めるという点で有効な手法なのだろう。

 背面の多色に光るインジケータも,折りたたみ型では1つのトレンドだ。現在ではこの部分にも小型液晶を備え,さまざまな情報を確認できる製品が多いが,本製品は不在着信やメール受信を伝えるブルーのインジケータのみ。そっけないともいえるが,マナーモードにしている場合などにはこれでも十分役に立つ。

 数ある折りたたみ型の中では目立つデザインだが,好みが分かれるのではないだろうか。例えばここまで丸みを帯びさせなければ数ミリは高さを押さえることができたのでは? という疑問も浮かぶ。

 もっともバックやカバンに放り込む人にとっては,折りたたみ型で数ミリ高さを押さえたところで大きく携帯性が向上するわけでもないのだが。

Photo
もともと大柄な「C406S」よりはコンパクトだが,DDIポケットの「RZ-J90」よりははるかに大きい。折りたたみ型の代表格である「N503i」などともさほど変わらないサイズ

視認性に優れる半透過型ポリシリコンTFT

 デザインが目立つ本機だが,注目すべきはやはり半透過型ポリシリコンTFT液晶の採用だ。同社製のこの液晶ディスプレイは4096色表示で発色がよいのはもちろん,明るめの室内でのバックライトなしの状態や,日中の屋外でも視認性がかなり高い。

 発色数だけならば既に6万5536色表示を実現している製品もあるが(3月9日の記事参照7月9日の記事参照),画面サイズやピクセル数のことを考慮すれば4096色表示で不満を感じることはそうそうないだろう。ケータイにおいては発色や視認性の良さといった点のほうが重要なはずだ。

 ここ1年ほどでTFT液晶を採用した製品は増えてきていたのだが,日中の屋外,つまり非常に明るい場所での視認性に難がある製品もあった。文字を読むだけならかつてのモノクロ液晶のほうがよかったと思うような場合も多々ある。この点で本製品の液晶ディスプレイは1つの完成形といえるだろう。

Photo
屋内でバックライト,フロントライトを付けた状態。C415Tが明らかに色鮮やか

Photo
屋内でバックライトを消した状態。この状態でもC415Tはかなり画面が見やすい

折りたたみ型として一定の水準に達した操作性に,便利なワープメニューを装備

 同社はEZweb@mail対応の「C410T」(4月25日の記事参照)を登場させてからそう時間も経過しておらず,キーレイアウトなどもほぼ共通で,折りたたみ型になったことにより特に変わった点は見られない。機能的にはC410Tをほぼベースにしているといっていいだろう。

 センターキーを持つ4方向キーやメール,Webボタン(EZボタン)などブラウザフォンとしては標準のキーレイアウトだ。丸みを帯びたデザインの関係で最下段になるキーは僅かに小型化しているが,これは操作性にはほとんど影響を与えない程度だ。

 メールボタンは単押しでEメール(EZweb@mail),長押しでCメール,EZボタンは単押しでWebアクセス,長押しでC415T専用サイトへの接続となっており,EZweb@mail対応機種ではほぼ標準的な機能の割付けだ。iモード対応機でよく見られるような,1キーでの新規メール作成はできないが,メールを2系統持つEZweb@mail対応機では仕方のない部分だろう。

 待ち受け状態からセンターキーを押すと呼び出せるのがワープメニュー。0〜9のキーに任意の機能を割付ける事ができ,頻繁に利用する機能の呼び出しを2タッチで行える。例えば本機ではマナーモードが4種類(うち1つはオリジナル設定可能)選択できるが,これをワープメニューに登録しておけば,状況に応じたマナーモードの使い分けがより簡単になる。

 折りたたみ型はその形状の問題からボディに対してキートップを浮かすことが難しく,ストローク感に乏しいことが多い。本製品も例外ではないのだが,ストローク感は比較的しっかりしており,キーを押したか押していないのか分からないといった印象は受けない。4方向キーとセンターキーを押し間違えることもまずなかった。

Photo
キーレイアウトはC410Tからそのまま変更なし。4方向キーの中央に決定キー,さらに単独のメール,Web,メディアアレンジャー,クリアキーを備える

工夫された文字入力機能

 ATOKやPOBoxと高度な日本語入力を装備するケータイも増えているが(6月7日の記事参照6月9日),この点で本機は比較的ベーシックだ。複文節変換こそサポートするが,学習機能はもっとも単純なタイプ。同じ読みなら最後に選択した候補が,次回の変換では候補の先頭になるだけで,頻度学習などもしていない。

 ただし漢字変換中にシームレスで呼び出せる(変換中にメールキーを押す)単漢字変換機能を備えており,これは人名や地名といった通常の漢字変換では変換できない場合や,候補が多すぎて選択に手間のかかる文字の入力では,かなり便利だ。単漢字変換では一度に7候補が表示されるので一覧性が高く,候補数が多くても少ないキー操作で目的の漢字へ変換できる。

 文字入力自体にもかなり特徴がある。特殊文字(濁点,半濁点,記号)などはリダイヤルキー1つに割付けられているが,状況や入力モードによって入力可能な文字を切換え,さらに候補の表示数を増やすことで効率のいい入力を実現している。

 例えば,Eメールの本文入力時のリダイヤルキーは,読みの入力中は濁点,半濁点入力専用(濁点,半濁点の付くかなの後のみ)になり,これ以外では単漢字変換と同様に特殊文字を7候補(1バイト文字入力モードでは14候補)ずつ表示して入力を可能にしている。さらに候補表示時に「#」キーを押すと候補が3段表示になり,21候補(1倍文字入力モードでは42候補)を1度に表示可能だ。

 特殊文字の入力に関しては,現在は複数のキーへ割り付けることで効率のよい入力を狙った製品が多く,実際1つのキーで特殊文字の入力をまかなうよりは入力効率がいい。ただし本機のようなアプローチもあるわけで,この特殊記号はどのキーだったかな,この記号はどの入力モードから入力できたかな,と迷うことがない点はメリットだ。分かりやすさという点ではむしろ本機のほうが優れているのではないだろうか。

 しかし,かなり癖があるのも事実だ。本機にはカタカナ入力という考え方がなく,ひらがなから漢字変換してカタカナの入力を行う。ところがEメールの本文入力時には読みの入力中に「−」を入力できない。つまり「オートメーション」といったカタカナは読みとしてまとめて入力することができず「お」「−」「とめ」「−」「しょん」と読みの入力と変換を繰り返さなければならないのだ。

 工夫された点も多いものの,まだ詰めが甘いといった印象を受ける。シームレスな単漢字変換や,1キーに集約しつつ工夫された特殊文字入力が使いやすいのも事実だが,後継製品での更なる改善を期待したい。

Photo 日本語入力は読み入力部分が下段に2行準備される。特徴的な機能はないが,複文節変換にも対応している

Photo
記号入力時は7候補,または21候補の表示が可能で,手早く選択できる。単漢字変換でも同様に一度に多くの候補が表示可能だ

次のページへ「東芝ならではのEメール機能やマルチメディア機能」



モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!