PDAにBluetoothは相性がいいか？――シャープの本音

CEATECでは，シャープがザウルス用Bluetoothモジュールを参考出展している。シャープは今後Bluetooth搭載のPHSも商品化して，連動させることが予想される。

【国内記事】

2001年10月2日更新

　幕張で開催されているCEATECで，シャープはザウルス用のDF型Bluetoothモジュールを参考出展している。Bluetooth1.1に準拠しており，今後商品化を検討するという。

　デモ展示では，2台のザウルスに接続されたBluetoothモジュールが実際にほかのBluetooth機器と接続されていた。上はKDDIのBluetooth内蔵端末「C413S」。下はAXIS製の，無線によるLANを構築するためのブリッジの役割を果たすBluetoothアクセスポイント「AXIS 9010」だ。

今はまだ時期が早い？

　参考出品とはいえ，Bluetooth間で問題なく接続が確立しており，商品化を“検討する”と明言されているこの製品。発売も近いかと思われるが，ことはそう単純ではないらしい。

　「現時点で接続可能なBluetooth対応製品が限られている。Bluetoothモジュールは接続する相手が不可欠なのに，対応する製品が少ない」（説明員）

　このため価格面についても，見通しは不明なのだという。「いま発売すると高くなってしまう。BluetoothモジュールはBluetooth製品の数より多く売れることはないのだから，現在の状況では多く出荷することができない。当然，Bluetooth製品が増えてくればくるほど安く価格を設定できることになる」（説明員）

　技術的には発売できるようになっても，市場が条件を満たさない限り発売しない。シャープ説明員の口調からは，「今は様子見」といった雰囲気がうかがえた。

Bluetoothを介したデータ同期も視野に

　このBluetoothモジュールだが，いったいどのような用途をメインに考えているのだろうか。説明員は「データ通信に利用すればいい」と語る。

　「たとえばPDAにBluetoothモジュールを挿し，Bluetooth内蔵携帯電話と接続させてデータ通信を行える。携帯電話の方はポケット，カバンなどに入れたままでPDAからWebを閲覧できる」（説明員）

　データ通信を行うなら「P-in comp＠ct」のようなCFカードタイプのPHSを直接挿せばいいようにも思えるが，「ただしそれだと通常の携帯電話と合わせて契約が2回線になってしまう」（説明員）。1つの携帯電話を通話にもデータ通信にも使う際に，有効なモジュールであることを強調した。

　将来的には，PCとPDAをBluetoothで接続してデータをシンクロさせるような利用方法も実現させる考えだ。ソフトウェアの作り方を工夫して，「モデム」「USB」などといったPCの通信手段の1つに「Bluetoothポート」を選択できるようにしていきたいという。

　とはいえ前述のとおり，まずはお互い接続できる製品が市場に増えなければ，せっかくのBluetoothモジュールもその意義が薄れる。CEATECのNTTドコモブースでは，シャープ製と思われるBluetooth内蔵のPHSが参考出展されている（10月1日の記事参照）。この製品とPDAをBluetoothモジュールにより接続すれば，64Kbpsの通信速度でワイヤレスデータ通信が実現される。今後こうした製品を増やすことで，シャープはBluetooth製品全体を盛り上げていきたい考えのだ。

[杉浦正武，ITmedia]

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