携帯がもたらす“自己実現社会”─ドコモ,大星会長

CEATECの基調講演2日目は,NTTドコモの大星会長が登場。携帯電話に限らず,経済,社会,文化をテーマに幅広い講演が行われた。

【国内記事】 2001年10月3日更新

 10月2日から幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2001」。2日目の基調講演には,NTTドコモの大星公二会長が登壇。「技術革新と経済・社会・文化」と題した講演を行った。

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NTTドコモ代表取締役会長の大星公二氏

iモード成功の理由とは?

 携帯電話の新規加入の伸びが鈍化してきた1996年当時,大星会長は「次はデータ通信だ」と考え,iモードへ戦略転換したと語る。

 データ通信に必要な技術として大星会長が考えたのが,常時接続とデータ量による課金を可能にするパケット通信だ。周囲の反対を押し切って,パケット通信の技術開発を急がせたのだという。

 iモードが成功した要因として,これまでさまざまな理由が語られてきたが,大星会長は「日本でiモードが成功したのは,パケット通信があったから」と言い切る。携帯電話にコンテンツを送るということは誰もが考えるが,iモードがうまくいったのは“無線パケット通信”という技術革新があったからだと説明する。

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経営危機とiモード開発モデル。1997年を境に低下してきた新規加入者純増数だが,iモードのサービス開始により再び上昇傾向に

データ時代を予感した大星会長が描く未来

 モバイルでのデータ通信の時代が来ることを見越して,新たな技術を開発させたことを披露した大星会長だが,「iモードもすぐにサチュレーション(飽和)する」と,既に視点は次世代に向かっている。

 物的な欲求が充足した“成熟”社会では,しだいに「知的,情緒的な要求へシフトする」と大星会長は語る。そのため,これからの企業家の使命は「情報,知識,いやし,エンタテインメントをリーズナブルなコストで豊富に提供すること」になるという。

 “いやし”“エンタテインメント”が,次世代のキーワードのようだ。

 iモードのコンテンツポートフォリオについて欧米で講演した際に,「アミューズメント系コンテンツが受け入れられるのは“日本がパチンコ文化の国”だからだ」と指摘されたという。しかし大星会長は「(アミューズメントが)次元が低いなんてとんでもない。ポケモンはニューヨークでもブレイクしたんだから(アミューズメント人気は全世界共通だ)」と語る。

 「働くことそのものに生きがいを感じてくださってもけっこうですが」(大星会長),いやしを求めて遊ぶことは人間として重要なことだと大星会長は強調した。

携帯ヘビーユーザーの方が社交的?

 タイトル通り,講演は技術から経済,社会,文化まで幅広く語られた。興味深かったのは「iモードの登場で,どうライフスタイル,カルチャーが変わったか?」についての話。

 「(携帯電話が普及したことで)フェイス・ツー・フェイスの関係が減るかと心配したが,そうではなかった。ヘビーユーザーほど友達が多い」と大星会長は語る。

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携帯によって,「人と話したり,やりとりやつきあいなどコミュニケーション量が増えた」人の割合。「達人やヘビーユーザーほど親しい友人の数が多く,ヘビーユーザーほど携帯電話によって全体的なコミュニケーション量が増加したと感じている」とも書かれている

 また,「インターネットよりも携帯を使っているユーザーのほうが,外に出て気楽に人と会う」(大星会長)という統計も披露。“情報通信メディアの普及によって仕事時間が増えた”という結果については「仕事量が増えたのではなくて,移動中も仕事ができるようになり,ロスがなくなった」とコメントする一幕も見られた。

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郵政省平成10年度通信白書より。20代の情報通信支出は,消費支出の8%を占める。携帯電話によって「仕事時間が増えた」と答えた人が31.4%にのぼる

[斎藤健二,ITmedia]

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