NEC，Pocket PC 2002搭載PDA「PocketGear」を発表――iモードの勝手サイトやiアプリも楽しめる

NECは，OSに最新のPocket PC 2002日本語版を搭載したPDA「PocketGear」を発表した。コンパクトフラッシュ Type IIスロットとSDカードスロットを搭載，iモード勝手サイトの閲覧やiアプリの動作が可能など，パワフルな機能を備えたデバイスだ。11月下旬より6万円弱で発売予定となっている。

【国内記事】

2001年10月5日更新

　NECは，OSに最新のPocket PC 2002日本語版を搭載したPDA「PocketGear」を発表した。CPUにStrongARM/206MHzを搭載，ディスプレイには6万5536色表示可能な320×240ピクセルのTFT反射型液晶を搭載している。本体にはコンパクトフラッシュ Type IIスロットとSDカードスロット (Secure未対応，SD/IO機能なし) が装備され，オプションのPCカードアダプタを利用すれば，トリプルスロットも実現できる。

「PocketGear」製品写真

JavaVM搭載，「Wake on Ring」の採用で自動的にメールを受信

　「PocketGear」の特徴は，JavaVMの標準搭載と，「Wake on Ring」機能への対応だ。JavaVMには，インシグニアのJavaVM「Jeode」を採用 (関連記事参照) ，JavaVM対応のソフトをマシン上で利用できるほか，付属するiモードコンテンツブラウザ「iDisplay」，iアプリ動作環境「i-enabler」 (7月19日の記事参照) を利用することで，公式サイト以外のiモードサイト閲覧やiアプリを楽しむこともできる。ただし，iアプリに関しては全てがPocketGear上で動くというわけではないようだ。

　PocketGearには「Wake on Ring」に対応するソフトウェア「Wakeup」が搭載されている。PocketGearでは，このソフトとCFカード型データ通信カードを利用することで，端末の電源がオフになっていても，PHS圏内にいるときに情報が更新されれば，端末に自動的に電源が入り，電子メールなどの情報を受け取ることができる。

　ユーザーがこの機能を利用するためにはメールサーバやWebサーバなどに「Wake on Ring」に対応する仕組みが用意されている必要がある。現在，ISPではBIGLOBEが対応を検討中だという。また，NECでは企業向けのミドルウェアを開発中とのことだ。

　対応するCFカード型PHSについては，NTTドコモの「P-in Comp@ct」「P-in m@ster」となるが，DDIポケットのCFカード型PHSについても対応を検討中とのこと。

　また，オプションとして用意される「PCカード拡張アダプタ」を利用することでトリプルスロット対応になる点も見逃せない。同社純正で用意されるアダプタはバッテリーを内蔵しており，本体の駆動時間を伸ばせる。アダプタの充電は，本体にアダプタを装着した状態でクレードル経由で行える。

ハードウェア仕様

　「PocketGear」の外観はほかのPocket PCとよく似ている。筐体正面にスピーカーを兼ねたカーソルキーと4つのアプリケーションキー (アプリケーションキーを押すと5つのアプリケーションキーのバックが青く光る) ，充電ランプ，アラーム機能と連動した7色から選べるイルミネーションLEDが付いている。

「PocketGear」正面

　筐体左側面には電源ボタン，ストラップホルダー，半回転と押し込みに対応した回転式ボタンのPGダイヤル，録音ボタン，SDカードスロットが用意され，筐体右側面にはスタイラスと携帯電話/PHS接続ポートが用意される。

筐体左側面	筐体右側面

　筐体上面にはステレオヘッドホンジャック，赤外線インタフェース，マイク，筐体下部にはクレードル接続ポート，電源ジャックが備えられている。

筐体上面

筐体下部

　筐体右側面の携帯電話／PHS接続ポートは，USBに準拠した仕様で，オプションで用意される「ホストインタフェース用変換ケーブル」をつなげばキーボードやバーコードスキャナなど，消費電力の少ないUSB周辺機器を利用できる。

　本体のサイズは126×78×18.5ミリ。重さは本体が約190グラム，液晶保護カバーが20グラム。ライバル機となりそうな東芝のGENIOeのサイズが125×77.5×17.5ミリ，重さ180グラムなので，ほんの少し「PocketGear」のほうが大きくて重いということになる。バッテリーの持ちは最大12時間を実現，これもライバル機の「GENIOe」の約8時間を上回っている。製品に付属するクレードルにはUSBポート，シリアルポート (RS-232C) ，ACアダプタが装備されている。

クレードルの背面

クレードルを横から見たところ

ソフトウェア仕様

　Pocket PC 2002日本語版を搭載しているため，「PocketGear」には，Pocket Word，Pocket Excel，Pocket Internet Explorer (HTML 3.2準拠/JavaScript対応) ，受信トレイ (POP3/IMAP4対応) ，Windows Media Player 8.0，ActiveSync，Outlook 2002などが標準で搭載される。PCとの同期用ソフトActiveSyncはPocket PC 2002の搭載により，アップグレードされた3.5が搭載される。

　そのほかの主な搭載ソフトは下記の通りだ。

カテゴリー	アプリケーション名	備考
Java実行環境	JavaVM	Jeode
iモードページ閲覧	iディスプレイ	iモードの勝手サイト閲覧
iアプリエミュレータ	i-enabler	勝手サイトが配布するiアプリの実行
Wake on Ringの設定	Wake-UP	-
静止画ビューワ	EasyViewer for PocketGear	-
PCとSmartGallery連携	SmartGallery連携	デジカメの画像を参照，受信トレイと連携しメール送信可能
英和/和英・国語辞典	DTONIC	-
電車経路検索	JRトラベルナビゲータ	電車の乗り換えや所用時間の検索
アプリケーション起動	PGメニュー	登録したアプリを起動できるメニューアプリ
バックアップ・リストア	PG設定	-

　従来のPocket PC用アプリケーションとの互換性は現在検証中で，デベロッパーの対応次第となりそうだ。

ターゲットは企業と企業内個人

　NECは，「PocketGear」のターゲットは企業と企業内個人であるという。同社には既に，さまざまな業種に向け，モバイルソリューションをコンサルティングしており，サーバ，PC，PDAを利用したトータルなシステムの構築や環境整備，基盤構築に対応していく。モバイルソリューションパッケージは，受発注・棚卸し業務支援や店舗管理業務，位置情報ASPサービス，セキュリティなど50種類以上を準備中で，「PocketGear」出荷後に順次提供予定。企業向けには企業固有のアプリを入れるなど，業務に合わせてカスタマイズした「PocketGear」の出荷も行うとしている。

　またアプリケーションやハードウェアも，データベース，エミュレータ，開発ツール，通信系カード，ストレージ系カード，LANカード，GPSなど，150種類以上をサードパーティが準備しているという。

　同社では「PocketGear」を企業内個人にもアプローチする考えだ。「個人が利用する上で便利な機能も備えており，価格も6万円弱と買いやすい価格に設定している。量販店でのキャンペーンも行う予定」 (NEC広報)

　夏から秋にかけて，Pocket PCは新製品ラッシュが続いており，個性的な機能を備えたデバイスが次々と登場している。「PocketGear」は，最新のOSを搭載したコストパフォーマンスの高いマシンであり，冬のボーナス商戦をリードしそうだ。

PocketGearスペック表

CPU	StrongARM/206MHz
メモリ	ROM 32Mバイト，RAM 32Mバイト
画面	240×320ピクセル，反射型TFTカラー，6万5536色，フロントライト付，タッチパネル
外部インタフェース	CFカードスロット Type II
	SDカードスロット (Secure未対応，I/O機能なし)
	ホストインタフェース
	赤外線通信 (IrDA 1.1準拠・最大4Mbps通信可)
	専用拡張ポート (クレードル／PCカードアダプタ接続用)
	ステレオ対応ヘッドホンジャック
	モノラルスピーカー
	マイクロフォン
インジゲータ	PGイルミネーション (7色)
	充電LED
入力インタフェース	PGダイヤル
	アプリケーション起動ボタン (4個)
	PGカーソル
電源	リチウムイオン充電池内蔵，専用ACアダプタ
駆動時間	最大12時間
サイズ	126×78×18.5ミリ
重量	本体約190グラム，液晶保護カバー20グラム
搭載OS	Microsoft Pocket PC 2002
主な付属品	クレードル (USBケーブル付属) ，液晶保護カバー，ACアダプタ，スタイラス，マニュアル一式，保証書，CD-ROM (ActiveSync 3.5，Outlook 2002収録

[後藤祥子，ITmedia]

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