カタログには載っていない「TS11」情報──練り込まれたソフトウェアをチェック(2/2)

【国内記事】 2001年10月10日更新

 TS11の魅力の1つは,J-フォンでサービスされているスカイメールとauが採用しているEZweb@mailの両方を利用できることだ(同じく2種類を利用できるTD11の記事)。

 スカイメールは,ロングメールにこそ対応していないが,スカイメールトリプルという3通分を一度に送信する機能を持っているため,最大192文字(全角)の送信が可能。J-フォンやツーカー端末と電話番号だけでメールをやり取りでき,コーディネーターやホットラインなどスカイメールならではの機能も活用できる。月額300円でEメールを送受信することも可能だ。いずれも受信料は無料なので,活用のしがいがある。

 EZweb@mailは,送信500文字,受信5000文字(それぞれ全角)が可能で,複数の宛先(TO)を設定できるほか,CCやBCCも設定できるという強力なメール機能(7月5日の記事参照)。メールに添付できるデータも100Kバイトまでと,携帯電話として最強を誇る。ただしTS11では画像とメロディ以外の添付ファイルを認識しないようだ。

メールリダイヤルは便利

 ソフトウェアの構成を考えれば当然かもしれないが,スカイメールと@mailは一元管理されていない。アドレス帳からは,スカイメールとして送信するか@mailとして送信するか選択できる場面もあるが,メールソフトとして完全に切り分けられている。

 TS11のメールボタンを押すと,起動するのは@mail。スカイメールの送信にはメールボタンの長押しを使う。

 ソフトウェアが別なだけに,スカイメールと@mailでは操作性も大きく違う。スカイメールで便利なのは「メールリダイヤル」。電話のリダイヤルに似た機能で,最近メールを出した7人までの電話番号を記録してくれる。ただし送信テンプレートに当たる機能は用意されておらず,送信済みのメールを編集して再送信するなどの工夫が必要となる。

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スカイメールではメールリダイヤルを利用できる(左)。TS11のアドレス帳を開くと,右ソフトキーで詳細画面に切り替え,左ソフトキーでメールが作成できる。メールは,
  • 「メールアドレス1」に記入されたアドレス宛てに@mailを使ってEメールを送る
  • 同じく,スカイメールを送る
  • 「電話番号1」に記入されたアドレス宛てにスカイメールを送る
の3種類から選べる

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スカイメールでは,メールボックスが既読,未読,送信済み,未送信に分かれているほか(左),既読フォルダは4つのサブフォルダに分かれている(中)。サブフォルダにはアドレスごとに自動振り分けを設定することもできる(右)

@mailは最低限の機能

 TS11は送受信したデータ量によって課金されるP@bitに対応しているため(4月20日の記事参照),@mailを使った場合「データ量の少ないメールなら1円から送信できる」のが特徴。スカイメールと異なり受信にも料金がかかるが,タイトルのみ見て本文を受信するかどうか選択する「選択受信」が利用できるため,PCなどのメールを転送しても,際限なく料金が発生することはない。

 2種類のメールシステムを搭載しているせいか,auの@mailに比べるとTS11の@mailはかなりあっさりしている。フォルダ分けができない,メールタイトルが一度に3つまでしか見られないのはau同様だが,検索もできず,並び替えもできないのは残念だ。

 ただし,100Kバイトのファイル添付容量を生かして,内蔵デジカメで撮影した大きめのファイルを送信できるのは魅力だ(9月21日の記事参照)。

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「メニューボタン」−「フォルダボタン」で画像一覧を表示できる。画像からはダイレクトに「メール添付」を選択でき,@mailを使ってJ-フォンやau,PCなどに送信できる。J-フォンの場合,画像が6Kバイト以下かどうかを確認,auの場合JPGは表示できない機種もあるのでPNGに変換してから送信する

TS11の課題は?

 ソフトウェア部分を見てきたが,TS11の課題と感じた部分も多々あった。全般にいえるのは,操作の重さだ。ボタンを押してから画面が反応するまでに間があく場面がしばしばあり,慣れてくるほどストレスを感じる。特に@mailを起動するのにかかる時間が長く感じる。また,素早く操作するとキーの取りこぼしが見られることもあった。

 十字キーを使うほかに,数字キーによるショートカットが残されているのは,TS11の利点だ。ドコモやauのソニー製端末のようにショートカットを排除している端末では,慣れるに従って操作が面倒になるが,TS11はほとんどの場面で数字キーによる快速な操作が可能。逆にそれだけに操作感の重さは残念だ。

 またメニューのデザインが妙にカラフルで安っぽさを感じるのもいただけない。グラデーションと縁取り,アニメ系のグラフィックを多用したインタフェースは,カラー液晶が普通になった現在では逆に陳腐。逆にC413Sのようなモノトーン系のほうが高級感を感じる。

 本体の開け閉めや,操作のキャンセルなどひとつひとつに効果音を割り当てられるようになっているのは楽しいが,購入時から設定されているのはどうだろうか。大人が利用するにはおもちゃっぽいし,若者でもこういった効果音を喜ぶのは最初だけだろう。

 文字のフォントサイズを各所で変更できるようにしたのは素晴らしい。フォントが大きくて見やすいほうがいいのか,小さくて情報量が多いほうがいいのかは人によって異なるが,TS11は1台でどちらの需要にも対応した(9月21日の記事参照)。

 メニュー体系は分かりやすいものの,特にメール周りで操作性に統一感がないのが悔やまれる。メールソフトはサードパーティ製のソフトウェアをカスタマイズして搭載していると思われるが,操作性は問題だ。具体的には,「クリア」ボタンで戻る場合と,十字キーの左で戻る場合が混在している。決定するためのキーがシーンによって異なる場合あるのも戸惑いの原因だ。他社の端末でも,ブラウザ,メールにおいて特に操作性の統一感が失われており,サードパーティ製のソフトを組み込む場合の今後の課題といえるだろう。

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[九条誠二,ITmedia]

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