Bluetoothヘッドセットがもたらす未来予想図――ゆっくりですが進んでます

携帯電話と連動した,耳元にかけて使用するBluetoothヘッドセットがそろそろ各社から発売される見込みだ。今後,音声認識と連動させる計画もあるという。

【国内記事】 2001年10月15日更新

 Bluetoothヘッドセットを常に耳元にかけておいて,携帯電話がかかってきたらすかさずヘッドセットのボタンをピッと押す。たちまち携帯電話とヘッドセットの間でBluetooth接続が確立され,あとは両手が空いた状態でヘッドセット越しに相手と「もしもし……」。

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「Ericsson Bluetooth Headset HBH-15」。こうしたヘッドセットは欧州では既に発売されている

 こんな“次世代型”な携帯電話の利用を実現するBluetoothヘッドセットが,ついに日本で発売されようとしている。先日幕張で開催されたCEATEC JAPAN 2001会場では,あちこちのメーカーがプロトタイプを展示していた。

松下のプロトタイプ1号機

 松下のブースでは,こんなBluetoothヘッドセットが展示されていた。説明員によると,同社のプロトタイプ1号機だという。

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 実際に動作しており,会場ではノートPCとBluetoothモジュールをつなげて音質を確認することもできた。筆者の感触では,雑音も入るが「トランシーバーぐらいの音質は保っている」といったところ。個人的にはOKの領域だったのだが,携帯電話本来の音質より劣ってしまうことは確かだ。先輩のN記者は「全然ダメ」と切り捨てていた。

 値段は,今売るとしたら数千円,という価格帯になるとのこと。「会社の方針では,最終的には500円(!)で販売できるようにしたいとしている。ただし,現状ではBluetoothモジュールだけで2000円ぐらいかかってしまうので,まだ実現は難しい」(説明員)

 以前渋谷で街頭調査を行ったことがあったが(5月31日の記事参照),その時の人々の反応は「3000円前後なら買ってもいいかも」というものだった。同社は「多く作れば値段は下げられるが,売れ残るリスクがある」としており,今後製品化されたときの価格設定が注目されるところだ。

今後どうなる? Bluetoothヘッドセット

 Bluetoothヘッドセットの使い道として,同社説明員が1つ挙げたのが業務用,作業用での利用だ。「両手がふさがっている状態で,携帯電話から指示を受けなければならないような作業を行う際,便利だろう。ただそうすると,今度は音質が業務に悪影響をもたらさない程度のものを求められるのが悩ましいところではある」(説明員)。

 業務用なら多少高い価格設定もあり得るだけに,実現の可能性はある。説明員は続けて,こんな利用法も教えてくれた。

 「松下は音声認識の技術を持っているから,それらと連携させればいろいろな機能が実現される。たとえば現状,こうしたBluetoothヘッドセットはもっぱら電話を受ける時に利用するものと思われがちだが,音声認識を利用してこちらから電話をかけることもできるかもしれない」

 「まず,電話帳の番号にそれぞれニックネームを登録しておく。それからヘッドセットのボタンを押し,ニックネームを声に出して読み上げれば……。Bluetoothヘッドセットの側から電話をかけることも可能になるわけだ」(説明員)

 いずれにせよ同社が実際に製品を売り出すのはまだ先の話。説明員は「Bluetoothが本格化するのは,(各社のBluetoothモジュール同士の互換性が高まる)Ver2.0以降ではないか」との見こみを示していた。ちなみにBluetoothの大手モジュールメーカーによると,Ver2.0のモジュールの出荷は2005年が目途だという。

そして拡がるBluetoothワールド

 展示会場では,ほかにも何社かがBluetoothヘッドセットを展示していた。下のヘッドセットはPHILIPSのもの。日本で来年初めには発売を予定しているという。

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来年発売の実機。英語のカタログには連続通話時間で最大5時間,連続待受け時間は最大100時間と記載されていた

 「有力な端末メーカーがBluetooth内蔵携帯電話を発売するにあたり,ぜひBluetoothモジュールが必要だ,と言ってくれている」(担当者)。その製品の発売に合わせて来年,市場にBluetoothヘッドセットを送り出すようだ。

 価格についての詳細は明かされなかったが,「数千円になる」という。“有力な端末メーカー”についても具体的にどこを指すのか明らかにされなかったが,Bluetooth内蔵の携帯電話が今後発売されるというのは,業界にとって明るいニュースだ。CEATEC会場にはシャープ製と思われるBluetooth内蔵PHSのモックアップが展示されており(10月2日の記事参照),今後こうしたBluetooth内蔵端末とBluetoothデバイスとの間で連携が期待される。

 イメージモックレベルではホシデンも,Bluetoothのコンセプトモデルを展示していた。こちらはBluetoothを内蔵できるかどうかも分からないとのことだが,ペンダントタイプの端末などなかなか魅力的なラインアップとなっている。ほかにもJTDCなど,Bluetoothヘッドセットの販売をうたっている企業は多い(2000年12月15日の記事参照)。

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耳にかけるだけではなくて,ポケットに取り付けるようなタイプも。しじゅう耳にかけていなくてはならないという考えは捨てた方がよい?

 今後Bluetooth内蔵端末が増えれば,周辺機器として対応デバイスの需要が高まるのは確か。PDAの分野でも,シャープがCEATEC会場でザウルス用Bluetoothモジュールを展示するなど(10月2日の記事参照)すそ野の広がりは確実に感じられる。

 悲観的な予測がしばしば語られるBluetoothだが(9月12日の記事参照),それらはすべて大きすぎる期待の裏返しとも言える。今,夢への実現に向けて,Bluetooth業界は一歩一歩,着実に前進を続けているといったところだろうか。

[杉浦正武,ITmedia]

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