2001年冬の携帯ロードマップ:KDDI編

次世代インフラの導入を延期したKDDIだが,次世代サービスに関しては12月から現行のcdmaOne上で提供する。動画配信から位置情報,WAP2.0など最新技術を駆使したサービスだ。

【国内記事】 2001年10月18日更新

 2001年12月に,シリーズ一新の大きな改善を行うKDDIのcdmaOne。2002年春にはCDMA2000 1x(用語)の導入,その後は定額制も考慮したCDMA2000 1xEVも予定しているなど,激変が予定されている。

時期 シリーズ名 概要
12月 C300x,C500x WAP2.0,gpsOne,Javaフェイズ2,動画配信の導入。EZwebを64Kbpsに高速化
2002年4月 A300x? CDMA2000 1x導入。データ通信速度144Kbpsに
2002年年度中 CDMA2000 1xEV導入。データ通信速度最大2Mbps,平均600Kbpsに

10月31日,EZwebオープン化の第1弾

 KDDIは予定しているEZwebオープン化策の1つとして,10月31日にEZwebポータルのオープン化を行う。当初ニフティ,NEC,ヤフー,ライコスジャパンの4社がポータルサイトを掲載する予定だ(10月18日の記事参照)。

2001年12月には新シリーズ

 当初は次世代ネットワーク「CDMA2000 1x」を年末に導入する予定だったKDDIだが,9月末に延期を発表(9月20日の記事参照)。12月に各機能を刷新した新端末シリーズを投入,CDMA2000 1xは2002年4月からのスタートとなる。

 12月に投入される新端末は明らかになっているだけで4機種。東芝製,京セラ製,日立製作所製,松下通信工業製が投入される予定だ(詳細は10月2日の記事参照)。多くの新機能がサポートされ,機能の違いによって端末は3つのシリーズに分かれることになる。

機能 ハイパフォーマンス スタンダード シンプル
EZweb
@mail
WAP2.0
ezplus(Java)
eznavigation(gpsOne)
ezmovie

 新シリーズではEZwebの通信速度が64Kbpsに高速化され,全国で高速通信が可能なほか,@mailのソフトも改良されるという。WAP2.0のブラウザはオープンウェーブシステムズ製のものを搭載。XHTML Basicで書かれたWAP2.0コンテンツだけでなく,従来のEZwebコンテンツやiモード向けの非公式コンテンツも閲覧できる(11月1日の記事参照)。

 WAP2.0の機能を十分に生かすため,コンテンツへのアクセス方法も強化される。新シリーズでは,待ち受け画面からコンテンツごとに決められた番号を入力して「ez」ボタンを押すことで,ダイレクトにサイトにアクセスできるようになる(10月18日の記事参照)。

 ezplusはフェイズ2に移行し,端末の標準機能へ。ついにHTTP通信に対応するほか,JavaからgpsOneなどの機能が利用できるようになる。JavaVMは変わらずアプリックス製だ(10月2日の記事参照)。

 eznavigationは,Qualcommの新チップセットがサポートする測位機能「gpsOne」を利用する位置情報サービス。GPS衛星を利用して位置を計算し,KDDIの実験では平均誤差は8.2メートルだったという(10月4日の記事参照)。

 ezmovieは動画配信サービスだ。15秒程度のMPEG-4動画を64Kbpsの通信速度で配信する。パケット料金についても「動画など大きなサイズ(のファイル)をダウンロードするときは価格を下げられるような料金体系を考えている」(KDDI)としている(10月2日の記事参照)。

Photo
東芝のハイパフォーマンス端末「C5001T」(左),日立製作所のスタンダード端末「C3001H」(右)

Photo
京セラ製のスタンダード端末「C3002K」(左),松下通信工業製のスタンダード端末「C3003P」(右)
*それぞれ端末名はZDNet予想

 ちなみに,現行のJava対応端末「C45xシリーズ」に関しては,「おそらく現行方式のJava端末はもう出さない」(KDDI)という。

メーカー 設備名 証明記号(一部) 証明年月日
日立製作所 cdmaOne C3001H XZAA0051 6月14日
京セラ cdmaOne C3002K XZAA0055 8月7日
松下通信工業 EB-3218携帯電話無線機 XZAA0053 7月16日
東芝 cdmaOne C5001T XZAA0052 7月10日
デンソー ONML03携帯電話無線機 XZAB0000394 6月29日
三星電子 cdmaOne C453SG XZAA0050 6月12日

*TELECより。参考。証明記号XZはcdmaOne移動局を表す

CDMA2000 1x端末?

 2002年4月からサービスを開始するのが,下り最大144Kbpsという通信速度を実現するCDMA2000 1xだ。KDDIではこれを次世代ネットワークと位置付け,NTTドコモのFOMAに対抗していく。

 CDMA2000 1xの最大の特徴は,現行のcdmaOneとの互換性だ。従来のPDC方式と互換性のないドコモのFOMAなどとは違い,CDMA2000 1x端末はすべて現行のcdmaOne端末としても利用できる(7月23日の記事参照)。当初は東京,大阪,名古屋を中心とした全国主要都市でサービスが開始されるが,エリア外でも通常のcdmaOne端末として利用できるところがFOMAとの違いだ。

 CDMA2000 1xでは新規に基地局を立て直す……といった必要はなく,「基地局のボードを1枚入れ換えるだけ」(クアルコムジャパン)というくらいの作業でアップグレードが完了する。そのためカバーエリアの展開も速く,2002年度末までには人口カバー率90%を目標にしているという。

 特に新しいサービスをCDMA2000 1xで用意しているわけではなく,“次世代のインフラ”と“次世代アプリケーション”を切り分けるのがKDDIの考え(9月21日の記事参照)。CDMA2000 1xではezmovieがストリーミングで配信されることくらいしか明らかになっていない。

 CDMA2000 1x対応端末はまだ全く姿を見せていないが,三洋電機はCEATECで次世代携帯電話を大々的に展示。「au向けが有力」(三洋電機)としている(9月20日の記事参照)。またTELECには「CDMA A3011SA」という端末が認証を通過している。

メーカー 設備名 証明記号(一部) 証明年月日
三洋電機 CDMA A3011SA XZAB0000434 8月10日

*TELECより。参考。証明記号XZはcdmaOne移動局を表す

CDMA2000 1xEVでデータ通信定額制

 2002年度内にスタートするとアナウンスされているのが,CDMA2000 1xEVだ。これは従来HDRと呼ばれていたQualcommの技術で,インターネット型のデータ通信に特化することで安価で高速な環境を実現する(7月30日の記事参照)。そのスピードは最大で2.4Mbps,平均して600Kbpsといわれている。

 KDDIは「コストが安くなることが3Gサービスだ」と語っており,1xEVのスタートによって劇的にコストが下がると語っている。「データ通信の定額制」に言及することも多く,1xEVは期待の大きい技術だ(8月29日の記事参照)。

 ただし遅延や瞬断をある程度認めるインターネット型のネットワークであるため,テレビ電話のようなアプリケーションにはあまり向いていない。KDDIも3Gサービスとしてのテレビ電話には否定的だ(9月25日の記事参照)。

 1xEVはデータ通信専用の通信方式であり,音声端末は基本的にCDMA2000 1xおよびcdmaOneとの互換性を持ち,エリア外でも利用できる。

技術は十分。コンテンツは?

 KDDIは2002年に向けて最新技術を満載。通信速度でもカバーエリアでも他キャリアの先を行くと予想される。ただし,そんな状況はcdmaOneでも同じだった。

 いち早く2.5世代といわれるcdmaOneに移行し,クリアな音声通信,64Kbpsのデータ通信速度,米国・カナダなど世界6カ国での国際ローミングなど,今でも技術的にはKDDIは最先端にある。にも関わらず,契約者は思うようには伸びず,J-フォンにあと一歩のところまで迫られている(10月5日の記事参照)。

 新技術をうまく生かした魅力的なコンテンツをどう提供するか。また,どうサードパーティが参入したくなるような環境を構築できるか。それがこれからもKDDIの課題となるだろう。

[斎藤健二,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!