携帯でもCookie機能を実現するサービス――これでユーザー認証はこわくない？

携帯電話のコンテンツプロバイダにとって，ユーザー認証は頭の痛いところ。というのも携帯電話には，Cookie機能が実装されていないからだ。しかしこの問題を，セッションIDによって解決するサービスが現われた。

【国内記事】

2001年10月19日更新

　10月19日，ヴェクタント・グループであるグローバルソリューションのセミナーで，iDCソリューション事業部の伊藤靖部長が携帯電話でCookie機能を実現する技術などの紹介を行った。

グローバルソリューションiDCソリューション事業部の伊藤靖部長

　同氏はまず，モバイルインターネットビジネスの問題について指摘。なかでも携帯電話特有のショートパケットが大量に無線通信で行き交う現状に触れて，「トラフィックが急増しており，頻繁にネットワーク障害が発生する」のが主な問題の1つであるとコメントした。

　携帯電話ではPCと異なり，サーバへのアクセスに必要なユーザー認証の情報を端末側に記録しておく技術「Cookie」がサポートされていない。このため，例えばeコマースサイトなどのユーザー認証が必要となるサイトでは，サイトにアクセスするたびに端末とサーバの間でいちいち認証のためのやりとりを行わなければならないことになる。こうしたことが，トラフィックが増えてしまう一因であるのだという。

　この問題を解決するのが，同社の提供するモバイル・セッション・マネジメント・サービスだ。これは各端末にセッションIDを振ることで，サーバサイドでCookieを擬似的に実現するというサービス。これにより「トラフィックの増加によるシステムダウンを防止し，安定したシステムを提供できる」（グローバルソリューション）という。

ゲートウェイマシンでセッション管理

　同社のセッション管理は，次のような手続きを取る。まずユーザーはログインし，IDとパスワードを入力する。この時点で認証が行われ，ユーザーの情報はセッション管理を行うゲートウェイマシンへと送られる。

　後は，ゲートウェイマシンが端末になり代わり，ユーザーが本来アクセスするはずだったサーバに情報をリクエストする。同時にゲートウェイマシンからユーザーの端末に向けて，ユーザー別に割り当てられたセッションID付きのURLがレスポンスとして返されるという。

従来は端末とサーバの間でいちいち認証のやり取りをおこなっていた

ゲートウェイマシンを介することで，認証はゲートウェイマシンとサーバの間で一括して済まされる。ユーザーの端末にはセッションID付きURLが送られる

　ユーザーにとって見れば，最初に認証を行えば後は認証の必要がなくなる。アクセスしようとすると表示されるURL（末尾にセッションIDがついている）をクリックしつつ，サイトを利用していくことになる。

　「端末とWebサーバの間にいったんゲートウェイマシンを介すことで，ゲートウェイマシンとWebサーバとの間で有線による高速な認証処理が可能になる。扱う情報自体も少なくなるので，トラフィックが減って通信の効率が上がる」（伊藤靖部長）

　ゲートウェイマシンからサーバへのリクエストは，ロードバランシング（負荷分散）して行われる。NFS（ネットワーク・ファイル・システム）サーバに認証ログや課金ログなどのデータを残すことができるため，ユーザー単位の課金も可能だという。

高まるiDC事業の需要

　同社はiDC（インターネットデータセンター）事業の一環として，こうしたセッション管理サービスのほかに，コンテンツや画像をキャリア間で変換するサービスも行っている。コンテンツ配信やモバイルeコマースなどを展開するための要素技術を提供し，コンテンツプロバイダが短時間でコンテンツを開始するためのプラットフォームを用意している。

　「現在は中小のコンテンツプロバイダが多く，なかなかこうした面でアウトソーシングをする余裕がないところもある。しかし次世代携帯電話で動画コンテンツ配信が実現すれば，それを提供するだけの大きいコンテンツプロバイダが出てくる可能性もある。今後，ますますこうしたiDC事業は価値が上がる」（伊藤部長）

　携帯電話コンテンツが複雑化していく状況をにらみ，グローバルソリューションはコンテンツビジネスをサポートするプラットフォームサービスの提供を続ける。

[杉浦正武，ITmedia]

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