オムロン,テレマティクス用途にカーナビと携帯電話をつなぐアダプタを開発――音声認識も可能

カーナビ業界が通信に向けて動いている。カーナビと携帯電話をつないで運行管理など各種のデータ通信を可能にするほか,音声認識によるハンズフリーシステムとしても利用可能な機器が登場した。

【国内記事】 2001年10月23日更新

 オムロンは10月22日,資本提携先のセルポートシステムズと共同で,テレマティクス用途のデータ通信機能搭載ハンズフリー機器を開発したと発表した。2002年2月より発売する予定だ。

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ハンズフリーシステムとして利用可能

 カーナビと携帯電話をつなぐアダプタの形状をしており,2つの特徴を持っている。1つ目の特徴は“ハンズフリーで携帯電話を操作できる”というところだ。アダプタ機器には音声認識エンジンが内蔵されており,ボイスコマンド機能を利用して電話をかけられるようになっている。

 「例えばアダプタのマイクに対して『○○さんに電話』といえば,声を認識してそのまま電話をかけることができる」(セルポートシステムズ)

 携帯電話の電話帳を利用することはできないが,アダプタ側にメモリが内蔵されており2〜30件の宛先を登録できる。事前に「○○さん,電話番号はぜろ,きゅー,ぜろの……」と記憶させておくことで,ボイスコマンドにより電話をかけることが可能だという。

通信機能を持ったカーナビで実現されること

 アダプタの2つ目の特徴はデータ通信機能だ。カーナビにアダプタを取り付け,携帯電話を接続することで,携帯電話でニーズに合わせたデータ通信を行える。

 「現在のカーナビには,外部インタフェースを持つものが少ない。しかし業務用,運行管理用のものには,シリアルインタフェースを備えるものもある。こうしたものとアダプタを接続することで,(携帯電話により通信を行い)さまざまな情報をカーナビから送受信することができる」(セルポートシステムズ)

 セルポートシステムズとしては「当面は業務用として提供していく」という姿勢。現実に米Ford,米Nissanなどで同社の製品がハンズフリーシステムとして採用された実績もあるという。今後国内でもデータ通信可能なアダプタとして,採用されることを目指す。価格は未定だが,5000円から8000円のあいだになる見込みだ。

 データ通信の用途として具体的に挙がったのは,ガソリンやオイルなどの情報をセンサーで感知してカーナビに送信,車載メーターより詳細に表示させるといったことや,位置・状態などの車情報をインターネットデータセンターに送信し,運行管理すること。さらにエアバッグが動作した際などの緊急時に自動でセンター側へ通報したり,ネットにアクセスしてボイスポータルサイトからニュースなどを受信,声で知らせるといったことも可能だという。

 「センサーなど必要な設備は各企業によって別途,用意することになる。こうした環境はまだ,コンシューマー向けには整っていないのではないか」(セルポートシステムズ)

 こうした製品がコンシューマー向けに提供されるのは,もう少し先になる見込みだ。

iナビリンクとはどう違う?

 気になるのは,既に各社から対応製品が発売されているiナビリンク(関連用語参照)との違い。iナビリンクでは専用ケーブルでカーナビと連動させることで,GPSによる位置情報などをiモードに送信することが可能だ。

 これについてセルポートシステムズでは,次のように語っている。

 「iナビリンクがインターネット接続に重点を置いているのに対して,うちはハンズフリーサービスもやる。業務用に,より安全性の高いサービスを提供することが可能だ。また,iナビリンクは位置情報を中心としたサービス内容になっているが,うちはどちらかというとセンサーにより車情報を管理する,といった用途がメイン。いわゆるテレマティクスであり,この点が異なる」(セルポートシステムズ)

 なお同社は,今後はPHSやcdmaOne端末に対応したアダプタもそろえていく予定。セルポートシステムズおよびセルポートグローバルパートナーでは世界の主要6社の携帯電話各機種に対応するアダプタを開発しており,一部の機種用は既に発売されているという。「こうしたインターナショナルな取り組みもiナビリンクと異なるところだ」(セルポートシステムズ)

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主要6社の携帯電話各機種用アダプタ

どうなる,業界標準

 現在一般のカーナビには,携帯電話アダプタと接続するための標準インタフェースすら付いていない状況だ。しかし,業界はカーナビに通信機能を付ける方向へと確実に動いている(10月12日の記事参照)。

 その中で今後,こうした携帯電話と接続するためのアダプタが主流になるのか,それとも初めから通信手段を内蔵したカーナビが発売されることになるのか,あるいはBluetoothなどによりカーナビと携帯電話が無線でつながるようになるのか。「業界標準争い」の行方は依然,先が見えていない。

 オムロンとセルポートシステムズシステムズは今回のアダプタについて,初めこそ業務用として提供するものの,場合によってはコンシューマー向けとしても製品を展開していく。「デファクト・スタンダードを目指していく」と強気の構えだ。

 なおこの新製品は,10月26日から幕張メッセで開催される「第35回東京モーターショウ」のオムロンブースにて,デモを含めて展示される予定となっている。

[杉浦正武,ITmedia]

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