携帯電話クーポンの威力――数字で見るジーンズメイトの導入例モバイルマーケティングは本当に効果があるのだろうか? ジーンズメイトは売上や客数に関するデータから,意外なほどの効果を実証してみせた。
10月29日,インターネット広告推進協議会(JIAA)によるモバイルマーケティングフォーラムが開催され,ジーンズメイト経営企画室の濱中眞紀夫室長がモバイルマーケティングへの取り組みについて語った。
同社は従来,新聞の折込チラシによる販促手法をとっていた。ところが調査の結果,会員の約40%を占める20代は,22.8%が新聞をとっていないことが判明。さらに3.9%は同社がチラシを入れていない日経新聞であることも分かった。ここから,新しいマーケティング手法の導入を検討するようになったという。 新たなマーケティング手法として選択したのは,携帯電話にクーポンを表示させるサービス。会員が店頭で商品を購入する際,携帯電話の画面を提示することで,実際の価格から割引される仕組みだ。クーポンには3000円,1500円,500円の3種類を用意し,購入した金額が高いほど多く割引される方式をとった。 売上は10倍に同社が導入したモバイルマーケティングは,確実に効果を上げた。 第1回のクーポンキャンペーンにおいて,1日平均の客数,および売上高をそれぞれ100とすると,2回目の客数は470,売上高は576と躍進。さらに3回目ではシステムをiモードのみの対応からマルチキャリア対応に変えて望んだところ,バーゲン終わりごろという“商売には不向きな時期”にも関わらず客数694,売上748という伸びを見せた。この時点で「(サーバ構築やクーポンの宣伝など)すべてのコストが3回目までの利益で吸収できた」(濱中室長)。 さらに秋の商戦が始まる頃に行った4回目のクーポンサービスでは,さらに大幅に伸びを見せた。客数は1182,売上1532という結果を達成したのだ。 「クーポンを使って買うのは単価の高い商品。粗利も高く,多少値引きしても損がない」(濱中室長)。値引き後の客単価で1.5倍で,1人当たりの粗利はクーポンの客の方が高い状況だという。 能動的に動くユーザーはキャンペーンと相性がいい?モバイルマーケティングではまた,従来のマーケティング手法とは異なった傾向も表れた。
たとえば折込チラシのような手法では,「サービス期間中,雨が降ろうものならひどい目にあう」(濱中室長)というように,ユーザーは場合によっては使わないで放っておくようなケースも多かった。全品2割引などのキャンペーンも,期間後半になるほどその効果が弱まっていく傾向があるという。 しかし携帯電話クーポンではグラフのとおり,期間が終わりに近づくほど効果が高まった。この理由として濱中氏は,能動的に動いてクーポンを発見したユーザーは“使わなければ”との意志が強いのではないかと語る。このため期間終了間際に,駆け込みで来店し,使うユーザーが多くなると推察される。 濱中室長は最後に,「来店者全員に2割引,というようなタイプの割引では無駄な割引が起きる可能性がある」ことを指摘。最大3000円というインパクトのある割引サービスを,携帯電話によるミーオンリー感が得られる形態かつ,簡単な操作で獲得できるように提供したことが,成功の理由だと結論づけた。 クーポンサービスでモバイルマーケティングの威力の大きさを実感したというジーンズメイト。今後は,ネット上で収集した顧客の個人情報を基に,e-CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)に取り組んでいきたいという。 [杉浦正武,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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