モバイルマーケティングの基本はメール──TSUTAYA online

「分からないときはお客さんに聞こう」。TSUTAYA onlineの小城武彦社長は事業戦略,マーケティング戦略の決定にモバイルメディアが大きな役割を果たすと語る。

【国内記事】 2001年10月29日更新

 インターネット広告推進協議会(JIAA)モバイル広告部会主催の「JIAAモバイルマーケティングフォーラム」が10月29日,都内で開催され,携帯電話を中心としたモバイルマーケティングの最新動向や事例について講演が行われた。

 「モバイルマーケティング戦略概論」と題された講演ではツタヤオンラインの小城武彦社長が登壇し,Click&Mortarの実例として有名なTSUTAYA onlineのモバイルマーケティングについて語った。

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ツタヤオンラインの小城武彦社長

次の戦略はメール──媒体としても

 講演を通して小城社長が強調するのは,携帯電話のメールの影響力の強さだ。同社は1999年にWebから携帯に方向転換。そのきっかけとなったのが「iモード30分緊急アンケート」だという(10月19日の記事参照)。

 当初「路上や交通機関など出先からの返信が多いのではないか」と予想したというが,実際は職場と学校にいるユーザーからの返信が多かったという。この高いインタラクティビティと応答性を評して,「モバイルは(真の)常時接続に近い。(いわゆる)ブロードバンドよりいつでもどこでもつながっている」と小城社長は語る。

 TSUTAYA onlineといえば,携帯電話を使ったクーポンの効果を実証したことなどが有名だが(10月19日の記事参照),小城社長は「(広告戦略として)メール配信を重視する。今後メールを媒体として活用してほしい」と,次の戦略を説明する。

 TSUTAYA onlineの会員は10月26日時点で193万人。うち62%をモバイル会員が占める。1週間に計544万通のメールを配信しており,十分に媒体として成り立つ規模に育った。

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 しかも会員のプロフィールは,企業がマスメディアマーケティングでターゲットにすることの多い,20〜34歳の男女が中心だ。

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 親元で暮らす未婚者「パラサイトシングル」の率が6割,4割弱が1カ月に1万以上をファッションに使い,約6割が週3日以上コンビニを利用する。「お金を持っていて消費意欲の高いユーザーが多い」(小城社長)

 現在TSUTAYA onlineが配信するアンケートメールは,総返信数の半分が3時間以内に返信してくるという。「早くユーザーを動かす,早く反応を知りたい,という時に最適のメディアだ」と小城社長。実際,TSUTAYA onlineが他社のアンケート付きプレゼント応募のメールを会員向けに配信したところ,応募総数のうち半分は開始初日に送られてきた。

 「実感するのは非常に短いレスポンスタイム。事業戦略,マーケティング戦略の決定に有効だ」と小城社長はモバイルメールを評価する。ツタヤ社内でもマーケティングの意思決定には,メールアンケートを用いるという。「分からないときはお客さんに聞こう」(小城社長)

表現力が上がる次世代携帯は大歓迎

 同社は,今やさまざまな場面で利用される携帯の画面を使ったクーポンを最初期に導入。2億円強の売上を誇る同社の通販のうち,7割は携帯経由でもたらされるという。今後はメールを媒体として,広告事業にも乗り出す。

 さらにTSUTAYA onlineは次世代携帯電話にも意欲的だ。「(FOMAは)11月中旬には新しい機種が登場すると聞いている。定着するのはまず間違いない。(iモーションなどの動画機能によって)表現力が上がるのは大歓迎だ」(小城社長)

 TSUTAYA onlineでは,DVDムービーの例を挙げ,「(FOMAでは)予告編に当たる短い映像を配信」(小城社長)して,レンタル,販売のプロモーションを行う予定だ。

[斎藤健二,ITmedia]

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