ドコモ,迷惑メールとの戦いに1勝――横浜地裁が送信停止命令

横浜地裁は7月29日,横浜の有限会社に対してメール送信の停止を命じる仮処分を下した。迷惑メールに悩むユーザーにとっては朗報だが,これで戦いが終わったわけではない。

【国内記事】 2001年10月30日更新

 横浜地裁は10月29日,NTTドコモの仮処分申請を受けて,横浜市内の「出会い系」メール配信業者グローバルネットワークに対し,送信停止を命令する仮処分を決めた。

 グローバルネットワークは今後,「090」の後に8桁のランダムな数字列を当てはめ,「docomo.ne.jp」と続くアドレスに対して,営利目的のメールを多数送信することができない。NTTドコモ広報はこの判断について「評価できる内容だ」とコメントした。

「user unknown」の多さから迷惑メールと判断

 NTTドコモ広報によれば,仮処分までの経緯は以下のとおり。

 まず6月8日,NTTドコモのサーバに負荷がかかり,メールの遅延などで一部のユーザーから苦情などがあった。同社が「通信の秘密」に十分に配慮した上で慎重に調査を行った結果,同日,有限会社グローバルネットワークから1時間に90万通,また別の時間帯に1時間に30万通のメールが送信されていたことが判明した。

 送信されたメールは宛て先のないユーザー宛に送信したことを示す“user unknown"のものが多かったことから,ドコモではグローバルネットワークがランダムに数字列を生成して不特定多数のユーザーにメール送信を行っていると判断。グローバルネットワークに対して7月14日に警告書を送付した。

 しかしその後も多量のメール送信が続いたため,ドコモは7月24日に仮処分を申請。昨日の送信停止命令につながったという。

 以前にも@niftyなどでインターネット上の特定のメールを違法とみなす判断はあったが,携帯電話のメールに関してメール送信を規制するような判断はこれが初めて。ドコモ広報は今後,「法的整備を望む」と語った。

されど,終わりなき旅

 今回下された「仮処分」という処分は,「裁判の必要がない事例に対し,裁判に先立って非公開で行われるもの」(横浜地裁)。ドコモにしてみれば,徹底的に争うというよりは,一罰百戒の効果を狙ったものといえそうだ。

 「今回の処分が突破口になって,今後も(司法当局の)迷惑メールに対するこうした見解が続けばと思う。迷惑メール事業者に対する抑止効果を期待する」(NTTドコモ広報)

 しかしこれで迷惑メール事業者のメール送信がピタっと止むかというと,そう簡単にはいかないようだ。

 「今回はたまたま調査して分かったわけだが,基本的には24時間365日ウォッチする体制にはない」(NTTドコモ広報)。ドコモとしては「通信の秘密」を守る必要もあり,なかなか“犯人探し”に動きづらいというのが実情だ。

 「また,今回の事例では『user unknown』のメールが多かったわけだが,事業者によってはなんらかの手段でアドレス帳を手に入れており,user unknownのメールを少なく抑えて送信してくるかもしれない。そもそも送信する際に自らのアドレスを偽って『なりすまし』を行うことも可能で,ドコモとしてはこうした事業者を突きとめにくい」(NTTドコモ広報)

 今回の仮処分で迷惑メール事業者のけん制に成功したドコモ。しかしこれで終わりではない。ドコモ広報は慎重に言葉を選び,「これですべての問題が解決したとは思わない」と語った。

[杉浦正武,ITmedia]

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